
Water
何がその人をその人たらしめるのかは謎だけど、
私はウォヌの感性が好きだと思う。
彼が心を動かされるものが、好きだ。
彼が選ぶ景色や、曲、
聞かせたい旋律や歌詞、
彼の伝えたい言葉たち。
どのピースがどのくらい揃えば
"その人"になるのか分からない。
その人の感情を動かすものか、
思考の芯にある本人も知らない深層心理なのか、
他人に見えている上澄みなのか、
これまでの経験全てなのか、
生まれ持った脳の造りなのか、
どれでもないなにかなのか、
はたまたその全てなのか。
バーノンは、「見えないものは見えないままにしておきたい」と言った。
見えないものこそがその人の本質なら、
私はウォヌのことを何も知らないことになる。
見えている彼が、彼自身が見せたいなにかだった場合、
あなたは私の前にはいないのかもしれない。
ウォヌ、あなたが好き。
何よりも、誰よりもあなたが好き。
あなたが私の知らない誰かであったとしても、
それでも好きだと信じたい。
あなたがそこにいなくても、
私のあなたはそこにいてくれる。
私は私の思うウォヌが好きだ。
見える他人を信じることより
あなたが見えない誰かなら、
その方がずっと生きやすい。
この前友人が、「命の母を飲んで、イライラしなくなった」と言った。
感情に支配されるのが嫌だった。
ずっとずっと嫌だった。
「こんなの私じゃない」と何度思ったか分からない。
小さなきっかけで必要以上に沈むこと、
たわいも無いことで怒りに支配されること、
なんともない事で終わりを望むこと、
その全てが嫌だった。
あんなに嫌だったのに、私は
「人間やめさせられてるじゃん」と言った。
あれだけ嫌だった。あれだけ辞めたかった。彼女は私が感情に飲み込まれて全てを終わりにしようとした時、トンネルの向こう側にいた。私にそんなことを言う資格はない。
感情そのものが私の正体なのか、
感情に支配されている私こそが私なのか。
感情が薄れていくことと、感情に支配されること、どちらかしか選べなかったらどちらを選ぶだろう。
この口で、私は「ウォヌが心を動かされたものが好きだ」と言う。心が動かされることは、感情が生まれたことを言うのではなかったか。
バーノン、見えないものは見えないままにしておきたいと言ったあなた自身に、見えないものは見えていますか。