第二十九回 ウクライナ戦争と野球の未来 経済編 (2022年4月2日)
中高生を想定した、ウクライナ戦争と野球の未来 経済編です。
野球の未来についてお話する前に、失われた25年の間に日本がどのようにして何十兆円ものお金を盗まれて、日本人が貧乏になってしまったかについてお話します。本来であれば、私の給与も退職金も今の二倍以上はあったでしょう。それらはどこへ行ってしまったのでしょうか。
結果から判断して、日本の政治家、官僚、マスコミを利用した外国人に、金融経済と実体経済の違いを巧みに利用され、日本国の利益に沿わないところで使われてしまったと言って良いでしょう。大変残念なことです。
最初に日本経済が現在の困窮状態に到るまでの経緯をモノポリーを例に説明し、最後にウクライナ戦争の野球への影響について考えようと思います。
少し長くなりますが、経済の知識が全くないことを前提に説明するという試みなのでご容赦ください。
モノポリーは、ヘッジファンドなどの投資家の多くが子供の時に遊んだゲームとのこと。確かに実体経済について、よくわかるゲームだと思います。
余談ですが、金持ちはますます金持ちになるという事はモノポリーで身をもってわかるので、トマ・ピケティの「21世紀の資本」は、とうとう読もうという気にならずにここまできてしまいました。
さて最初に「お金」がどうやって生まれるのか説明します。お金が生まれるのは、ズバリ誰かが借金をしたときです。
モノポリーでは、ゲームの最初に「モノポリー銀行」がプレーヤーに印刷したお金をくばります。
この時プレーヤーが100ドルをもらったとすると、モノポリー銀行には同時に100ドルの負債が生まれて、モノポリー市場全体のバランスシート(二本の棒グラフをイメージしてください)をみると、資産側(プレーヤーが貰った100ドル)と負債側(モノポリー銀行が渡した100ドル)の両方に同じ額100ドルが立ち上がってバランスします。
棒グラフのイメージがわかる様に、国のバランスシートについて説明しているブログのリンクを貼っておきます。【三橋貴明】時代が変化するということ
さてゲームを進めるにつれて、モノポリー銀行がプレーヤーに配るお金が増えていき、モノポリー市場で使われるお金も増えていきました。プレーヤーは、手持ちのお金が増えていきお金持ちになりました。こうして使われるお金が増えて、モノポリー市場が成長しました。
この時モノポリー市場のバランスシートをみると、モノポリー銀行がプレーヤーに配ったお金が増えているので、プレーヤーの資産もモノポリー銀行の負債も増えてバランスし、両方の額は大きくなっています。この様に経済成長する時には、バランスシートの資産と負債の両方が増えていきます。負債を増やさないと資産も増えずGDPも成長しません。
国が経済成長する仕組みも基本的に同じです。政府が市場に配った金が大きくなり、政府の負債が大きくなると国の経済は成長します。
ですから日本経済が成長し国民が豊かになるには、政府は国債発行を増やし、負債額を増やしていかなければなりません。そうすることで国全体のバランスシートが大きくなるわけで、このように安定して負債を増やしていけるのは、通貨発行権を持つ日本政府だけです。
さてそれでは、財務省や自民党が「堅持」しているプライマリーバランス目標(PB目標)という政策をモノポリーで進めるとどうなるでしょうか。
このPB目標というのは、基本的に「税収と同じだけ政府はお金を使い、新規国債発行をして負債を増やさない」というものです。モノポリー銀行がプレーヤーに渡すお金を、税金カードで取り上げた額と同じだけ渡す、もしくは一切渡さないことにしたら、モノポリー経済は成長するでしょうか。政府が安定して負債を増やさないので資産も増えず、経済は成長しないことになります。
これをゲームでやっているうちは良いのですが。モノポリーではなく実際の経済政策で、日本国民をプレーヤーに、実際にその様なことをしたのが日本政府と財務省です。結果を見てみましょう。
このグラフは、MONOistというWebからのものです。リンクを貼っておきます。(MONOist 成長しない日本のGDP、停滞の20年で米国は日本の4倍、中国は3倍の規模に)
日本は過去25年もの間、見事に経済成長していないことがわかります。政官財とメディアの総力を上げて、経済成長しないように導かれてきたと言っても過言ではないでしょう。
