【小説】ミリオネア清掃員下村龍之介 11
第十一話 コンビニエンスストアー
オレの名は下村龍之介。
無鉄砲なミリオネア清掃員だ。
財津梅子と離れ離れになってしまったが、
オイラには新しい仲間ができた。
月光荘の3人だ。
月光荘での生活も1ヶ月が過ぎようとしていた。
ここで、月光荘の3人の事がわかってきたので紹介したい。
まず『木村さん』
彼は東北出身の東大を目指す受験生で、これまで7回連続で試験に落ちてるようで、次の8回目のチャレンジが最後の受験という事で日夜、月光荘で勉強に励んでいるのだった。
そして『久保田さん』
久保田さんは月光荘の近所の『サン・ストアー』という当時出来始めたコンビニエンスストアーで深夜アルバイトをしていた。オイラも久保田さんの紹介でそのコンビニエンスストアーで働くこととなったんだ。
最後に『蜂須賀さん』
久保田さんが中近東を旅行している時に知り合って久保田さんが住んでいた『月光荘』に転がりこんできたようで、正体は謎に包まれていた。みんなから年上みたいだから『先輩』と呼ばれていたようだ。
オイラは久保田さんの紹介でコンビニエンスストアー『サン・ストアー』でアルバイトを始めた。
22時から翌7時までの深夜時間でオイラが月・水・金で久保田さんが火・木・土で日曜日はオーナーの大学生の息子さんが入った。
久保田さんは仕事を丁寧に教えてくれたので、オイラは忠実に守ってやっていた。
スケジュールはこんな感じだ。
22時、出勤と同時に中間実査という現金の棚卸しを行い、そこまでのレジの現金が合っているかどうかを確認する。
そして2時間ほどレジの対応をして、0時になったら品出しだ。
スナック菓子やカップラーメン、ソフトドリンク(業界ではジュースとは言わない。)のバックヤード在庫を売り場に補充するんだ。
補充は新しい商品を後ろに並べるため一旦出して入れてそしてその前に出した商品を入れるから意外と時間が掛かるんだ。
もちろんソフトドリンクも同じだ。
今は、ほとんどの店が後ろから補充出来るウォークイン冷蔵庫だから簡単だけどオイラの時代は前から補充してたんだ。ww
そして前進立体陳列で売り場全体を整えて1時間の休憩だ。
休憩中もお客さんが来たらレジに出て行って対応しなければならないんだww
そして休憩が終わったら床清掃だ。
床清掃なんてモップで拭くだけかと思っていたが、全然違うんだ。
5ステップの段階があって終わるのになんと2時間かかった。ww
5ステップとは次のような感じだ。
1 ホウキではいて大きなゴミをとる。
2 ダスタークロスという紙でできた科学雑巾みたいな物で微細なゴミをとる。
3 薄めた洗剤をつけたモップで水ぶき。
4 乾いたモップで拭き取り。
5 バフィングマシーンという研磨する機械でワックスの表面を平にする。
そして5時になったらお弁当が納品するのでそれを検品して陳列して少ししたらオーナーの奥さんが出勤してきた。
清掃の5ステップはオイラは勤務に入ると手を抜かずに毎回正確にやっていた。
すると、オーナーから床の光沢度が全国一になったと知らされた。
床の光沢度なんか計っていたのか?ww
確かに店の床はガラスのようにピカピカだった。
そしてオーナーはオイラにこう言った、「みんな清掃の仕方はマニュアルに書いてあるからわかっているんだ。だけど、それを誰も見てない深夜に真面目に毎日完璧にやるヤツなんていない。下村君、君は素晴らしいよ。」
オイラはコンビニエンスストア『サン・ストアー』の春の商品展示会で全国のオーナーさんや本部社員さんの前で表彰される事になった。
初めて就いた仕事で、初めて褒められ、初めて人前で表彰される経験は今後の下村龍之介の人生を大きく変えていった・・
つづく・・はず。
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