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天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 23

自然現象から経営を学ぶ(23)
今回は、今までの堅い話から目をそらし、以前に読んだ「眼からウロコが落ちる本」(笠巻勝利著)から引用(①、②、③の「 」内の文章)し、経営に関連づけて感想を述べてみたい。
 
①ゆでガエルの話
 「カエルを使っての実験、まずカエルを水に入った洗面器に入れ、下から徐々に熱してやると、しだいに水温が上がり、熱くなったのを気がつく頃には外に出るタイミングを失って、ゆでられて死んでいく。ところが、熱いお湯の状態でカエルを放り込むと、カエルは必死になって容器の外に飛び出して助かる。」

 経営における変化には主に内部環境と外部環境に分けられ、内部環境(会社内)の変化は徐々にゆっくりと変わっていく。
それに対し、外部環境の変化は急激にやってくる場合が多く、過去には戦争やリーマンショックなどによる経営の影響などが挙げられる。一方、内部環境の変化には社風(会社の風土)の変化や組織のマンネリ化などが挙げられる。今回のコロナ禍による影響はこの中間の状態といえよう。

内部環境変化は経営基盤に穏やかな影響をもたらし、それが徐々に経営全体の脆弱さとなって現れ、気がついた時には手遅れとなることもある。一方、劇的に起きる景気悪化や突然の競合店の進出、顧客や取引先の急激な変化には敏感に感じ取り、それ相応の対応策が施される時間的余裕がある。
 社長は常にわずかな変化にも敏感に感じ取り、早めの対応策を打つ準備と判断力と行動力が必要となる。それには常日頃から内外環境の変化を感じ取る情報の収集と先を予測する先見性を身につけるよう努力しなければならない。

②変化の行方
 「野菜の種をまくとき、できるだけ間隔を詰めてビッシリまくと、お互いに競い合って成長が早い。どっちみち、後で間引きするよりは、種をまく時点において一粒一粒の種の間を開けておく方が合理的と思って種をまくと,種はお互いの競争がないため成長が遅くなる。これは種ばかりでなく、木についても同じ現象がみられる。自然に生えた苗であれ、人間が行った植林でも、競争して早く伸びる方が太陽の光を一杯浴びることができることを植物は知っている。」

 企業は永遠に継続(ゴーイングコンサーン)していかねばならないが、そこには競合他社との競争や顧客ニーズの先取りなど、常にアンテナを立てて日々努力を重ねていく必要がある。しかし、現実は顧客変化に対応し、競合他社との競争に打ち勝ち、安泰としている時間がないのが実態である。
しかしこのような競合状況がなければ、現状にとどまり発展も顧客や社会の進展もないことになってしまう。競争は勝つか負けるかの戦いではあるが、一方ではこの競争が企業発展の原動力ともなり、それが顧客や社会全般の進化にもつながっている。

若干古いデータで申し訳ないが、「会社の寿命」(日経ビジネス編)の中で企業が繁栄を謳歌できる期間は僅か30年という調査結果があった。
現状をみると、役割を終えた会社(企業)がいかに多いことか。右肩上がりの時代、すなわち需要が供給を上回る時代には地域社会などに対し経済発展のために尽力をつくし、それなりの役割を担ってきたが、今はその役割も終焉を迎えた企業は多い。
変化の激しい時代、人口や需要が減少する時代、さらに国、県、市町を挙げて創業支援に取り組んでいる今の時代、そんな中で「いつまでも頑張る必要はないですよ」と言ってあげたい。
私自身の考え方は廃業も立派な経営戦略だと声を大にして訴えているが、残念ながら相談のタイミングは総じて遅い。企業の新陳代謝を行うためにも、役割を終えた会社は前向きで積極的な廃業を考えるべきであり、早めの廃業こそ経済合理性にかなっていると常に思っているが残念ながら相談のタイミングが遅いのが現実である。

③アイデア
 「4人が集まって会議をやる。かりに4人がそれぞれ1万円を出し、会議が終わったら自分の1万円を持ち帰ったとしたら誰も財産は増えない。しかし、4人がそれぞれアイデアを1つ持ってきたら会議が終わっても3つのアイデアを持ちかえることができる。」

 無駄な会議を開催している会社は意外に多い。ある会社の会議に出席するようになって感じたことであるが、社長が一方的に発言し、無理に課題を命令的に押し付ける内容で終始していた。一堂に集まり何かを語り合っていれば、それで満足しているケースが見受けられる。
 この例にもあるように、参加者それぞれが前向きの意見や改善提案、あるいは今日的な課題を出し合い、多くの意見の中から結論を導くようなスタイルを取るべきである。
 
④セールス
  第1回の訪問であきらめる人   48%
第2回の訪問であきらめる人   20%
第3回の訪問であきらめる人    7%
第4回の訪問であきらめる人    5%
4回までの訪問で80%の人があきらめる。新規開拓で成功するのは4.7回目というデータがある。
 
 セールス(営業活動)に限らず、新商品の開発、生産現場の見直し、販売促進のやり方など、会社の活動の中で「成果が出ない」や「うまくいかない」などの理由で簡単にやめてしまう例が多い。あきらめも必要かもしれないがある程度努力し、そのうえでの結論なら仕方がない。
 
 PDCAサイクルを回して経営管理を行う手法は、企業の規模にかかわらず絶対に必要な考え方である。計画を立て実際に実行に移す、その場合必ずと言っていいほど計画値と実行値は一致しない。
しかし、そこで計画と実行との違い、すなわち差異分析を行うことで次の計画に活かすことができる。1回目の差異分析で原因がわかって2回目も同じような経緯を辿ることがある。
同じ過ちを繰り返すことは避けたいが、同じようなやり方を数回行うことでできない原因がわかり問題解決することがある。

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