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天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿29

成功への道は「思うこと」から始めよ!(29)
松下幸之助氏のダム式経営(イザという時にために事前に資金を貯めておくこと)は有名である。松下氏がこのテーマで講演会を行った後の質問の時である。
質問者は「聞きたいのは、この資金をどのように確保するかであり、この方法を教えてほしい」と言ったそうである。松下氏は、「私にもわからへん、でも、そう思わなければあかんのや」と回答したそうだ。
この講演会を聞いていた京セラの稲盛社長(当時)は「その通りだ」と納得したという。この2名とも、名実とも偉大な経営者であるが、両者に共通しているのは中村天風哲学を勉強していたという点である。
 
 天風氏や稲盛氏の書籍の中で随所に出てくるのが、「新しき計画の成就は、只不撓不屈の一心にあり、さらばひたむきに只想え、気高く、強く、一筋に」という言葉がある。簡単に言えば、自ら将来の夢を描き、目標を定め、強く思い込むことが自身の潜在意識にインプットされ、やがては実現あるいは顕在化するということである。
 
まず、心に思うことが実現の第一歩なのである。また、天風氏の言う「健康も運命も心一つの置きどころ・・・」という言葉も然りである。
経営においても、実行する前から「無理だな」、「できないな」と思えば、まず実現は不可能である。経営における戦略や計画などの策定時などにおいても、まず定めるべき目標は、やや厳しいなと思うぐらい高いところに定めて、強く達成を描き、目標に向かって努力していくことである。
これが目標到達の最も近道で、しかも成功する確率もかなり高いといえよう。したがって、「思う」ことは前向きで、積極的な内容でなければならない。しからば、途方もない、できもしない目標を掲げても絵に描いた餅になることは明白である。
 
企業の繁盛や繁栄は、その状態を強く思い描くことが大切であるが、単に「ああなりたい」、「こなりたい」、「ああなったら良いな」では実現は難しい。具体的にその成功後の当社の姿を強く具体的に想像することが大切であり、それもできるだけ頻繁に毎日のように思うことである。
そうすることよって、それが心の内部にインプット(潜在意識の中に)され、折をみて顕在化しようとする言動が現れる。一方、マイナス的な消極的なことばかりを思うと、知らず知らずのうちにマイナス的な言動が現れ、経営全体が負の方向に、そして窮境状態に向かってしまうのである。
 
したがって、企業にとって重要なことは社長自身の「心の持ち方」であり、社長自身の考え方や思い、行動は徐々に社員全体に伝わり、知らず知らずのうちに社長の思いが浸透し、社風という形で現れるのである。だから社長は常に会社の将来像を描き、事あるごとに社員に伝え理解していただくことが重要となる。もし、社長に将来に対する夢がなければ、社員も全く同様に夢を抱くことはなく、毎日をなんとなく過ごしていることになってしまう。
 
 社長が将来の姿を描き、達成するための具体的な目標を定め、社員全体がその方向に向かう気持ちをしっかり持っていれば、その目標達成のために無意識で行動に現れ近づいていくものである。したがって、まず社長自身が、そして社員全体が、その目標達成を「必ず達成するぞ!」という強い「思い」がなければならないのである。


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