できる必要、ある?
自衛官は最低8回懸垂(けんすい)ができないといけない。
理由は体力測定で級外(不合格)にならないギリギリラインだからである。
つまり8回できないと外出禁止。
これだけは回避せねばならない。
高卒で入隊した同期はほとんどが本格的な筋トレ未経験。
もちろん懸垂も初めてで1回もできない人がザラにいる。
でも頑張ればなんとかできる、ちょうど良い難易度の設定・・・なんてわけもなく普通に厳しい。
多分この基準を作った人は懸垂が得意だったんだろう。
「俺は30回できるし、まあ最低8回はできないとね⭐︎」
くらいの決め方だったんじゃないかと思われるくらい厳しい。
一回もできないのにどうやってできるようになるの?ってなると思うが、懸垂ができるようになるためにはとにかくぶら下がることから始める。8回するために約1分ぶらさがらないといけないので、まずはこれができるように頑張る。これだけでも割としんどい。
コツなんてない。気合いだ。できないと怖い教官と先輩に囲まれて怒号を浴びながらぶら下がることになるから、いつの間にかぶら下がるだけならできるようになる。
ここで懸垂の細かいルールを説明します。1回カウントされたら完全に腕を伸ばす必要あり。そして数秒間隔で笛がなるから、次の笛がなるまでに2回目を持ち上げてはならない。つまり自分のペースで進められないのである。
つまり、勢いを使って誤魔化すイカサマができないのである。これはピンチだ。腕立てや腹筋は回数をちょろまかせるが、懸垂は少人数で行うため監視の目が厳しく、小手先の技術が通じないのである。
私はこのルールに苦しめられて2回の外出禁止を経験した。
最終的(約一年以内)にはみんなできるようになったから、その気になればなんとかなるのだろう。
今はもうさっぱりだけどね。