勉強したのは死にたくないから。
前回の記事で「死にそうだからクビ」になった経緯を紹介した。
常々パイロットであることに自信がなかったのだが、そのことを最も意識したのは1人でフライトした時である。
基本的に勉強中の学生は教官と2人で操縦することが基本となる。機長と副機長のように左右で乗り込むこともあれば、トップガンに登場する戦闘機のように前と後ろで分かれているパターンもある。
そしてパイロットになるカリキュラムの一番最初に使用する飛行機は「紅の豚」に登場するような華奢な機体であった。前後に座席があり、1人でも操縦可能な入門機となる。
数十時間、教官との同乗を経て1人でのフライトに取り組むこととなるのだが流れはこんな感じ。
エンジンをかけて離陸して洋上で課題(縦・横方向に一回転したり、スピンしたり)をこなして帰ってくる。
どれも教官と何度も取り組んだ課題なのでやり方に困ることはない。
しかし、1人でやると超絶不安な気持ちになってくる。
いつもと同じエンジンの振動がやたら大きく伝わってたり、手順の一つ一つが間違っていないか心配になる。
この時感じたことは、普段からどれだけ教官に依存していたのかということだ。
何かあったら助けてくれるという安心感に胡座をかいていたのだと痛感させられた。
初めてのソロフライト。
前日の夜は今までにないくらい、しっかり手順を見直ししたことをよく覚えている。
理由は単純。死にたくないからだ。
ちなみに1人で飛行中は目に見える範囲で教官も近くを飛行しており、無線通信も常にできるようになっている。
それでも不安なことに変わりはない。
ボタンを押す順番を間違えただけでぶっ壊れる即死ボタンも存在するから油断ならない。
この時勉強した集中力を常に発揮できればいいのにと思う、今日この頃である。