31.生き残るということ
今回も、前回あげた「継続」を主テーマとして、
「事業が生き残るということ」について書いていきたいと思います。
スタートアップはもちろん、
これから起業をする方も、ご参考になれば幸いです。
■「生き残る」ことが正しいのか?
起業家にとって「生き残る」という表現は、
やや保守的にも聞こえるかもしれません。
スタートアップは、がんがん資金を調達し、
サービスの認知度を上げて、営業・組織を拡大して、
IPOかM&Aを目指し、最短でエグジットすること。
これこそがスタートアップの本懐だと。
確かにそのシナリオを否定はいたしませんが
前提かつ最重要なのは、まず生き残ることです。
スタートアップ10年生存率は6%(参照元記事)というデータがあります。
全数調査ではないので、本当の実態は定かではないですが、
「適者生存」という自然の摂理に沿って考えてみると、
存続できる組織は、ほんの一部であることは事実のように思えます。
では、なぜ生き残ることが難しいのかというと、これは単純で
商品やサービスとビジネスモデルを市場のニーズに合わせきれない
(PMFを達成できない)からに尽きます。
PMFを達成できないのは、
win-winになれる部分を「的」としてとらえた場合に、
その的が見つけられないこと、もしくは狙った的が間違っていた場合のどちらかです。
そもそも事業は、生きることと同じで継続&長期戦です。
一度、照準があったから万事OKではありません。
今日では常識や必需品として重宝されているものが、
1年後には時代錯誤であったり、需要が消滅していることは
たくさんあります。
良くも悪くも、成功体験ができると、そこに固執したり、
手前の収益をみてしてしまい、結果、長続きしないことに繋がります。
ただ先ほど適者生存という言葉で述べましたが、
ビジネスと自然界とでは大きな違いが1つあると思っています。
それは、事業は「自分の意志で進化ができること」です。
失敗したら、座して死を待つのみ。
ではなくて、自分の手で生き残る道を選択できる。
つまりコントロール可能な変数が多いのです。
勿論コントロールできないこと(外的環境など)も山ほどありますが、
変化に適応するというのも、私たち人間の戦術であり強みです。
どんな深いダメージを負ったとしても、
「ここからどう生き残るか」という思考で
いられることが大切だと思います。
■事業は、苦行ではない。
事業を取り巻く環境が、厳しい世界であることは間違いないですが、
では苦行や修行のように、耐えなければいけないかというと、
僕は必ずしもそうではないと答えます。
昔はそう思っていました。
・あくまで「幸せ」を目指さないといけない
そもそも事業は、人を助けてその対価を得る、が基本なので、
自分が苦しんでたり、自分が幸せにしたい人(家族など)を
救えていなければ、人を助ける活動には繋げられないと思うからです。
仕事はものすごく大変だし、悩んでいない時がないけれども
やっていることには本気で意義を感じている。
夢中になって、充実している。そして自分を見失っていない。
このような精神状態を保っていることが大事なのです。
「いや。苦しいときに、そんな考えを持続するなど無理だ」
という意見もあると思います。
逆に言えば、今がそうではなくて苦しいならば、
自分がそうなれることを選択する。
そのための道を考えなくてはいけないと思います。
これは起業家だろうと会社員だろうと同じです。
そのためには、「儲かる」、「稼げる」、「生活ができる」ではなく、
「なぜ自分がこの事業(仕事)をやるのか」
「この事業(仕事)を通じて何を達成したいのか」
を定めていないといけません。
おそらくですが、本当の意味での幸せはその探究の先にしかありません。
つまり、幸せになる努力は必要不可欠なのです。絶対に必要です。
多くの人が、過去の成功則などを参考にしようとします。
しかし、万人に当てはまる成功則は存在しないと思っています。
同じ条件で動けるということは一つもないからです。