例えばメディアは、国債発行を「国の借金」と報道し政府の国債発行を抑えて、政府の負債を増やさないように世論を誘導してきました。「子ども達にツケを残すな」というキャッチフレーズがそれで、実際には日本経済の成長を阻害し、国民が豊かになるのを妨害したことで、子ども達にツケを残してしまいました。
言い方も重要です。通常「国の借金」という言い方は、日本国の外国に対しての借金を想像させますが、日本の経常収支は累積300兆円の黒字なので、日本は海外に借金ではなく債権を持つ世界一の金持ち国で「国の借金」などありません。
また報道のし方も重要です。「国の借金である国債発行高は過去最高になりました」とまるで問題でもあるかのように報道し、国債発行高を抑えようというやり方も問題です。政府の負債=民間の黒字なので、同じ事を別の言い方で、「国民の資産である民間黒字は、過去最高になりました」と明るい調子で伝えたらどうでしょう。受ける印象は変わるでしょう。
そもそも国債というのは、増やしていかなければならないし金利がつくので増えていくものなのです。
言い方を変える事で受け手の印象を操作するのもプロパガンダの手法の一つなので、NHKは、視聴者が「政府の国債発行高を抑えないといけない」と考える方向に印象操作していたと言われても仕方がないでしょう。
さて日本政府は増税を繰り返し、コロナ不況による国民への給付などの政府支給も抑えてきました。これは財源が無いからでしょうか?
モノポリー銀行は、モノポリー紙幣があるだけ支出できます。モノポリー銀行にできて日本政府にできないはずがありません。
もちろん円の発行権のある日本政府が支出する際に、財源は必要ありません。財源がないから支出できないというのは明らかな嘘です。実際の実務を見てみましょう。
全ての政府支出は、政府が発行する政府短期証券という事実上の国債をベースに支出されます。政府が支出したお金の一部が税金として回収され政府短期証券を償還し、残った政府短期証券を国債として整理するというのが実際の仕組みです。MMTのいうSpending Firstというのが、実際のプロセスなので政府支出に財源は必要ありません。財源がなくても国民にお金を渡すことができるのが、通貨発行権を持つ日本政府です。
税金は財源でなければ何なのでしょうか?これは基本的に、政府がお金を刷って使うばかりでは、紙幣の価値が下がりインフレになるので、市場からお金を消しているだけのものです。
国のバランスシートの棒グラフで「消費税で国債を減らす」作業をしてみましょう。まず資産から消費税として我々の財布から預金を減らします。棒グラフの資産が減りました。次に右の負債から政府の負債を減らし負債の棒グラフが下がりました。こうして目出度く両方の棒グラフが減り、日本のGDP、経済は縮小し我々は貧乏になりました。デフレに増税などバカらしいから、政府モノポリー銀行には、とことん減税と支給など政府支出の拡大を求めましょう。外国人ではなく日本人に金を使えるはずです。
それではなぜ日本政府は、モノポリー銀行がプレーヤーにお金を渡してモノポリー市場を成長させるように、日本国民にお金を渡すような政策、減税や財政支出の拡大をしてこなかったのでしょうか?この様に、政官財メディアを挙げて日本の実体経済の成長を抑えることで、誰が得をしたのでしょうか。結果から判断して、これは意図的なものだったと思います。
失われた25年間について、経済評論家の田村秀男氏の意見を聞いてみましょう。リンクを貼っておきます。
田村秀男氏『岸田首相の●●政策はトンデモだ!?』 【深田萌絵TV】
結局、日本の金がウォール街と中国経済を潤したというわけです。
具体的に何が起きたのでしょうか。
消費税を含むあらゆる増税、社会保険料の増額、高速料金の値上げなどによりデフレ不況が続いたため、国内への投資は落ち込みました。そのため銀行は融資先がなく利益をあげられなくなってしまいました。
銀行の収入源だった国債金利は、アベノミクス依頼の大規模金融緩和により政府日銀に買い上げられてなくなり、代わりに銀行には銀行間決済のみ使える準備預金という「お金が」積み上がりました。政府子会社の日銀に買い戻されてしまったので、もはや市場に国債が足りず低金利が続いています。
ところで実は同じ「円」でも、我々の預金・現金と、銀行間取引のみ使える準備預金とは違った二種類のお金で、これが日本からお金を巻き上げるトリックでした。
