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メアリ・ロビネット・コワル「宇宙へ」読んだ

最近翻訳の出た「火星へ」が火星移民の話と聞いてまずはシリーズ一作目の「宇宙へ」を読んだ。
お話は移民ではなくいわゆるロケット開発が題材だった。
表紙は硬いSFっぽいけど作者は女性で、明るくとっつきやすい女性版ファーストマンといった趣。

元陸軍航空軍婦人操縦士隊の物理学者が宇宙飛行士になるまでの話。
歴史改変物というらしく、「隕石の落下をきっかけに人類が月に移民する必要に迫られ宇宙開発を始めた」という実際の歴史から枝分かれした世界が舞台。

技術的な側面より女性として宇宙飛行士を目指すプライベートな側面がテーマのよう。
差別問題なんかを取り込み「女性としてどう感じたか」が語口なのでサクサク読めて架空の宇宙開発が俯瞰できて面白い。
フィリップ・カウフマンの「ライトスタッフ」NASAで宇宙開発に携わった女性計算士が題材の「ドリーム」を見ているので、小説とそれらの映画が相互に補完されて不思議な気持ちになった。

次作はいよいよ火星でコロニーを作るかもしれない。ひょっとしたら火星に着くまでの話かもしれないけど、その場合は月での植民か宇宙ステーションでの移民はしているはずなので、それだけでも楽しみ。


個人的に惑星移民はリアルな方がテンションが上がる。面白かった作品は以下。
スケールの大きな土木建築現場のようで絵空事ではない感じがして興奮が収められなくなる。
谷甲州「星を創る者たち」
小川一水「第六大陸」
太田垣 康男「MOONLIGHT MILE」

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