連載「デザインの新定義」がついに……
2011年から続いた月刊「商店建築」の連載「デザインの新定義」を、発売中の2019年12月号で一旦終えることになりました。
https://www.shotenkenchiku.com/products/detail.php?product_id=351&fbclid=IwAR2J-Yj1R-1lEZn_0TuNP2UC99TkJQTucO4wNy2i4ZsjflilZVE5CYM-mt8
ちょうど連載100回目であり、いろいろと節目でもありつつ、いちばんの理由はこの約8年間で「新定義」だったものが徐々に当たり前になったこと。たとえば、比較的多く取り上げてきたエディション作品に特化するデザイナーが、以前は「デザインでなくアート」と言われかねなかったのが、普通にデザインの範疇に入ったような変化があった。
「デザインの新定義」は他にも、並行する別の活動も興味深かったり、特定の手法や素材に注力していたり、東欧やアジアなどを拠点に新しい領域を開拓していたり、というデザイナーをQ&A形式で紹介してきた。今年のラインアップは1月からJosephine Akvama Hoffmeyer(File under Pop)、村越淳、寺山紀彦、Magniberg、Ville Kokkonen、Ayzit Bostan、Zanellato/Bortotto、Aldo Bakker、荒木宏介、Ida Linea Hildebrand (Friends & Founders)、Linde Freya Tagelder (destroyers/builders)、Oliver Gustav。本当に心から取材したかった、または取材できてよかったデザイナーばかりだなと(海外デザイナーは主にメール取材)。
Josephine Akvama Hoffmeyerはその後、エリーザ・オッシノとの共同ブランド「H+O」を4月のミラノデザインウィークで発表して話題になった。村越さんの「Equilibrium」も4月にミラノで展示があり、秋はさらにアップデートした作品が登場している。寺山さんも今年はすばらしい新作や展示が立て続けで、個人的には日本版(があるなら)Designer of the Year候補かと。
スウェーデンのMagnibergは、9月にKvadratの傘下に入ったと知って驚かされた。Ville Kokkonenは展覧会本もよかった「10 000 years of design」展と、Iittala(↓)やIwatemoの仕事を紹介。ミュンヘンのAyzit Bostanは先日、来年の展示についていいニュースを聞いたばかりで、とても楽しみ。
Zanellato/Bortottoは今年、LVの仕事で名を上げたけど、連載はGalleria Luisa delle Pianeでの新作を紹介した。Aldo Bakkerは、NYでの初の大規模個展について。荒木宏介さんは今秋のDESIGNARTでも展示したANIMAがV&AとMoMAにダブル収蔵される快挙。おめでとうございます。
Friends & Foundersは日本での展開が始まって今後にも期待したい。BRUTの一員でもあるLinde Freya Tagelderは、校了直後にベルギーのDesigner of the Yearに。そして12月号、Oliver Gustavの言葉は連載最後にふさわしい好内容だったと思う。こちらは今月中にぜひ手にとっていただけたらと……。
連載の開始以来こうした調子で、新しい(といってもすでに独自に活躍している)デザイナーについて考える機会を継続してもてたのは貴重だった。そこに区切りをつけるにあたり、今後は「新しさ」ではない視点に重心を移して……とも思ったけれど、こう振り返るとこれはこれでやはり離れがたいものがあり、改めて何か考えたい。書籍化? それは不徳の致すところで、なかなかに難しいらしく。
ともかく今まで取材に協力いただいた100組のデザイナーのみなさまを下記に。本当にありがとうございました。
2019
Josephine Akvama Hoffmeyer(File under Pop), 村越淳, 寺山紀彦, Magniberg, Ville Kokkonen, Ayzit Bostan, Zanellato/Bortotto, Aldo Bakker, 荒木宏介, Ida Linea Hildebrand, Linde Freya Tagelder(destroyers/builders), Oliver Gustav
2018
松山祥樹, Raw Color, 三澤遥, 鈴木啓太, Elyse Graham, Mats Horbach & Anne Lindberg, 坂下麦, Giacomo Moor(↓), Pedro Paulø-Venzon, 芦沢啓治, Martin Solem, Rooms
2017
we+, Mieke Meijer, 井上隆夫, Babeta Ondrová, Studio Swine, 本多沙映, Sabine Marcelis, Fang Gao, Thévoz-Choquet, 真喜志奈美, Philippe Malouin(↓), Formafantasma
2016
白木麻子, 村上諒平, Ladies & Gentlemen Studio, Porky Hefer, Julie Lansom, Victoria Wilmotte, Studio Dessuant Bone, Hans Maier Aichen(↓), 野本哲平, Nick Ross, Assemble, Krakvik & D’Orazio
2015
De Intuïtiefabriek, Max Gunawan, Spread, Ro/Lu, Llot Llov, Michael Hansmeyer & Benjamin Dillenburger, Random International, Takt Project, 佐野文彦, Christien Meindertsma, Energy Meet, Jörg Schellmann
2014
板坂諭, India Mahdavi, 林洋介, Neri & Hu, Julia Llohmann, 長嶋りかこ, Anne Fabricius Møller, Poetic Lab, 狩野佑真, Norm architects, 牛込陽介, Dimorestudio(↓)
2013
Yves Béhar, Mike Abelson, Muller van Severen, 403architecture[dajiba], Pepe Heykoop, 古山春香, Laula Noriega, Humans Since 1982 , 太刀川英輔
Atelier I+N, Kirstie van Noort, Studiopepe
2012
Ana Kraš(↓), 吉行良平, Rotor ,Tomás Alonso, Pantaloon, Lindsey Adelman, Daphna Laurens, Studio Juju, 角田陽太, Ionna Vautrin, Jonah Takagi, Ron Gilad
2011
Kwangho Lee, 清水久和(↓), Mischer'traxler, Scholten & Baijings
そして末筆ながら「商店建築」歴代の担当編集者と編集長のみなさま、ありがとうございました。特に最初の連載担当で、連載名の名付け親であり、前身になった連載「空間コラボ」できっかけをつくってくれた佐藤さん(現在フリーランス)と、途中から100回まで完璧にフォローしてくれた「商店建築」編集の玉木さんには、これからも足を向けて寝られません。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?