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令和はプロデューサーの時代 ~スペシャリストからプロデューサーへの転身のすすめ~

私の著書『瞬考』でも触れましたが、時代ごとに求められるビジネスパーソンの在り方は変化しています。昭和は「サラリーマンの時代」、平成は「スペシャリストの時代」でした。そして、令和は「プロデューサーの時代」です。スペシャリストとしての能力を発揮し、一定の成果を上げた後、さらにその先を見据えるためには、プロデューサーへの転身を意識することが重要となってきます。

スペシャリストのピークは避けられない

アーティスト、画家、研究者、クリエーター、そしてビジネスパーソン。どの分野においても、スペシャリストとして活動する人々には「ピーク」があります。若い頃に専門性を磨き、努力を重ねて成長した結果、ある時期にその分野で最高のパフォーマンスを発揮します。しかし、そのピークを永遠に維持し続けることは難しく、多くの場合、年齢や業界の変化に伴い下降線を辿ることになります。

ピークを過ぎても、過去の栄光にしがみつきたくなるのは自然な感情です。しかし、それだけではキャリアの継続性を確保することはできません。スペシャリストの頂点として生涯を過ごせるのは、ほんの一握りの人たちに限られるのです。

プロデューサーへの転身という選択肢

一方で、スペシャリストからプロデューサーへと役割を転じることで、キャリアの第二幕を開くことができます。特に、自身がスペシャリストとして一定の地位を築いている人は、その分野における豊富なネットワークや知識を活かすことが可能です。先輩や後輩、同僚など、同業界の多くのスペシャリストと信頼関係を築いていれば、プロデューサーとして他者の力を活かし、成果を生み出す立場にスムーズに移行できます。

ピークアウトする前であれば、周囲からの尊敬を集めていることが多く、他のスペシャリストもプロジェクトへの協力に前向きです。その尊敬や信頼を活かし、クライアントのニーズに応じて最適なスペシャリストを選び、プロデュースする能力を磨くことができます。この「プロデュース力」が向上することで、さまざまな案件で成功を収められるようになります。

実例から学ぶ、プロデューサーとしての成功

スペシャリストからプロデューサーに転身し、成功を収めた例は数多くあります。

例えば、坂本龍一は、YMO(イエロー・マジック・オーケストラ)のメンバーとしてアーティスト活動を行い、後に映画音楽の作曲家やプロデューサーとしても大きな成功を収めました。映画『ラストエンペラー』でアカデミー賞を受賞するなど、幅広いジャンルでプロデューサーとしての地位を築いています。

現代アートの世界では、村上隆がその代表例です。アーティストとして成功を収めるだけでなく、設立した「Kaikai Kiki」を通じて若手アーティストをプロデュースし、国内外で高い評価を得ています。彼は、自身の感性とビジネス的な視点を融合させ、アートを産業として成り立たせています。

音楽業界では、クインシー・ジョーンズが象徴的な存在です。ジャズのトランペット奏者としてキャリアをスタートさせた彼は、プロデューサーとしてマイケル・ジャクソンの『Thriller』を手掛け、史上最高の売り上げを記録しました。彼の成功は、アーティストとしての経験をプロデューサーとしての仕事に活かした結果です。

さらに、古くはウォルト・ディズニーもその一人です。もともとアニメーションのアーティストとしてキャリアをスタートさせた彼は、プロデューサーとしてディズニー帝国を築き上げました。彼の成功は、クリエイターとしての経験をもとに、人々を魅了するストーリーや世界観を生み出すプロデュース力にありました。

これらの人物に共通しているのは、スペシャリストとしてのキャリアを確立した後に、それを土台にしてプロデューサーとしての新たな挑戦を始めたことです。

ビジネスの継続性を高めるプロデューサー

ずっとスペシャリストであり続ける道ももちろん魅力的ですが、ピークを迎えた後のことを考えると、プロデューサーとしての道を切り拓くことでビジネスの継続性を高めることができます。スペシャリスト時代に培った専門知識や経験、そして人脈を活かして、新たなプロジェクトを生み出し、次世代を育てる立場へと移行するのです。

プロデューサーの役割は、単なる「指揮者」や「管理者」ではありません。クライアントのニーズを的確に把握し、それに応える最適なリソースを組み合わせて結果を出す「創造者」です。多様なプロジェクトに関わる中で、自分自身の成長も止まることなく、さらに豊かなキャリアを築くことができるでしょう。

終わりに

令和という新しい時代において、スペシャリストとしての栄光を追い求めるだけでなく、プロデューサーとしての新たな挑戦を視野に入れてみてはいかがでしょうか。ピークアウトする前のタイミングでプロデューサーに転身することは、単なるキャリアの延命ではなく、自分自身をさらに進化させるための重要なステップです。

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