見出し画像

早押しクイズの問題を作る時に考えるコト【ジャンル:田村ゆかり】

この記事は、ゆかりっく Advent Calender 2024 の6日目の記事です。


昨日は壱音さんの「太陽はずっとずっとキミだよ。」でした。

田村ゆかりさんの歌、月を題材としたものは多いですが、でも同時に、多くのファンにとっての太陽でもありますよね。
「とても眩しくてあたたかい」という表現、まさにその通りだよなぁと思いますし、強く、感情が伝わってきました。


改めまして、"くろ" と申します。

今年のアドカレ企画では、2日目にも記事を書いています。
歌詞解釈という名の自語りではありましたが、多くの方に見ていただけたようで、とても嬉しいです。

最初は上の記事だけの予定でしたが、先月末に「もう一本、書きたいネタがあるな」と思い当たりまして……主催のぷるおさんに許可を貰って、プラスで書かせてもらうことにしました。ありがとうございました。

本記事で書くのは、自分の趣味の1つ、早押しクイズと絡めた内容です。

自分は高校・大学で7年間、クイズ研究会に所属していました。

卒業してからはそれほど触れては無かったのですが、YouTubeとかクイズアプリなどでちょっと思い出しつつ、自分でクイズを作る、いわゆる作問というのは定期的にやっています。

思い出話ですが、2018年のFCイベント(@パシフィコ横浜)のコーナーで、「クイ研の人いないかなー」と言われた時に手を挙げてみたら、本当に指名されて(スマホ越しに)直接の通話をするという、奇跡もありました。
ありがとうサクマドロップス、という感じでしたし、クイ研に所属していて良かったと思えた瞬間でしたね。


そこで今回は、2つの趣味を合わせてみようということで、「もし田村ゆかりさんに関する早押しクイズの問題を作るとしたら、どういう風に作るのか」を、題材にします。

そして、問題文の作り方だったり、"こういう風に情報を乗せていけば楽しいよね" という内容も、せっかくなので書いてみたいなと。

クイズの技術論的な部分は多いですが、ちゃんと田村ゆかりさんに関係がある内容で書いていければと思いますので、お付き合いいただけたら幸いです。
ここから5000字くらいです。(目次が全然関係なさそうに見えてしまう)


・クイズの種類について


まず、何故「クイズ」でなく「早押しクイズ」と限定したかと言いますと、クイズにはいろんな出題形式があるからです。

画像を見て答える「ビジュアルクイズ」、学校のテストのような形である「ペーパークイズ」、曲を聴いて答える「イントロクイズ」など、本当に色々です。

たとえばビジュアルクイズの場合。

お台場ではつい撮りたくなる場所です


【Q, この場所がMVのロケ地となった、田村ゆかりの楽曲は何でしょう?】
【A, 『あのね Love me do』】
という感じになります。

ペーパークイズの場合は、紙面上に問題文を乗せる形なので、ちょっと長めの問題になる場合がありますね。考える時間を多く作れるので、その分、文面に情報を盛り込むことも出来るからです。

紙面上という特性を生かすなら、以下のようなものも。

【Q, 田村ゆかりの楽曲『惑星のランデブー』で、"惑星" は何と読むでしょう?】
【A, ほし】

歌を聴いたことがある人なら、歌詞にも「ほし」というのは出てきますのでわかりやすいですが、全く知らない人だと、難読読みという感覚なのでしょうか。

一方で、早押しクイズみたいに "読み上げで出題をして、誰か1人だけが押して回答できる” 形式の場合は、耳だけで聞き取りやすく、理解しやすいような問題文にする必要があります。

もちろん、早押しクイズの中でも色んなパターンがありますし、「何個も情報を入れて長文の問題にする」という意図で作る場合もあります。
長文オンリーのクイズ大会も多く存在するくらいなので、多種多様です。

ただ今回は、「もし短めの問題文で、田村ゆかりさんに関するクイズを作るとしたらこんな風に」という趣旨で書いていきますね。


・基本的な作り方 (情報をいくつか並べる)


