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天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿14-1

社長の備えるべき要件(14-1)
まず、はじめに社長の仕事と役割や責任について考えていきたい。社長は会社全体を管理し会社経営を永遠に持続させることに責任を持っている。持続させるということは従業員を雇用し続けなければならず、そのためには顧客あるいは社会から支持され、「なくてはならない」、「お役に立つ」という存在意義や価値を持つことが必要となる。
ということは、「社会貢献」、「顧客満足」、「従業員満足」、「取引先への貢献」、「地域貢献」などを前提とし、さらに「安定した資金繰り」ができていることである。
 
極端にいえば、従業員が楽しくやりがいのある職場であって、資金にも余裕があり安定した良い経営状態を作り出すことである。中小企業における社長の究極的な役割は、提供すべき「商品やサービスの確立」、それに従業員にやる気を持たせるための「人の管理」、そしてスムーズな資金繰りを可能とする「お金の管理」に集約することができる。
 
では、社長が備えるべき要件は何か。特に中小企業においては、社長自身の人間性に代表される「人格」(人間力)がまず備わっていること、次に経営を遂行するために必要な知識、技術、手法などのノウハウである「スキル」(経営力)である。そして、この二つに加えることとして、経営を動かす判断力や実行力、そして行動力がなければならない。
 
中小企業の多くの経営者にみられる特徴として、知識や技術、マーケティング、経営力、管理力などを学ぶためのセミナー等に熱心に参加しているが、ややすると経営手法、管理手法、計数管理などやや難関な課題を理解するための勉強に励み、自己満足している姿も少なくない。
 
特に商工団体の青年部や地域の経営者の集まりに出席し、かなり高度な経営に関する勉強会に参加することで、あたかも経営者たる人格や能力が備わったような錯覚に陥っている。勉強会やセミナー等に参加することは大いに結構だが、これらの点のみに偏りすぎ、知識や技法はかなり詳しいのに人格や行動力が伴わない例がみられる。
 
知識や技法を知り会得することで立派な経営をしているという錯覚に陥っている。特に二代目、三代目などの経営者に共通している。そして、これらの社長には、経営に関する知識や手法、ノウハウなどはかなり詳しく知っている。そして、経営管理力や技術力のみで経営がスムーズに展開できると錯覚している。また、理論や理屈が先行し行動が伴わないという共通点もある。
天風氏は「成功の実現」の中で、「どこまでもまず人間をつくれ。それからのちが経営であり、あるいはまた事業である」と言っているが、人格の形成なくして経営がうまく運べないのは過去の歴史をみればわかる。

また、「変化なくして発展はない」ことも明白である。多くの社長は行動を起こす前に躊躇してしまう。その原因は「もし、失敗したら・・・」、「面倒だ・・・」など弱気や慎重になってしまうからである。しかし、重要なのはまずは「行動する」を優先しなければならない。
ある目的をもって行動すれば、その結果として何らかの変化が生まれる、変化すれば次の手が打てる、この繰り返しが経営であり、「P-D-C-Aサイクル」を回すという経営管理の基本はこのことを意味する。すなわち、変化しなければ発展はなく、行動なくして変化はない。

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