見出し画像

相談事例と天風哲学(事例6) 10

(設備メンテナンス会社の例-6)
 当社は工場などの設備機械等をメンテナンスする会社である。この会社からの相談は、いつもこれといった明確な内容ではなく、常にピントが外れている。しかも社長夫人からの電話相談が中心であり、一方的に話し出したら止まらない。
 何を相談しようとしているのか理解ができずにいるが、その都度の自分の悩みや出来事を吐き出しているに過ぎない。

 最近の相談であるが、取引先、金融機関、社長(夫)の欠点や出来事などを一方的に話すだけである。そして一通り話が終わればすっきりしたのか、それでおしまい。当方からアドバイス等を言っても、アドバイスの実行はもとより、それらしきことは一度もやったことはない。それでいて、いつもの通りの内容を繰り返して同じような質問ばかり。

 また、最近の例として、各金融機関(4行)とのリスケの再延長の手続きで、そのうちの1行とトラブルが起き、その件で電話があった。夫人としては、誰かに聞いて欲しくって連絡してきたのだろうと思うが、話を聞いてみても自社の対応に問題があることを棚上げている。そんな電話をする暇があるのなら、仕事に熱中するよう諭した。

 このように問題点の多くの原因は、自社あるいは自分にあるのに一方的に自分以外にすることで話を聞いてもらいたいというのが本音かも知れない。単に聞いてあげればそれで収まるのだが、このような相談はダメな会社の共通点の一つである。

 天風氏は「自分の人生を考え、問題を解決するのは自分の責任だ。これを悟った人は、何か他のものに頼ろうとか、すがろうとかいう気持ちはなくなるはずだ」と断言している。特に経営の相談では、あらゆる場面で意思決定をしなければならず、それができないようなら経営者失格であるといっても過言ではない。

 知らないことを相談するなら致し方ないとしても、企業の重要な意思決定は社長自らできなくて経営が務まるわけがない。
 ただ誰も聞いてくれないから当方に相談しているのだと思うと有難いと思うべきであり、できるだけ丁寧に答えようとはしているのだが・・・。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?