まずはシンプルな例で、答えが「田村ゆかり」になるものを作ってみます。

【Q, 自身の音楽レーベル「Cana aria」を立ち上げ、唯一の所属アーティストにもなっている、そのファンが「王国民」と呼ばれることでも有名な、福岡県出身の女性声優は誰でしょう?】

このように、情報が2~3つくらいで収まると、問題を読む人(問読み)が読みやすいですし、回答する側も、聴く時間が10秒も満たないので集中しやすいと思います。

そしてこの場合、最初のカナリアの情報の方が、後の王国民という名称よりは一般に知られてないかな?というところで、この順番で並べているのです。

読み上げ問題の場合は、このように知ってる人が少なそうな情報を先に入れて、知ってる人が多そうな情報を後ろに入れることが多いです。そうした方が、知識の差で早く押せる、ということが生まれてくれるからです。

これを逆にしてしまうと、"王国民" と言われたところで皆がボタンを押すので、後の情報が読まれる可能性が減ります。

そうなると極論、【Q, 王国民と呼ばれるファンがいる声優は誰?】で問題が成り立ってしまいますし、せっかくのカナリアの下りが勿体ないな、ともなってしまうのです。

前半で「知ってる人はここで押せるよね」という情報を、後半で「皆が知っているから早く押せるか勝負だね」という情報を入れる。
そうすると、知識&指の速さの両方で楽しめる問題になるかな、というところです。

・ストレートに知識を問う問題

よって、作問をする時は、出したい答えにまつわるたくさんの情報の中から何個かを選んで、数十文字にまとめていくという作業になります。

【Q, 2005年にコナミの制作で放映された、私立宮神学園を舞台として、田村ゆかり演じる主人公・蘭堂りのが奮闘する様子を描いたアニメ作品は何でしょう?】

【A, 『極上生徒会』】

この問題が読み上げられた時に、宮神学園、蘭堂りの、といった固有名詞とか、2005年くらいに田村さんが主演してたアニメを思い出すとか、コナミをわざわざ強調するってことはレーベルがコナミの頃かなと推測するとか、どこかしらで引っかかれば正解が出せるという形にしてます。

問題文に情報が少なすぎると、「もしかしてアレか?」と思っても、間違えるのが怖くて押せなかったりするので……微妙にヒントを散りばめつつ、という感じです。

【Q, 「感情的」を表す英単語「emotional」のアナグラムをタイトルにしている、『逆蜻蛉』『スーパーノヴァ』などが収録された、2023年発売の田村ゆかりのミニアルバムは何でしょう?】

【A, 『Altoemion』】

これも、知っている人ならemotionalの段階で気づけて、知識の差で早く押せると思います。そうでなくとも、アルバムを聴いたことがある人なら曲名でピンとくるという、情報を出す順番です。

このアナグラムは、ナタリーのインタビューで本人が発言しているので、確実な情報源と言えます。
たとえばウィキペディアとか個人ホームページだと、不確定な情報も混じっていたりするので、ソースはちゃんと確かめてから問題を作るようにしてます。
(いわゆる一次資料的なもの)

身内にしか出さない問題とかなら別ですが、大会で出題したり問題集を出版するとなれば、万が一間違っていると、割と大変です。
面白い語源の問題とか、実は嘘だったりするみたいですから。


・パラレル問題

「〇〇は××ですが、では△△は〜」というのが、いわゆるパラレル問題です。
"ですが問題" とも言われますね。

【Q, ライブで使われるサイリウムの色で、田村ゆかりが歌う時に使われるのはピンク色ですが、彼女によく似たアイドル、神楽坂ゆかが歌う時に使われるのは何色でしょう?】

【A, 青/水色】

※彼女によく似たアイドル、という言い回しが正しいのかは微妙ですが、それはご勘弁を願います。

さて、パラレル問題といえば、途中で押して間違えて「ひっかけ問題じゃん!」というのが良くある流れかもしれません。

実際、理不尽に感じる気持ちはわかります。
ただ、ちゃんとした問題であれば「これは別のところに着地するよ」と教えてくれたりします。

作問する側って、なんだかんだクイズに正解してほしいものですし、無駄に間違わせるようなのは(そういうのを狙ったクイズじゃない限り)、出題者・回答者どちらも楽しくは無いものですから。


