新型コロナ接触確認アプリCOCOAの失敗は仕様発注の弊害!性能発注で今後は対処すべき事案
厚労省のCOCOAは、知識も経験も乏しい方々による失敗であった事が日経新聞の記事で明らかになりました。仕様発注の弊害がまた露呈されました。
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『性能発注』を提唱する澤田雅之さん(元警察庁警察大学校情報研究センター所長)の解説。
新型コロナの接触確認アプリCOCOAの不具合が長期間放置された問題について、本日(4月16日)、厚生労働省から内部調査結果報告書が公表されましたので、本件に関する本日付の3本の日経電子版記事「COCOA不具合、品質管理の責任あいまい 厚労省報告書」、「適切なテスト実施せず COCOA不具合巡る報告書の要旨」、「多重委託、無責任の連鎖 COCOA不具合の重い教訓」を、ご参考までに下記に添付してお送り致します。、
ところで、「多重委託、無責任の連鎖 COCOA不具合の重い教訓」の記事の中に、『日本から3カ月遅れて同様のアプリを導入した英国は、ダウンロード数が2月に2100万件を超え、人口の3分の1ほどに達した。2月9日にはアラン・チューリング研究所とオックスフォード大学が「60万件の感染を予防できた可能性がある」との検証結果を政府と公表した。利用者が1%増えるごとに感染を2.3%減らせるというデータも示した。』とありました。
片や我が国では、英国に先んじて数億円もの予算を投じておきながら、まともに動くシステムを未だに構築することができていません。記事によれば、厚労省の内部調査結果報告書ではその原因として、「ITの知識を欠く厚労省が業者任せにして、責任を曖昧にしたまま開発を進めた。」、「厚労省はテスト無しでアプリを配布する危険性を十分に認識していなかった。」、「厚労省は品質管理を受託業者が行うと認識していたが、受託業者は工程管理を担っていると認識していた。」、「厚労省職員はアプリの開発や運用への知識・経験が乏しく、人員体制も不十分でプロジェクト全体を管理できていなかった。」などが挙げられています。これらは要するに、COCOAの開発委託を「仕様発注」したことに起因しており、今後の対策・改善策としては、ソフトウェアの「仕様発注」を適切に実施できる厚労省側の体制整備が欠かせないと言っているのも同然です。これでは、「百年河清を待つ」、つまり、いつまで経ってもできないことになります。それにも増して問題なのは、ソフトウェアには、「このとおりに作ること」といった「仕様発注」が馴染むとは到底思えないことです。馴染む筈がないところを「仕様発注」した結果が、発注者側と受注者側との間の認識の大きなズレ、責任分担の曖昧さ、品質管理に欠かせない全体最適化の欠如、などに直結しています。ソフトウェアは、「このとおりに作ること」といった「仕様発注」では無理が過ぎ、「このようなものを作ること」といった「性能発注」しかあり得ないところです。その証左が、前記の英国におけるCOCOA類似アプリの成功です。英国ではソフトウェアの開発委託を「仕様発注」などする筈もなく、「性能発注」であったがゆえに我が国で生じたような問題は全く生じることなく開発と運用に成功しています。
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COCOA不具合、品質管理の責任あいまい 厚労省報告書
2021年4月16日 日経新聞
厚生労働省は16日、新型コロナウイルス対策の接触確認アプリ「COCOA(ココア)」の不具合の要因や再発防止策に関する報告書をまとめた。接触通知が長期に届かなかったのは、アプリの品質を管理する実施主体を巡り、厚労省と事業者で認識が共有できていなかったためと指摘した。厚労次官らの厳重注意の処分も発表
報告書では不具合の放置の要因を厚労省と複数の委託業者の間で「責任や役割分担が不明確だった面があった」と説明した。「業務範囲に認識のずれ」があったという。
報告書は厚労省の検証チームが外部のIT(情報技術)専門家らとともにまとめた。不具合の放置が続いた本質的な要因や責任のあり方などについては、なおはっきりしない部分も残っている。
田村憲久厚労相は16日の閣議後の記者会見で、同日付で樽見英樹厚労次官と正林督章健康局長を文書による厳重注意の処分にしたと発表した。アプリ開発・運用について「厚労省の知識や経験が非常に乏しく、人員体制も不十分だった。プロジェクトを適切に管理できていなかったところは非常に反省しないといけない」と述べた。
報告書では、こうしたアプリを導入する際に基本となる動作テストを厚労省が重視せず「適切なテストが実施されなかったこと」を問題視した。外部システムと結合して接触通知するところまで一連の流れを確認するテストをしていなかった。
アプリは感染した人との接触履歴を記録し、感染の可能性があると通知する仕組みで2020年6月に配信を始めた。
9月にアプリを改修した際に障害が生じ、グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」を搭載したスマートフォンでは4カ月以上にわたり感染者との接触が通知されない状態だった。ココアのダウンロード数は当時2400万件を超え、うち3割がアンドロイド版の利用者だった。
不具合は、20年11月にインターネットサイトで指摘されていたが、SNS(交流サイト)などで話題になった21年1月に委託業者が確認して不具合を認識した。報告書では不具合を長期に見逃した点について「不具合が発生したこと以上に大きな問題」と総括した。
ココアの開発は人材大手パーソルホールディングスの子会社パーソルプロセス&テクノロジー(東京・江東)が委託先となっていた。報告書では厚労省との調整が十分でなかったと分析した。同社はコロナの感染者情報を一元管理するシステム「HER-SYS(ハーシス)」も開発した。同社は「報告書を社内で精査している状況のため、現時点でのコメントは差し控える」(広報)としている。アプリの開発には再委託する形で日本マイクロソフトなども携わった。
報告書では再発防止に向けて、開発当初から総合的なテストの環境を整備することや、不具合が起こることも織り込んだ人員体制への強化が必要だと提示した。外部の有識者や、デジタル庁創設の準備を進める政府の情報通信技術(IT)総合戦略室と連携することなども盛り込んだ。
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