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エンジニアブーツを買った話


俺がかっこいいと思った大人たちは全員ブーツを履いてバイクに乗っている悪い大人だったから、エンジニアブーツが欲しいと思ったのは中学3年生とかなり早かったように思う。

周りの友達が次々とTimberlandを履く中、自分だけはエンジニアブーツが欲しくて、近所の靴屋さんのクリスマスセールで3千円になっているショートのエンジニアブーツを購入したのを今でも覚えている。ブランド知識も無かったし、とにかく少し悪く見えて本革であればそれでよかった。

このエンジニアブーツがきっかけで、レザーという物の魅力にハマっていたのだと思われる。



エンジニアブーツとは無縁の生活



中学生でエンジニアブーツを買って、高校を卒業するまで雨の日も風の日も毎日履いていたのではないだろうか。

俺が学生時代の頃はいわゆる渋谷のお兄系のファッションが猛威を振るっていて、エンジニアブーツとの相性が良い洋服がそこらじゅうに転がっていた。

買えもしないのにJACK ROSEというブランドのお店に通い詰め、執拗なまでに接客を受けて困っていた気の弱い少年だった。今思えばとても迷惑なお客さんだった。

ブランド知識もなく、お兄系のレザーの着こなしだけを覚えた俺は「俺は誰よりもオシャレだ」と過信してそこから地元のアパレル会社に就職することになる。

そこで一通りブランド知識、レザーの知識を学んだ俺は、「良いブーツに出会うまでブーツを履かない」と決め、長らく履いていたエンジニアブーツを手放した。

そこから再びエンジニアブーツを履き出すまで、実に6年という年月が経っている。



6年後、理想のエンジニアブーツに出逢う



紆余曲折あり、ルイスレザーに出逢ってからWhite'sのスモークジャンパーを購入し綺麗目なライダーススタイルにハマり、かと思えばアルチザンに傾倒しincarnationのレザーを購入してguidiやa1923を履き倒すなど、エンジニアブーツとは無縁の生活をかなり長いあいだ送ってきた。

もちろんエンジニアブーツを履きたくなる気分の時もあったし、前職場にはRED WINGの取り扱いがあったため、購入するチャンスはあったのだが、どうも自分が理想とするエンジニアブーツではなかったらしく、結局買わずに退職してしまった。


今の職場に就職してしばらく経った頃、職場の店長が細身のエンジニアブーツにブーツインしながら通勤してきた。正直ブーツインなんてありえないと思っていたのだが、なぜかその時は死ぬほどカッコよく見えた。

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それがphigvelのブーツだった。当時このブーツを取り扱う店にもスタッフとして立つことが多かったため、このブーツのことをよく眺めていた。WESCOやWhite'sのようにゴツすぎないシャープなシルエット。

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そしてホースバットを使ったボディに走る、トラ目と言われる模様。

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それはもうこのブーツの虜になり、店頭に立つ度に試着しては写真を撮った。

そしてある日、お店の売上がゼロだった日、責任という理由をつけて俺はこのブーツを買った。

というかこの日を待っていたんだと思う。



やっぱりエンジニアブーツが良い



俺は仕事柄よくマルジェラを着る。もちろん大好きなブランドの一つではあるのだが、全身マルジェラで固めて綺麗に見えすぎるのはあまり好きじゃない。マルジェラに見えない感じの着こなしをして、「それどこの?」と聞かれて「実はマルジェラなんだ」と答えるのが好き。

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この写真はブーツ以外は全部マルジェラ。マルジェラという高級メゾンなのにあの時俺が憧れた悪い大人を表現したくてこうなってしまった。本当は足袋ブーツを履くべきなのだろうが、この組み合わせにおいてはエンジニアブーツしか勝たないと思っている。

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どうして破れたデニムとエンジニアブーツってこんなに相性が良いんだろう。



圧倒的な女子ウケの悪さ



エンジニアブーツはモテない。知っている。知っていたさ。学生時代、嫌というほど思い知った。Timberlandに浮気してやろうかとも思ったが、Timberlandが2万円もすることを知ってやめた。

モテる服装のコラムなるものでエンジニアブーツが出てきた試しがない。多分女の子がデートで履いてきて欲しくない靴のベスト5にはエンジニアブーツがランクインしていると思われる。

なのでこのブログは日記調にした。

お前のブログを見てエンジニアブーツを買ったのに目当ての女に嫌われたなんて言われたらたまらない。

俺は決してエンジニアブーツを勧めてない。

エンジニアブーツを見てうっとりしているだけだ。

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この履きシワや汚れ、トゥーの反り上がり。どれも女性には理解しがたい男のロマンを感じずにはいられない。

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見るからに強そうなこの見た目のブーツが、時間をかけて自分の足に馴染み、自分だけの履きジワがついていく。このストーリー性もブーツの魅力である。

いつかこのバックルをシルバー製にカスタムしたいなぁ、とか妄想しながら2日に一度このブーツに足を通している。

まあ一年は履いていると思うのだけど、まだ硬さが残っており「お前みたいな軟弱小僧に俺はまだまだ履きこなせねーよ」と言われてるみたい。

まだまだこのブーツは俺を素敵な場所に運んでくれてその度にまたストーリーが出来る。そんな妄想をしながらこのブーツの履きジワ見ているとそれだけで今ウイスキーが空いた。








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