たとえば、問題文の最初に「ライブに使われるサイリウムの色で」と前置きするのも、早く押しすぎて間違ってしまうのを避けるためです。

そして問読みする人も、冒頭の読むスピードを少し速くすることで、回答者に「これはパラレルかも」と思わせるよう努めたりもします。

もし、これがそのまま「ピンク」を答えさせる問題ならば、以下のようにするかなと。

【Q, ずばり、田村ゆかりのライブで使われるサイリウムの色は何でしょう?】

ゆっくり目に問読みはしつつ、何より "ずばり" という言葉を入れることで、「これはパラレルじゃないな」と思わせる……といった感じです。

そして最終的に、誰のサイリウムの色を聞くかというのが大事です。

例えばこれが、全く違う男性アイドルなどに着地するなら、確かに理不尽かもしれません。

ただ、この問題みたいに" ゆかたん" に飛ぶとか、あるいは(過去にユニットを組んでいた)堀江由衣さんに飛ぶといった形なら、予想してもらえるかなと思います。
納得感が無いと、回答側が「押さなきゃよかった」となっちゃうので。


関連して、パラレル問題でもう一つ、ちょっと変化球気味なものを。

【Q,田村ゆかりのファンクラブは「Mellow Pretty」、堀江由衣のファンクラブは「黒ネコ同盟」ですが、2人のユニット・やまとなでしこのファンクラブは何だったでしょう?】

【A, flower garden】

ちょっと問題が長めですが、昔に作ったこの問題、割と気に入ってます。
最初に2人を並べた上で「ですが」と言ったことで、じゃあ2人に関連することかな?と推測できるように、作ったつもりでした。

・名詞を羅列する問題

何かの名詞を羅列していって、これらに関連する何かを聞く問題です。

【Q, 田村ゆかりの楽曲で、『Honey Moon』『Fortune of Love』『Baby blue sky』『惑星のランデブー』といえば、共通する作詞者は誰でしょう?】
【A, 田村ゆかり】

(実は最初に答えを言っているという)ちょっとトリッキーな問題ではありますが、田村ゆかり名義で作詞されたのはこの4曲なので、ピンと来やすいかもなと思います。

並べる順番は難しいですが、知名度で極端な差が無い場合は、上のように五十音順で並べたりすることが多いでしょうか。

類題として、もう一つ挙げます。

【Q, 『セルフィッシュ』や『You Are The World!』などで田村ゆかりへの楽曲提供を行ってもいる、アソビシステム所属の音楽プロデューサーは誰でしょう?】
【A, RAM RIDER】

この場合だと、並べる曲名は少し悩みどころで……それは、曲の知名度でどうこうというよりも、誤答を誘わないようにするためです。

仮に、問題文を
【Q, 『セルフィッシュ』や『Darling Darling 』など】
としてしまうと、ここでボタンを押した人が

「これは、収録されてるアルバムのタイトルに違いない!」

みたいに考えて、『Strawberry Candle』と誤答する可能性があるからです。

もちろん、まだ答えが定まってないと気づけるのも、クイズ力の1つかもしれません。冷静になるのは大事なので。

ですが個人的には、収録されてるCDが別である曲を選ぶことで、「答えてほしいのはそっちじゃないよ」と伝える方が好みです。
正解してほしいので、そういうところは気を付けたりします。

【Q, あかり、ひかり、みかり、ゆかりという4姉妹がミュージックビデオに登場する、アニメ『変態王子と笑わない猫。』のオープニング曲にも使われた、田村ゆかりの楽曲は何でしょう?】

【A, 『Fantastic future』】

わかる人には最初でピンと来ても、MVを知らない人には「なんか知らない人名の羅列だ」となりますから、押すタイミングが変わります。
でも、後半まで聞けば知っているかもしれないから、もし誰も押さなければ待って聞くことも出来る、といったところです。

