ブックレビュー『消えた琉球競馬』(ボーダーインク)
馬が好きです。
競馬にもわりとよく親しんでいますし、乗馬も続けてます(初心者のままですが)。馬に関する本はコレクションしていて、この本も、衝動買いしました。
ある日、グリーンチャンネル(CS放送の競馬チャンネル)で観た「悠久の馬」という番組の再放送で琉球競馬が取り上げられていたんです。とても興味深い内容でした。一緒に番組を観ていた家族が「このリポーターは、確か本を出していたと思う」と言うので検索してみたところ、本書に出会いました。
元スポーツ新聞の記者で中央競馬を担当していた著者が、沖縄のとある地誌で「ヒコーキ」という名前の琉球競馬の名馬を知り、その足跡を追いかけて、当時の新聞記事や現地の証言、現地の今の様子などを丹念に拾い上げて、琉球競馬のかつての姿を描き出し、ドキュメンタリータッチで語っています。
その様子は、取材というよりも、もはや民俗学。
当時の琉球競馬(馬の速さを競うのではなく、装いや、脚並みの美しさを競うものだそうです)の様子を浮き上がらせると同時に、沖縄近代史も描き出されていて、とても読み応えがあります。よくある「かつての競馬場巡り」とは一線を画す、どこかアカデミックな雰囲気があり、著者の取材力、熱意が感じられて、「すごく良い本を買った」という気持ちになりました。
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