男色悦楽園 ~Q的なやつ~
Q。
ん? これもしかして……
ミサトさん?
こっちは……リツコさん?
開始早々、俺を困惑させた映画『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』。
───の話ではない。
QはQでも。
ダイヤルQ2にまつわる話だ。
しかも俺の初体験にまつわる話。
ダイヤルQ2 ってなぁに?
そんな若者たちに簡単に説明するとしよう。
「0990」で始まる番号に電話をかけることで、有料で各種番組(情報)を利用できるサービス。通話料金はお高めなので気をつけた方が良い。と、いっても、2014年(平成26年)2月28日ですべてのサービスは終了している。
さて。
なんでこのサービスは、俺のゲイとしての初体験が関係してくるのか?
───ツーショットダイヤル
なんて懐かしく、甘美な響きの言葉だろうか。
同年代のゲイなら、そんな風に思うだろう。
ダイヤルQ2にはツーショットダイヤルを提供している業者があった。
システムは簡単。
自宅の電話、もしくは公衆電話で【0990】から始まる番号をプッシュ。すると同じく【0990】から始まる番号をプッシュした者と繋がってお話が可能となる。これがツーショットダイヤルだ。
俺がこのサービスを知ったのは……。
わが青春の1ページどころか。
なんページにも思い出が綴られている雑誌。
───月刊サム〇ン。
雑誌の中に男×男が出会えるダイヤルQ2の広告が載っていたのだ。
まだゲイバー経験なし。もちろんハッテン場経験もない俺。
男性性と出会える手段として雑誌の文通欄があったが、実家暮らしにはハードルが高かった。
太目の男性と出会いたい!
太目の男性と出会って、あれあれしてみたい!!
20代前半の溢れんばかりの性欲が行動に移させる。
デブ専ゲイ雑誌購入 → デブ専ゲイビデオ購入 → ダイヤルQ2。
スライムを倒してレベルアップを目指すドラクエの勇者のごとく、1歩1歩ゆっくりだが、確実にゲイ活動を進めて行く俺。
しかし勇者と同じく、出会いまでは険しい道……ではなかった。
夜、テレホンカードを握りしめて、電話ボックスへ。
え? テレホンカードってなにかって?
簡単にいうと公衆電話で使用できるプリペイドカードのこと。アイドルやアニメキャラなどがプリントされたものもあったりしたなぁ~。まぁこれは今でも存在はしていると思うけど、ケータイの普及で風前の灯かも。
で、何度目かのダイヤルQ2。
「もしもし……はじめまして」
「はじめまして。通話料高いだろうからコレクトコールで電話してきなよ」
落ち着いた雰囲気の相手は、躊躇なく自宅の電話番号を教えてくれた。
人生初のコレクトコール。
そのお相手は、30歳ほど年上の50代半ばのオジサマだ。
教えてくれた身長、体重からガッチリ太目だということは明白だ。
そして……。
あれよあれよという間に、会う約束をしていた。
数日後の夜、俺は太目のオジサマと会うことになったのだ!?
これが俺の男性初体験になるわけだけど。
それはまた次の機会に。