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26.誰かの「無くてはならない」を目指すこと【起業・新規事業】

▼誰に読んでほしいテーマか
・成長フェーズを迎えた起業家、経営者の方
・事業を早く軌道に乗せたいと思っている方
・新規事業をどうやって広げていこうか考えている方

今回は、芽が出た事業をどうやって
成長させていくかということをテーマに書きます。


▼事業が目指すべきものとは


スタートアップや新規事業が目指す目標に「PMF」があります。
PMF=プロダクトマーケットフィット(Product Market Fit)の略で、

平たく言えば
サービスや製品が市場に受け入れられている状態をつくる」ことです。

なんとなく字面をみると概念はわかるけれど、
「何を以て市場にフィットしたと言えるのか?」といわれると、
人や組織によって前提条件が違うので、解釈も様々です。

・定量的に設定した目標を超えたら。(マーケットシェアや売上など)
・顧客の認知が〇%を超えたら。
・顧客の対応に体制が追い付かないくらいになったら。

など。「これがPMFだ!」と共通の定義は持ちづらいと思います。

ひとつ念頭に置いておかねばいけないことは
市場はその時々のタイミングでニーズが変わるということです。

わかりやすいもので、良く上げられる例としては、
Zoomなどの「オンライン会議ツール」です。

コロナ以前は、オンライン会議ツールやシステムを使用するシーンは、
今よりもずっと限定的だったと思います。

が、コロナを経た現在、逆にオンライン会議やリモートの環境が
なかった頃の時代が想像しにくいほど、社会に浸透しました。

ではオンライン会議ツールの開発・提供事業者は、
たまたま運とタイミングが良かっただけなのでしょうか?

もちろん環境的な要因は大きいものでしょうが、
その裏には大きな努力があったものだと思っています。
それは、ユーザーにとって複雑な操作や通信面のストレスを
感じる体験をさせずに、誰でも簡単に快適に使いやすいものにする。
という体験を向上させることです。

その結果、どの世代においても、日常的に利用されるものとなりましたし、コロナ終息後も廃れなかったのは、このときに積み上げた努力の賜物だろうと、僕は想像しています。

PMFの話に戻りますが、
確かに事業の成長を数字をもって図っていくことは重要です。
ただPMFに向かう上で、僕が思うに最も大事なことは、
その人(顧客)にとって、なくてはならないものをつくる
ということなのだと思います。

そして市場と顧客の要望は、状況に合わせて都度変わり続けるので
その都度、常に市場や顧客と対話を行い形を変えていく必要があります。

いわば、ニーズとサービスの歯車を合わせ続けることだと思っています。

▼「なくてはならない」をどうやって創るのか?


これこそ、誰もが知りたいテーマではないでしょうか。

例えば、これもよく上げられる例ですが、「歯ブラシ」や「スマホ(アプリ)」など、1日何回、触れるかといった、「習慣化」を、接触回数や接触時間などの指標に置いて考えることもあります。

ただ世の中には、大小含めそれこそ星の数ほど商品・サービスが存在します。よほど参入障壁が高かったり、独自技術があったりすれば別ですが、
すぐに模倣品は出てきますし、市場が成長してプレイヤーが増え、顧客や時間の奪い合いになればなるほど、消耗戦に陥ります。

なので、先手必勝型で、資金やリソースを投下して一気に広めて顧客を囲い込むことが求められるケースが多いように思います。

その戦術は潤沢な資金やリソースを持っているような大企業や、
多くの資金を調達できる有望スタートアップであれば別ですが、

実際はそんな大きな資金や人員を得て、いきなり投下することは
現実的には難しいというケースが多いと思っています。

ここで冒頭の問いに戻りますが、
どうすれば「なくてはならないもの」を創れるでしょうか。
もちろん、これもたくさんの解があると思いますので
あくまで僕が思う一つの「やり方」としてですが

僕は、「自分のサービスで超大成功しているファン」を
見つけることだと思っています。

そのためには、その人とのコミュニケーションや、
意見をキャッチアップできる仕組みを取り入れることです。

こういう風に言うと
「ああ、いわゆるファンマーケティングですよね」
と思われる方もいると思います。

が、ひとつ気を付けたいのは、顧客数を増やそう、フォロワーを増やそう
という思考に傾倒していくと、徐々にみている視点が、「母集団」「登録者数」「有料会員/メンバー数」という「ひと塊」になっていきます。

もちろん「木を見て森を見ず」にならないように、
顧客全体の動きを俯瞰で見て理解していくことも大切です。
ただ僕がここでお伝えしたいのは、どのマーケティング手法が有効かではなく、
もっと、「顧客個人の体験にフォーカスする」のが必要ではないか
ということです。

どのサービスにも「ターゲット」は設定していると思いますが、
そこで、サービスにぴったりとはまっている方だけを抽出するのです。

その人がなぜ自分のサービスを使うのか、
日々、どのようなシーンで、どのような使い方をしているのか、
どこにストレスを感じているのか。
どうやったらそれを自分から広めたくなるか。
など、細部までを理解し、チューニングをしていくことが
結果一番早いことだと思うのです。

サービスを大きくしようとするのに、
なぜマクロではなく、ミクロな個人レベルの話をしているの?
といったご指摘がありそうですが、

現代は、一人の発信が、共感の連鎖を生むこと。
いわゆる「バズって」、一気に知名度を広げるケースが
大いにあるからです。

実際に、あるスタートアップのサービスが、SNSの投稿一つで
大きく取り上げられ、そのままサービスが一気に広まった例もあります。

もちろん、そのようなバズりを意図的に狙うというのは難しいでしょうが、活動をしつづけていくことで、おのずとあなたのサービスにポジティブな感情を持ってくれるカスタマーは確実に増えていきます。

数の話でいうならば、どこかに閾値があって、そこを超えたときに、ネットワーク効果が働き、サービスは一気に広まっていくのだと思います。

結局、サービスを大きく(森を大きく育てようと)するならば、
森全体に雨を降らすことを考えることも大事ですが、
何を育てるか(どのような木を植樹して、生態系をつくるか)

こういう図式がとても大事になってくるというのが
僕が感じている事業の成長の姿です。

▼この事業をどこまで大きくしていこうか


サービスを大きくするやり方は多数存在しますが

結局は、どんなサービスもプロダクトも
この問いに立ち戻らなければいけない」と思います。

経営者、発起人、責任者が
「まあ、この事業はこのくらいの規模までだよね」
「適当なところまで育てて、売却しよう」
と思っていれば、事業はそこに収まりますし、

「いまは市場があるかはわからない。しかし必ずこの事業を大きくする」
という意思があれば、そこにたどり着くすべを必死に考えますから
実現に近づくことができます。

何が言いたいかというと、冒頭に述べたPMFは
あくまでゴールではなく中継点であるべきだということです。

むしろ顧客や市場に受け入れ良られた後のほうが大切で、
さらに社会や市場の期待は増え、答え続ける必要が出てきますので
むしろ既存事業になったあとのほうがスタートラインだと言えるでしょう。

事業を大きくするのも、反対に小さく収まっていくのも
ゴールの設計次第ということだと思っています。

今回はここまでとなります。
最後までお読みいただきありがとうございました。


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