「そんなことはない。儲かるプロセスを創ることこそが成功の王道だ」
という反論もあると思います。
事業は、仕組みづくりだけではなく、
その人の考え方や、人徳、生き様などが反映されます。
表面的な真似事をしても、(長期的には)まずうまくいきません。
常に状況によって、最適解だと思われる方法を試していくしかありません。
なので、(少なくとも僕には)成功則は伝えるのが難しいのですが
逆に、失敗する考え方・やり方は伝えることができます。
それを4つ紹介します。
1.解決策先行で考える
課題ファーストで考えるという人は多いと思います。
ただ、ありがちなのは、課題→即解決と一足飛びになることです。
僕が自身に言い聞かせることでもあるのですが、
その課題は、この宇宙上で、自分だけが発見したことではなく
(程度や違いはあれど)皆が同様に認識していると、
考えた方がベターだということです。
何が言いたいかというと、その課題の当事者は
すでに何らかの対処をしているか、
もしくは代わりのモノで我慢をしているはずだという発想です。
「欲しいのはドリルか、穴か」という話は、
目的と手段の関係の説明として有名ですが、
そもそも穴をあけるのも手段です。「なぜ穴が必要なのか」
その上位の目的があるはずです。
新規事業づくりのプロセスにも近い話なので、もう少し細かく言うと
理想がある→そうなってない(課題)→なぜそうなってないか考える→現状を把握する(みなどう対処してるのか?)→そもそも解決できることなのか(or解決したいのか)を考える→(YESなら)解決策を考えてみる・・・
こんな感じでプロセスを踏んでいくのが重要だということです。
スタートアップは、とにかくまずスピード命。
トライ&エラーだと思うかもしれませんが、
このあたりを一足飛びでいこうとすると、
重要な部分が抜け落ちてしまうリスクがあって
かえって回り道をしてしまう可能性が高くなります。
2.時間軸がない
「ローンチ(発売)は決まっているのですか?」と聞くと
「まあ、〇〇のはじめごろには始めたいなと思っていて…」と、
ざっくり回答が返ってくることがあります。
例えば、第三者(投資家)から投資をしてもらおうと進めるときに、
少なくとも5か年くらいの事業計画や目論見書を作るのは当たり前です。
事業もそうですが、なにか物事を進めていくうえで、
基本的かつ最も大切なことは、自己マネジメントだと考えています。
特に、一人で準備や事業を進めていたりすると、
ざっくりとしたスケジュールを引くとは思いますが、
細かいところはおざなりになりがちだったり、
ちょっとしたスケジュールや計画の遅延はデフォルトになったりします。
ただ僕は、そこが起業家にとっては最重要な部分だと思います。
とはいえ、自律するのは根性や感情だけではなかなか難しい。
お勧めしたいのは
自分自身を投資家(自分の事業に時間と費用の投資をするパートナー)としてとらえて、自分に計画遂行を課すことです。
これが染みついてくると、日々の会話でも
期限や時間軸があることがデフォルトになってきます。
人付き合いの文脈でも、
時間や期限がルーズな人や、レスポンスが極端に遅い人に、
投資をしよう、一緒に組んでやろうと思う人はいません。
もちろん、状況によって事情や変更を余儀なくされることもあるでしょうが、すぐに軌道修正の計画を明確に立てておくし、
関係者にも(仮にそこまで求められていなくとも)アナウンスをしておく。
これが信頼をえるためのパターンだと思います。
このように、時間軸を、自分の中や普段の会話にも
存在させることはとても重要です。
3.手段に固執する
あきらめない事は確かに美しく、大切なことだと思います。
思ったような結果がでてこないときに、
あと少しやれば結果が出るかもしれない、
折角ここまでやったのだからと、
延長してしまうことがあります。
その結果、ピボットが遅れてしまい、資金がショートして、
そのまま力尽きてしまうことも大いにあり得ます。
一番重要かつ難しいのは、
どこでそれを判断する、ジャッジをするのか?