もちろんこの問題は、4姉妹の下りをカットしても成立はします。ただ、最初でピンと来た人が知識があるから有利、という形にしたいかなと。

逆に、「~4姉妹がMVに登場する曲は何でしょう?」で終わらせてしまうのもアリですが、そうなると、ヒントが少なくて誰も押せないという可能性もあります。

なのでそこは、難易度をどれくらいにするかというところです。悩ましいところ。


クイズの類型は色々ありますが、有名どころを挙げてみました。自分も(全然、強くは無い身なので)詳しいとは言い難いですが、基本的なところは間違ってない……はずです。

・クイズの題材について

そしてクイズの題材としては、歌詞に関するクイズとかは割と作りやすいです。
「楽曲『○○』の歌詞で、××は何と歌われているでしょう?」みたいな型になると思います。

しかし、歌詞の内容に踏み込みすぎるのもどうかなとか、難しすぎないかなとかは、考えたりすることもあります。

作問する身としては、正解が多く出た方が楽しいよねと思い、ヒントを散りばめがちなタイプなので。
(もちろん、めちゃくちゃ知識がある方が相手なら別になるわけですし、そういう意味で難易度調整が必要なんですよね)

あとは、コールの内容とかも、作ろうと思えば問題として作れます。

ただ、コールってナマモノというか、コール本で提案してくださる方がいて、でもライブの中で変わっていったりもあるようですから。
クイズの問題として確定するかっていうと、意外に微妙だったりするかもです。

【Q, アルバム『銀の旋律、記憶の水音。』の14曲目に収録されている、ライブで「世界一可愛いよ!」というコールが入ることでも有名な、田村ゆかりの楽曲といえばなんでしょう?】
【A,『fancy baby doll』】

こういうのであれば問題ないかな、とも思いますが、コールの中身を問う問題文だと悩ましいところ、なのでしょう。

・さいごに

好きなものを掛け合わせる、ということで、クイズ×田村ゆかりさんという記事になりました。

クイズの作問って、綺麗な問題文で作れた時は嬉しかったりしますし、割と奥深いものだと思います。

自分がクイ研にいたのはもう10年も前ですから、基礎的なことしか覚えていないかもですが……それでも、自分だからこそ書ける記事を書けた気はするので、少し嬉しいです。
お付き合いいただき、ありがとうございました。


最後に、5問ほど(簡単目ではありますが)自作を並べてみます。

【Q, 「ゆかりっくFES`18」においては、割った後の供養場所としてセメタリーも設置されていた、かつて田村ゆかりのグッズとして存在した貯金箱の名前は何でしょう?】

【Q, 田村ゆかりの楽曲のタイトルにもなっている、フランス語で "天使が通った" という意味の、会話中に起きた沈黙を指す慣用表現は何でしょう?】

【Q, 白うさぎと黒うさぎのうち、田村ゆかりの楽曲『Shinnig Rabbit』の歌詞に登場するのはどちらでしょう?】

【Q, ユニット "風の香りと太陽" がカバーした楽曲で、『アシンメトリー』はスガシカオが歌った曲ですが、『蝶々結び』は誰が歌った曲でしょう?】

【Q, 実際の地名が歌詞に入る田村ゆかりの楽曲で、銀座や有楽町が入るのは『だって×2 ウキウキ』ですが、原宿や渋谷が入るのは何でしょう?】

もしわからない答えがあれば、ぜひ調べてみてくださいね。長い記事、読んでいただきありがとうございました。

明日は7日目、鶏ネギさんの『子育てをしながら推し活をした8ヶ月』です。
実生活で大きな波が生まれる中でも、田村ゆかりさんへの情熱をずっと持ち、イベントにも参加するって凄いですよね。
その気迫みたいなものを感じる記事でした。

自分のアドカレ記事2本はこれで終わりですが、企画はまだまだ序盤で、ここから色んな方の記事が紡がれていきます。
色んな視点からの田村ゆかりさんを、自分も含め、多くの人が楽しめますように。


いいなと思ったら応援しよう!