銀行が国債のかわりに準備預金というお金をもらったのだから、何かに投資すれば良さそうなものですが、この準備預金は銀行間決済にしか使えません。モノポリー銀行のように、プレーヤーに渡せないお金なのです。
やむなく銀行はウォール街の投資銀行から、高リスク高利回りのジャンク債を大量に買い込み目先の利益を確保しました。
この様にして、安全な資産であった日本国国債がジャンク債に置き換えられて、その過程でウォール街は莫大な手数料利益をあげることができました。そしてウォール街経由で中国投資に回り、中国の経済発展と軍事力増強に使われてきたということです。
客観的事実を振り返るだけで、まるで政官財メディアを挙げて、日本国から金を巻き上げて、国民に貧困を強いながらウォール街と中国に利益誘導してきた様に見えます。
中国人民軍の軍人、喬良と王湘穂によって書かれた「超限戦」という核時代の新しい戦略についての著書があります。これは核保有国同士が直接戦争してしまうと核戦争になるので、新しい戦争の形として、直接的でないあらゆる非軍事的手段(プロパガンダ、ハニトラやマニトラによる政治家と官僚の買収、スパイ行為、暗殺、サイバー攻撃、歴史や伝統文化の破壊)を、軍事的目的のために使うのだと主張した優れた戦略の本ですが、仮に誰かがこうした戦略に基づいて、日本経済を非軍事的手段で攻撃していたと仮定してみると悪い妄想は膨らむばかりです。
果たして日本の失われた25年は、超限戦による攻撃の結果なのでしょうか?
日本での自殺者は年間2万人を超えていますが、彼らのうちどれほどが、戦死としてカウントしても良いのでしょうか。
超限戦以降、政治・経済・軍事が一つのものである事が、ますますハッキリしてきました。
プロパガンダ戦の最前線で戦っている人のごく最近の例はこれかと思います。超限戦戦争の最前線は、こういう戦い方をするわけで、これを書いている私も読んでる貴方も、サイバー空間内の超限戦の戦場にいる兵士です。大人も子供も、軍人も民間人の区別もない戦場です。
財務省の大嘘!共同通信に書かせた「国の借金1,000兆円」について【西田昌司ビデオレター令和4年4月1日】
少々難しいかもしれませんが、西田議員に敬意を表して、これも紹介しないともったいないでしょう。
日銀が認めた!『財政破綻論』が崩れる歴史的瞬間!(参議院財政金融委員会:西田昌司参議院議員による質問 令和4年3月15日)
ところでウォール街と中国共産党への利益誘導は、日本特有のものではなく、政治編でも紹介した、ドル覇権と軍事力を背景に進められてきたグローバリズムの当然の帰結だと思います。
最大の被害者は米国市民でしょう。グローバリストは、国境を気にせず商売をしたいためロシアや日本の様な国民国家が嫌いです。ロシアや日本の前に攻撃対象になったのは、米国や欧州でした。
(「世界は一つ、マネー主義」というグローバリズムについての優れた研究をされている林千勝氏の動画を紹介しましょう。リンクを貼っておきます。)
【今、世界はどうなっている?】林千勝×水島総 第1回「民族無き世界を目指す2つのグローバリズム
この様な状況で起きたのがウクライナ戦争です。
私はロシアが、ドル覇権を背景にしたグローバリストら欧米金融の制裁に耐えられると思わなかったこともあり、プーチンが開戦に踏み切るとは予想しませんでした。しかし前回の政治編で述べたとおりどうやらプーチンは、欧州金融と米国金融との反発を突き、ブレトンウッズ3という欧州の金融資本家および欧州政治家らとの「共通の利益」を目指す事で、米国金融に対して勝利を得たように見えます。これから何が起こるでしょうか。
ドルや円はコモディティに対して、コストプッシュインフレという形で価値を落としていき、制裁した側が制裁されるような形になると思います。
実際に輸入商材の値上げは凄まじく、商社部門の営業は、値上げの通告を受けては顧客に転化する事が多くなっています。
国内をみれば、コアコアCPIというエネルギーと食料を除いた物価指数はマイナスで、これは実質デフレ不況が続いていることを示しますが、さらに海外要因で原油やエネルギー、穀物など食料が値上がりするので、このままでは、不況とインフレの両方が発生するスタグフレーションになる恐れがあると思います。日銀は通貨防衛のために金利を上げなければなりません。