ということなのですがが
結局は、多くの人にとって
お金を払っても続けたいor購入したいものに
なっているかどうかということです。
定量的には、新規事業開発の世界では
よく顧客調査で、40%強くらいの人にとって、
「適価」であり「なくてはならないもの」になっている
が目安だと言われます。
が、これ見解の一つであり、
明確な線引きは用意されているわけはないので
自分で計画をマネジメントしていくしかありません。
ただそれはあきらめましょうという意味ではなく、
やり方を変えるだけの話です。
前項になぞらえて言えば、あなたが提供しているサービスは
手段であって、その上に目的があるはずなのです。
目的がそれていなければ、
手段を変更できる余地はいくらでもありますし
(もちろん常識的で受け入れられるやり方で、ですが)
そこについてきてくれているユーザーがいるならば、
その人たちにより喜んでもらえる手段を考え続けるということが
大事だと思います。
4.大事にする人を間違えない
事業をするのは人です。
一番、優先しなければいけないのは、
あなたに親身になってくれている人、求めてくれている人です。
立場や、規模の違いはあれど、そこは変わらないものです。
家族、友人、社員など、人それぞれだと思いますが、
答えは、それに近しいと思います。
自分がうまくいかないときや、立場が変わったときにでも
離れずにいてくれる人が、本当に大事な人です。
ただ身近にいる人ほど、自分のネガティブな側面が見えたり、
ぶつけたりしてしまう可能性も高くなります。
それだけでも、自分にとってはダメージになりますが
そんな時に同じ分野やフィールドで活躍をしている人を、
ニュースやSNSなどで見かえると、さらに気持ちばかり焦ってしまい、
そのうちに「自分はなんとダメな人間なのか」と自己嫌悪に陥ります。
そのときは錯覚して、本質を見誤っています。
自分以外は、うまくやっているなんてことはあり得ません。
なので、このことを思い出してほしいのです。
フォロワーの数や肩書を大切にしている人には怒られそうですが、
貴方の人となりや、人生で重要な決断や決意を知らない
何千、何万人のSNSフォロワーがいることよりも、
貴方を深く知って、応援するよと
実際に手を差し伸べてくれる、リアルの1人のほうが
大切だと僕は、自分も実体験として実感しています。
SNSが浸透して以来、フォロワー数や、インフルエンサーの実績
などが、わかりゃすい指標となってしまいますが、
あなたの価値は、画面上の数でも、与えられる肩書きでもありません。
ではそういう人をどうやって増やすのか。
それは意味のあるつながりを一人ずつ創っていく、
そんな努力しかありません。
手段は、別にSNSでも、交流会でも、紹介でも何でもいいと思いますが
忘れないのは、貴方が幸せにしたいと思う人が幸せになるには
なにをすればいいかということが、一番考えるべきことです。
■地固めをした先に、ヒトとカネの話がある
「資金調達に難航しています・・」
そんなスタートアップの悩みはたくさん聞きます。
僕は、逆なのではと思うことがあります。
もちろん自力で資金調達を叶える優秀な起業家もいますし、
リスクにベットしてでも、その支援を決断される
素晴らしい投資家や企業は、僕の周りにもたくさんいます。
ただ、もし思うような資金調達ができない…と悩んでいるのなら
やるべきことは、まず地固めをしていくことかもしれません。
まずは自分自身で、持っている最低限のリソースで動きつつも
世に出してみて、価値を最大化していこうとすること。
トレンド風に言うと、アジャイルさだと思うのです。
これは、少し進んだ先の「採用」とかにもいえそうですが。
すべて先出し、先出しで求めてしまうと、特にスタートアップの場合は、
求める人物は、スーパーマンに来てほしいとなってしまいます。
仮に運がよくマッチングし、採用ができたとしても、
優秀な方は、自己の考えを確立している方が多いですし
そもそも市場価値が非常に高いです。
「ここは違う」と思えば、すぐに去ってしまうかもしれません。
誤解を恐れずに言えば、
今現在の、身の丈以上のことはできないようになっている
ということだと僕は思っています。
ただそれは可能性に蓋をするという意味ではありません。
まずは、自分で最低限の検証を経てから
「これは多くの人を助けるはずだ」という手ごたえを得て、
はじめて情熱とともに大きなお金を得に行く計画をする。
それからあなたの思いに賛同してくれる人を、
一人ずつ集めていくそういうシナリオを取る方が、結局大事だと思うのです。
ただ繰り返しになりますが、
その道程を苦行にしてはいけないのです。
やるべき目的は、
あなたと、あなたの大切にしたい人が幸せになるためで、
それを多くの人に届けることです。
そのためにも生き残ることを、前向きに前提条件にしないといけません。
noteの短い記事では、すべてをお伝えすることはできないと思いますが
今回上げたような考え方が、何か一部でも参考になれば幸いです。
今回はここまでとなります。
最後までお読みいただきありがとうございました!
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