女性社会の厳しさ
今回の記事では女性社会の厳しさを私が学んだエピソードを紹介する。
それは前に勤めていた会社での出来事だ。
当時、新人だった私のその会社での主な業務は電話番などの雑用だった。そのため少しでも早く仕事ができるようになりたいと渇望していた私は、私なりに任せられた数少ない業務にまずは精一杯取り組もうと考えていた。
そんなときだったから、電話番を任されたときに電話がかかってきたときは、責任の重さを感じるとともに、ここで結果を出して認めてもらおうと、私は、ややはりきってしまう部分があった。
後にそれが上司から信用されなくなる一因になるとも思わずに。
ある日のこと。私が電話の内容をメモした紙を上司の机に置いておくと、それをみた上司が心底呆れたような表情をつくり低く冷たい声色で「こんなことしなくても私分かるから」と言ってきた。上司が言う“こんなこと“とは、伝言メモの重要な箇所に蛍光ペンを引くことだった。私自身は情報量の多い電話の内容を少しでも分かりやすく伝えたいと思い工夫したつもりでいたが、上司は私の余計な一手間にイライラしていたのだった。
私はやや納得のいかない気持ちになりつつも、すぐに上司に自分の不手際を謝罪し、今後は蛍光ペンで線を引かないことを約束した。
そして、あくる日のこと。私は普段からよく相談に乗ってもらっていた他の先輩に「電話番もメモひとつ残すだけでも難しい仕事ですね」と愚痴をこぼした。するとその先輩は親切に「私はいつもこうしてるわよ!」と自分なりのメモの方法を教えてくれた。 それは各項目にボールペンで線を引いて分かりやすくするというものだった。
私はその方法に若干の不安を覚えつつも「いままでこの先輩がしてきて良しとされてきた方法なのだから真似してみよう」と思い、さっそくその先輩に教えて頂いた方法で書いたメモを前述の上司の机に置いてみた。
するとその上司は事務所へ戻り私のメモを見るなり「この間も言ったよね。私はこんなことしなくても分かるって!」と前回の数倍増しの勢いで怒り始めた。私はその上司の勢いに圧倒され、弁解する間もなく「すみません」と謝った。
そしてこの一件を通して私はさらにその上司からの信頼を失ったのだった。
ちなみに後日、私にボールペンで線を引く方法を教えてくれた先輩がその上司にメモを渡すと、その上司は書き方は私にキレたときと同じであるにも関わらず「いつもありがとうございます」と何事もなくにこやかに受け取っていた。
私はその態度の違いに悔しさを覚えつつも、これが女性社会の厳しさなのだと学んだ。
仕事の内容や結果ではなく、好き嫌いや関係性によって評価や待遇が決まる。女性社会はそんな場所なのだと私は学んだ。
あれから数ヵ月。私はたった半年でその会社を辞めたが、後悔はない。
私は好き嫌いだけで人を判断しない。その会社を辞めたのは、そんな自分になるための第一歩でもあったと思う。
自分の決意を守り抜ける自分になれるように、私は日々成長していく。