音楽家の構造
Essential Management School のArt, Sports, Entertainmentコース。すでに修了しましたが、Noteに掲載していなかった濃いところを公開します!
今回のインプット
https://www.youtube.com/watch?v=dMkUv4A06s0
https://www.amazon.co.jp/dp/B00FUUWV7U
「聴くではなく捉える」
「よく聴け」といっても、聴いてから反応していたら、コンマ何秒か音を出すのが遅れてしまいます。この遅れの問題は、どうしているのでしょうか」
私が田上陽一さんに問いかけ、塩谷哲さんも一緒になって答えてくださった。
「一つのコンサートを作るときに、その場で生まれたテンポやリズム感を大切にしている。そのためには良く聴くこと。”聴く”のレベルは、相手の気持ちまでも知ろうとすること。相手をリスペクトすることで聴ける」
「実際には“聴く”ではなく、相手を“捉える”方が近い」というものだった。
「捉える」・・・この一言を得るためにここに自分は辿り着いたのだと確信した。
さらに塩谷さんの話は続いた。
「インタープレイをしていると相手と自分、どっちがどっちの音を弾いているのかわからなくなる」「そして次に何が起こるかが見通せるようになる。それに対して演奏している」
Aha!モーメントだった。そういうことだったのか。
ジャズは大部分が即興で行われる。その場で音楽が作られている。
でも即興だから雑だということはなく、洗練されたものが多い。
この即興性と完成度の高さが両立する構造がストンと理解できた。音楽の演奏の本質を突いている答えだった。
自分の音楽がお金に変わる瞬間
誰かの真似をしている間は、お金を払ってくれる人はいない。既存のもので世の中が満足しているから。
自分にしか出せないものを出せた瞬間にお金を払ってくれる人が現れる。
お金で評価されるのは悪くない。相手が喜んでくれたらそれに価値がある。
捧げる対象がある曲が捧げる対象に届いたときに一番価値が出る。
音楽そのものの価値はいろいろ。自分が満足するのと対象に届いたとき。
感性のままにやる素晴らしさ。VS お金を払う人が納得する素晴らしさ。
物事を極めて、良いものを作ろうとすれば、楽しいだけではなく、産みの苦しみがある。でも完成するとその苦しさを忘れてまたやろうという気持ちになれる。
徹底した研究
田上陽一さんは、ヘビメタが好きなのに、本格的なボサノバを作る。
新しいジャンルをやるときには、そのジャンルを好きな方々にも認めていただけるように研究しているという。そのジャンルの”キュンとくるポイントを外さないようにしている”のだそうだ。
亞門さんの新しい作品を作る際に徹底的に調べることと通じる。
「このジャンルのこれを仕上げるという明確な目標・ビジョン。達成するために一番の近道は何かをロジカルに考える。ビジョンが山だったら、どの登山道を登ろうと思うか」
「楽しんでいるよりも辛いことの方が多いが、出来上がってしまうと辛さは忘れる。新しいジャンルにまたチャレンジできる。仕上がって結果が出る喜び」
仕事との向き合い方について、学びを得た。
今やっていることの先に何があるか。
その人に見えてくるものがより広く伝われば良い。少しでも広い世界を。音楽をやっているところで留まってはいけない。
自分を媒体にして良いことを実現する
What shall I do with myself?
自分の事業を通して世の中をどう良くしていけるか。
最終的に目指したいものを見出しておくこと。
自分がこうしたい、こうなりたいという道のりを見失わないように。
人に評価される、名が上がっていくことは良い。
有名であることに価値はある。良いことをやっていくためには有名であることも大切。多くの人に良い影響を与えられる。なので、何かを持っている人であり続けることが重要。そして、役を全うする。役割を果たす。
キーマンとの出会いを大切にする
塩谷哲さんは、「この人とやりたい」で導かれてここまで来た。何でも話せるような友達、自分をさらけだせる相手が大切だという。人付き合いの基本だ。
核になる資質だけは早いうちに鍛える
塩谷哲さんは、エレクトーンはやっていたものの、ピアノは中学から始めた。中学からピアノを始めてトッププロになれるものだろうか。
実は、幼少の時からブラームスを聞き、オスカーピーターソンを見聞きしていた。音楽を演奏する核になる資質の開発はとても早い時から始まっていた。音楽の核になる資質は腕ではなく耳に宿るのだろう。
クラシックやジャズに早くから触れていれば、楽器の演奏技術はその上で伸びるということか。
同様の構造は、音楽以外でもスポーツからビジネスに至るまで幅広く当てはまるはずだ。
高校での進路選択。文系か理系か。両方イマイチだったらアーティストかもしれない。世の中、2択だと思っていたものが3択だったということがある。塩谷さんは、芸大に進んだ。
中で鳴っている音楽と技巧
大切なのは、今表面的に見えているものではないということ。
その人の中にどういう音楽があるのか?そもそもその人の中に音楽がないのか。中に音楽があるけれど、それが弾けないのか。
技巧は中で鳴っている音楽を外に出すために必要。ただ、弱点が個性につながるところもある。弱点は克服するよりも生かす。
技巧がいくらあっても、中で鳴っている音楽がなくては仕方がない。スキルがあって、楽器が上手ければ良いというわけではない。
塩谷さんが頻繁に語るCarlos Santana。
Santanaの音楽はなぜ50年間不動の評価を得て人気があるのか。中の音楽と技巧と弱み。そして、陽一さんが語っていたビジョン。この先に何を実現したいのか。これが全て外に出ている。すごいわけだ。
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