最近欧州で活躍する日本人CBは、ボランチ経験があってリベロ的な使われ方をすることが多い
表題の話のメモ書きです。
冨安健洋
筆者がすでに書いた通り、冨安はボローニャでもアーセナルでも右半分をカバーするリベロというべきタスクをしており、偽SBとして見た場合にはインサイドハーフ的なMFのタスクもこなしている。
Jリーグのアビスパ福岡ではデビュー当初、冨安をボランチで起用していたことがあった。CBではあまり目立たなかったが、相手のプレッシャーを苦にせずボールを捌くというセンスはもともとあったのだ。それがベルギーのシント=トロイデン、さらに可変性SBでの起用が増えたボローニャで磨かれて、アーセナルで花開いたと言える。
板倉滉
現在シャルケではCBとしての運用が多いが、駒が不足した場合ボランチ起用が取りざたされる。CBとしてはリベロのような攻撃貢献が目立つ。
目立つのは、リベロというポジションのルーツを思い出させるような、攻撃での貢献だ。
中山雄太
各レベルでボランチ、サイドバック、センターバックを行き来する守備のユーティリティ選手。今期最新ポジションはリベロ。
11月27日のRKC戦(0−0)から、中山はリベロに定着したのだ。3センターバックシステムの中央をオリジナルポジションとして取りながら、最終ラインからのビルドアップ時には真っ直ぐに一列上がって、アンカーの位置に陣取る。さらに敵陣にスペースがあるのを見つけると、彼はスルスルと右へ左へと上がっていき、ワンツーやドリブルを試みながらアタッキングサードへ姿を現す。守備面でも、より自らイニシアチブをとって味方を動かし、陣形を整える意思が強く感じられるようになった。
遠藤航
クラブでも代表でもすっかりボランチの選手として認知されるようになったが、湘南時代は基本的にCBであり、たまにボランチやサイドバックもする選手だった。ドイツでもたまにCB起用がある。
特に注目を集めたのは、この試合で4-5-1の4バックで左CBを務めた遠藤航だ。これまで、普段は中盤の底、ボランチの一角を任されていたが、主将も務めるマルク=オリバー・ケンプフの負傷による欠場のため、急きょディフェンスラインの統率を任された。
伊藤洋輝
磐田時代もシュツットガルト時代もCBが基本だが、磐田では左SB/WBやボランチもこなしていた。ドイツでの初得点はいかにもボランチらしい3人目の動きで得ている。
シュツットガルトの先制点は見事であり、伊藤の素晴らしいパスが目を引いた
長谷部誠
言うまでもなく、ドイツにおけるリベロ復興の立役者。本職はボランチであり、右サイドバックの経験もあり、最近シーズンでもこれらのポジションを行き来している。
「今は守備で3バックを使ってプレーすることが多い。例えばアイントラハト・フランクフルトのマコト・ハセベを見ると良い。3バック中央の選手は(中盤の)ラインの3~4メートル後ろの位置でプレーしている。なので基本、ストッパーの後ろに位置するリベロだよ。(ストッパーは)今はセンターバックと呼ばれるけどね」
まとめ
以上、最近欧州で活躍する日本人CBは、軒並みボランチ経験を持ち、チーム内ではパス捌きでビルドアップに貢献しつつ、リベロ的に持ちあがりを武器とする共通の特徴を持つ。これは、ポジションを守りつつも全員攻撃と守備の両面で貢献する体制が整備されつつある現代サッカー界においても、欧州でも希少価値があり需要が高いディフェンダーにそういう特性がある、ということだろう。
これらの選手を生かすには3-4-3がうってつけだろう。CB以外にも、今の日本代表は3-4-3に適した選手が揃っているように思える。
CMFは遠藤、守田、田中が招集中、そのほか川辺や橋本などボックス・トゥ・ボックス型のCMFが充実している。
ウイングバックは、左は三笘がベルギーでウイングから1列下げる形でベルギー首位チームで頭角を現しており、旗手などもこなせるポジションだろう。右サイドでは山根は攻守のバランスを考えればむしろウイングバック向きに思えるし、AZの菅原が右SBから右ウイングにポジションを上げて起用されており、当然ウイングバックもこなせるだろう。室屋なども当然こなせる。
アタッカー陣については、サイドは純正ウイングというよりツーシャドー向きの選手が多い印象で、こちらの人材が不足することはないだろう。CFのみ不安要素があるが、古橋、前田、上田、江坂あたりから個性に従って生かしていくのでも良いように思うが、どうだろうか。