なぜ鎌田はラツィオを選んだのか?出場機会最重要視の海外日本人サッカー選手事情
鎌田選手がラツィオに移籍したことに関して、「フリーなんだからもっと有名クラブに行けたのでは?」と言われることがある。
有名クラブというだけであれば、バルセロナが鎌田に興味を示している、というのはよく言われていた。バルセロナは金欠が進んだ結果、元ビッグクラブのフリー選手をブランド力で毎年4名ずつ程度集めるような補強をしており、そこそこ実績があってフリーの鎌田はいかにもと見られていた。
が、鎌田の側がバルサをお断りしていたという記事も実は出ている。
鎌田側の条件としては、
CL出場権がある
出場機会が期待できる(契約に保証を入れられる)
その上で一定の給料を要求する
ということだったようで、ラツィオを選んだ決め手は監督が熱望したことだと複数メディアから出ている(ちょうどミリンコヴィッチ=サヴィッチが抜けてポジションが空いたという影響もあるだろう)。ラツィオ側からすると取れるとは思っていなかったランクの高い選手、という認識のようである。
給料に関しては、鎌田側が年俸+諸費用で500万ユーロ/年を吹っ掛けて頓挫しかけたが、ラツィオ側がキットサプライヤーのミズノ等に頼み込んで出してもらったようだ(記事)。
出場機会最重要視の今の選手たち
今の日本代表では所属クラブの格よりコンスタントに出場しているほうが重視される傾向にあるように思える。南野はリバプールで出場機会を得られないうちにどんどん序列が下がっており、冨安でもケガ明けで試合勘が戻っていないのかぱっとしないので優先されない傾向がある。
日本人選手にとっては代表への憧れ、ないしはスポンサーによる稼ぎは無視できない。代表での地位を考えると、上の記事にもある通り、選手側も出場機会を重視したクラブを選択し、高目狙いが減り、クラブの中で絶対的な王様のようなポジジョンに収まっていることが多いように見える。
例えば遠藤はシュトゥットガルトでは頭一つ抜けた選手だったし、リバプールの移籍もDMFの緊急補強で確実に出番があると見込んでのことだろう。久保も絶対的な地位を築いたソシエダにしばらくいるようだ。伊東や中村ももっと大きなクラブから声がかかってもよいところスタッド・ランスを選んで伊東は不動の地位に納まっている。当落線上あたりの川辺もウルヴズで挑戦するかと思いきやベルギーに再移籍している。控え覚悟でステップアップしたと公言しているのはフェイエノールトに行った上田くらいだと思う。
今の代表は「クラブの名前が見栄えするようになってきた」と言う人も多いが、実際のところそれは身の丈より若干小さいくらいのクラブで、所属クラブ名より実力は一段上というのが個人的な感想である。本田香川時代はやや背伸びしたクラブに行っていた感じだったが、その時代とも一線を画しているように感じられる。