【イベントレポート第三弾】人口減少、空き家問題、認知度の低さ、医療の高齢化…課題を抱える地方都市のリアルな悩みが浮き彫りに
📣毎週日曜深夜2時5分より、新番組「田村淳のTaMaRiBa」を放送中!
テレビ東京と日本IBMがタッグを組み、日本全国の困り事をビジネスの力で解決、起業家とスタートアップをつなぐなど、新たな日本を創造させるべく立ち上げたビジネスコミュニティ「TaMaRiBa(たまりば)」
この番組では、「TaMaRiBa」の取り組みを随時報告していきます。
今回は、9月20日(火)にキックオフとして開催したイベントから、第3部「『お悩み解決』ビジネスコミュニティ」の内容をご紹介!
◆各自治体の課題解決に各方面の識者が参戦!
地方自治体が抱える課題に各方面のプロフェッショナルたちが解決策を提案する本セッション。MCは「TaMaRiBa」の顔、ロンドンブーツ1号2号の田村淳さん、進行役は池澤あやかさん(日本IBM/タレント/エンジニア)が担当。
「TaMaRiBa」の音頭を取る藤森慶太さん(日本IBM)を始め、澤円さん(圓窓)、豊好竜弥さん(DMM.com)、佐々木啓真さん(Wantedly)、飛松健太郎さん(森ビル)、岡田隆太朗さん(日本ディープラーニング協会)、桜井貴史さん(ベネッセi-キャリア/dodaキャンパス編集長:Zoom出演)、大村寛子さん(ヤマハ:Zoom出演)を迎え、自治体の悩みに迫ります!
◆「SDGsを進めながら“稼ぐ街づくり”を推し進めたい」という北九州市に、ベネッセ・桜井が「SDGs先進都市のブランド化」「修学旅行インバウンド」を提案
【困り事その1:ごみを減らした結果“持続可能が成り立たない矛盾”。SDGsを進めながら“稼ぐ街づくり”を推し進めたい】
最初の相談は、福岡県・北九州市企画調整局 地方創生SDGs推進部の横山哲子さんから。北九州市はSDGs未来都市に指定されており、排出したごみを資源に変える取り組みなど、これまで「環境と経済の好循環」をキーワードにさまざまな活動をしてきました。
ところが近年、新たな課題が発生。積極的な活動の結果、資源となるごみが減ってしまい、エコタウンがビジネスとして成り立たない矛盾が生まれてしまったといいます。
藤森さんいわく「早期に取り組んだ企業や自治体ほど、この矛盾が生まれている」とのこと。
どうすれば「SDGsを進めながら稼ぐ街づくり」ができるのか…横山さんが悩みをぶつけます。
澤さんは、17個あるSDGsの掘り下げを進め、さらに複数のテーマを組み合わせた横展開をするとユニークなものになると提案。「いま達成できている目標を他のSDGsで生かす方法にシフトしては? 例えば、ごみの問題を貧困解決の課題に持っていく。遠いものをつなげていくと、関わる人も変わり、新たな発想も生まれる」と進言します。
Wantedlyの佐々木さんは、北九州市の実績を生かし、他の自治体のコンサルティングや、二酸化炭素を企業間で売買する「カーボン・クレジット市場」の応用などを提案。「ごみを他の自治体から買い取る役回りが認知されれば、“稼ぐSDGs”が成り立つのでは?」とアドバイス。
桜井さんからはベネッセらしい目線の意見が。全国の教育・研修現場で行われている“SDGsの学び”をさらに加速させるため、SDGs未来都市である北九州市で、修学旅行や研修旅行を積極的に誘致してはどうかと提案。
「(北九州市)町全体の活動をプログラムにし、『修学旅行インバウンド』のような形にして誘致すれば、結果的に宿泊などでキャッシュの動きが生まれる。こうして町のブランドを広めていくことで、将来的に北九州市に優秀な人材が集まるようになる。そういうプログラムを一緒に作っていきたい」と話します。
これには淳さんも「修学旅行はいいですね。歴史を学ぶために京都に行く、というのもブランド化に一役買っている。“SDGsを学ぶための修学旅行の売り出し方を考える”ということですよね」と話し、大きくうなずきました。
多様な意見をもらった横山さんは、最後に「発信力が大事だと思った。『北九州モデル』をつくってどんどんPRしていきたい。TaMaRiBaの一員になって一緒に課題解決をしていければ」と感想を伝えました。
◆「東京から一番遠いまち」と呼ばれ、課題山積みの島根県江津市に、淳が「(積極的にテクノロジーを取り入れ)東京が嫉妬する町になればいい」とアドバイス
【困り事その2:「東京から最も遠いまち」には課題が山積み。市のブランディングを一緒に考えてほしい!】
続く相談は、島根県江津市政策企画課の山崎恵さんから。人口減少、空き家問題、認知度の低さ、医療の高齢化……。交通の利便性の低さから「東京から最も遠いまち」と呼ばれる同市が抱える課題は、数えきれないほどあるといいます。
「まずは市のブランディングを一緒に考えてほしい」という山崎さんに、識者たちが発案したのが「最も遠い場所を逆手に取ること」。ネガティブをポジティブに変換し、遠いからこそできることを考えます。
森ビルの飛松さんは、東京の人口一極集中が進んだ結果、規制が多く、開発が難航しやすいこと、リモートワークの浸透で働く場所が自由になったことを挙げ、「そういう意味では、東京が一番未来から遠くなってしまった。人が少なく、課題が多い地方の方が、どんどんイノベーティブなテクノロジーを入れて規制緩和を促せるチャンスがある」と背中を押します。
池澤さんは、コワーキングスペースの充実など、先進的な人たちが出入りしやすい環境づくりを提案。淳さんは「技術は進んでいるけど、規制が多い東京が嫉妬する町になればいい」とエールを送ります。
さらに江津市が、「山陰の『創造力特区』」をスローガンに掲げていることから、「企業研修の場にしては?」との意見も。
矢継ぎ早にアイデア出しが続く中、澤さんはこんな助言を。
「雑に面白そうな人たちをかき集めることをやった方がいい。ビジネスは人のつながりがすべて。“市を助けて”ではなく、“とにかく2、3年でいいから来てください! 私を助けてほしい”と山崎さん自身が情報発信し、声をあげることが大事。
一番しんどいのは法律。ビジネスを始めるにあたって自由度があれば、腕まくりをして集まる人たちがいる。そのためには、山崎さんがありとあらゆる手段で“助けてくれ”とのろしを上げることをおすすめします」。
最後に藤森さんは、「面白いアイデアがたくさん出た。ほったらかしにせず、これからもTaMaRiBaで江津市をサポートしていきたい」とまとめ、本セッションは終了!
袋小路に陥っているかに見えた市の課題を多角的に捉え、さまざまな解決策が飛び出しました!