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新人研修×フルオンライン オンラインでの学びを成功させるための3つのポイント(1)

2020年、2021年と新型コロナの影響で、新人研修はフルオンラインで実施しました。2019年までの集合研修と比較し、定量評価(ペーパーテストや実技テスト(プログラミング)の得点)は顕著にUPしました。

UPした要因の考察や受講者アンケート(研修オンライン化に伴う学習へのポジティブ要因)結果は、また別の機会に記載したいと思います。

今回は、先日開催された Agile Japan 2021 内 コーヒーブレイクの時間帯、登壇した時のお話に、時間内に収めることができなかったお話を加筆し記載しています。


前振りのお話は置いておいて、10ページから本題です。

1.学習コミュニティの構築

オンライン学習では、リアル対面学習と比較し、密なコミュニケーションが求められる場面が多いです。密なコミュニケーションを成立させるための学習者コミュニケーションの大切さとコミュニティ構築の一手法について述べたと思います。


コミュニケーションの質・量 と 相互の信頼関係

先生・講師の皆さん、オンライン授業・研修において、小グループのディスカッション量、質問の量、チャットでの発言量 が少ないと感じた事がありませんか?


Agile Japan 2021 内での以下 問いかけへの反応は、、、

参加者視点で、学習がオンラインの場に移って
 A. わいわい実施できている
 B. 寒い事がある

B. 寒い事あある 82 % でした。


zoom などのビデオ会議システム や slack などのチャットツールでコミュニケーションに必要な機能は、十分に提供されているが、いまいち ”活用” できていない。この"活用"というのは、単に使う・使わないという意味ではなく、質・量をともなうコミュニケーションが行われている状況を指します。

2020年、2021年とオンライン実施の新人研修に数社関わってきました。その状況から、2020年の方が、コミュニケーションの質・量ともに良好であったと感じます。(2021年が悪かったとい意味ではありません。)

2020年は、研修の初期段階からコミュニケーションが活発であったが、2021年は、コミュニケーションが活性化するまでに、1ヶ月程度の時間を要したように感じます。

大きな要因としては、2020年は、入社前の内定段階(新型コロナが蔓延する前段)で、新人同士がリアル・対面で接し交流している。2021年は、リアル・対面で会うことなく、オンラインだけでの触れ合いに留まっている。

このリアルで交流しているのか、していないのか がコミュニケーションを活性化させるか、させないかのキーになると考えています。リアルで会い会話することで、お互いの個性を認識し相互に信頼関係を構築できたと考えます。

2021年は、オンラインでのコミュニケーションのみであったため、小さな画面からしか情報を得られず、お互いに手探り状態であった。そのような中、オンラインでの触れ合いに時間を掛け、機会を重ねることで、徐々に相互の信頼関係を構築していったのだと思います。

まれに、リアルであろうがオンラインであろうが、初対面から上手にコミュニケーションを図れる人もいますが、大半の人には難しいのでしょう。特に社会人になりたての新人にとってはハードルが高いです。


相互信頼を伴う学習コミュニティの構築

良質なオンライン学習を成立させるためには、早期から学習コミュニティ構築に着手しなければいけません。

そのためには、学習者相互、学習者と教育者間の触れ合いを授業・研修の随所に埋め込んでいく必要があります。

学習コミュニティ構築は、授業・研修開始前から勝負が始まっているのです。

例えば、開始時点に、ビデオ会議システムの参加者一覧画面(zoom の ギャラリービューなど)で、ビデオ越しに小さな画面に映る参加者の顔を見ながらコミュニケーションをとることを考えてください。

得られる情報も少ないですし、相手の事(感情や状況)を誤認識してしまう可能性も大きくなります。

これでは、良いコミュニケーションが成立しづらくなります。

また、先生・講師1名 対 数名の学習者 と限られた範囲のコミュニケーションとなってしまいます。

オンライン(授業やツール)の特長は、時間や空間の制限を受けづらいことだと思いますので、その特長を活かしてコミュニケーション設計していく必要があります。

私の場合は、研修開始前に、出席確認も兼ねて 今日の一言 を google スプレッドシートに記入してもらいます。研修開始時に、その一言を拾いながら、学習者とのラポールを形成していきます。

スプレッドシートの内容は、他の学習者も見ることができますので、音声でのコミュニケーションをとっていなくとも、学習者間でお互いの状況・心境の交流が行えます。

その他に、全体に向けて質問を投げかけ、チャットを使って回答してもらうこともしています。例えば「朝食を食べた方は、1を、食べていない方は、0を入力を入力してください。」

気軽でカジュアルな質問な程、お互いの距離感を縮めるのに良いと思います。

わざわざツールのアンケート機能やgoogle フォームなどを使わなくとも、結果情報を残さなくてもよいような質問ですので、お手軽にチャットで回答してもらっています。


朝時間帯以外にも、学習コミュニティを形成するために、学習者と教育者、学習者間の(音声以外も含む)コミュニケーションを入れ込みます。
(コミュニケーションって音声のみと捉えていませんか?)

授業・研修時間帯において周囲の学習者の存在は、学習に少なからず影響を与えます。あの人は頑張っているな!私も頑張ろう というやつです。

リアル・対面では、学習者は周囲の学習者の状況を肌で感じ取ることができますが、オンラインですと、他の学習者の状況を把握しずらくなります。

オンラインツールの共有できるという特長を活かし、周囲の学習者の状況(進み具合や学習成果物)を視える化することで、上記課題を解消できます。

学習や演習などの粒度も、オンライン学習独自のものがあると考えています。どれぐらいのものが最適かは、今はまだ曖昧な感覚値しか持ち合わせていません。細か過ぎても状況UPの手間が頻繁に発生してしまうし、荒すぎると状況が見えない期間が長くなってしまいます。

スライド12ページに掲載している演習進捗表は、演習の小さなステップ毎に色を塗りつぶしていくものです。セルに自由コメントも記載してもらっています。

これによりクラス全体で、学習状況を肌で感じ、学習に対して前向きに取り組むことができていました。

その他、演習中の作業状況が見えるように、google スライドやジャムボードなどを共有設定で事前に作成し、学習者に提供しています。共有設定しているので、他の学習者の作業状況も見ることができます。


ご参考

学習コミュニティの重要度や構築方法は以下の書籍 5章で触れられています。


2.Online Learner Competencies、3.研修デザイン

は次回以降に記載いたします。

最後まで読んでいただき有難うございます。



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