しかし日銀は、銀行には準備預金が積みあがっているので既に無意味となっているにも関わらず、政府の財政出動による景気回復がなされないため、景気後退を恐れて金融緩和を継続し、円安に歯止めがかかりません。
輸入商材に起因するコストプッシュインフレに対応するには、政府は消費税廃止やガソリン税のトリガー条項廃止、給付や減税などを行い、政府モノポリー銀行はあらゆる手段で国民に金を渡すべきで、説明した通り財源など必要ありません。
予算を拡大すべき時なのに、岸田政権は何の手を打つこともなく、日本経済を衰退させるべく放置しています。このままでは、ローリングスのグローブも値上がりし子供達に買ってやることもできなくなるでしょう。
私はMLB TVを契約したかったのですが高くて手が出ません。今年は諦めてパ・リーグTVを見るしかありません。
もう一つ気になっているのは、ゆうちょやJAなど地銀に何十兆円と積み上がっている「その他証券」いわゆるジャンク債です。これらはいつか破裂する爆弾のようなもので、例えばロシア債権のデフォルトなどをきっかけに、レバレッジをかけて何倍にも膨らんだ高リスクの金融商品が不良債権化したら、リスクを抱えていた地銀は相当影響を受けるだろうと思います。
銀行が破綻し取り付け騒ぎが起きることにでもなれば、何年も前から噂されていた預金封鎖も起きるかもしれません。日銀の金融緩和継続以外にもマーケットにこうした懸念があるとしたら最近の円安は納得です。
そんな事態が起きれば野球を続けられなくなる子供達も出てくるでしょう。メディアはこぞって金融危機をロシアのせいにするでしょうが、悪いのは外資と外資株主から派遣され、莫大な退職金を手に既に退職している元社長と、それらに都合の良い金融緩和と緊縮財政を続けた日本の政治家と官僚ですから、忘れないようにしましょう。(赤字国債を「国の借金」と言い換えて、日本経済を成長させないように世論誘導したと思われるマスコミ関係者も忘れてはいけませんね。)
ロシアの債権がデフォルトしても何も起こらなければ、これただの杞憂です。爆弾が破裂するのは先延ばしということですが、個人的には本当の悪党が逃げる前に、爆発してしまっても良いかとも思います。どのみち「お前は既に死んでいる」という状態なのですから。いつ「ひ、で、ぶ!」となるかだけです。その時は、焼け野原から皆で立ち上がりましょう。
まったく反日政策を進める自民党政権の政治家達を入れ替えたくても、日本人に実質的に選挙権はないため思うようにいきませんね。
非選挙権はバカ高い供託金制度により制限され、選挙権は小選挙区制のため、いつも目くそか鼻くそののどちらかを選ばされるしかなくなっているのです。私は立候補したくても供託金が出せません。日本の野球に未来はあるのでしょうか。
日本の野球の未来は、私達にかかっていると思います。まず誤った情報を垂れ流すマスメディアの情報を遮断し、政府の政策が誰の利益になっているか考えましょう。
日本人の選挙権は実質的に失われていますが、幸いな事に現代では、選挙権以上の権利を、政治家に対して何度でも行使することができます。
それはメールや電話、SNSあるいは直接意見を述べることです。投票に行くだけでは十分ではありません。奪われた選挙権の代わりに、政治家に意見を伝えましょう。(高校の授業で、古文と漢文をやめるという話も出てきました。いよいよ政治家を入れ替えるか、日本人が入れ替えられるかの様相を呈してきました。)
野球を愛する私達の多くが政治家に影響を与え、経済成長をもたらすような政策、積極財政と減税を求める事ができれば、我々の所得が増え(私の所得も増え?)日本野球の将来も安泰でしょう。反対に何もわからず意見も言わず、メディアの報道に流されるばかりでは、野球どころか、日々生きていくことも難しくなるでしょう。
今になって、高校の恩師がこう言っていたのを懐かしく思い出します。
「いいかお前達、テレビというのは利口が作ってバカが見るんだ。お前達はテレビを作る側にいくんだぞ。」
これはこれでどうかと思いますが。
次回は、野球の才能を作る方法について考えてみようと思います。
(追記 2022年8月15日)
終戦の日に相応しい話題ですが、ウクライナ戦争はおおよそ片が付きつつあるようです。こうした情報は断片的に耳に入っていましたが、World Forcastからまとまった動画が出てきました。
現在の戦況を見てみても、「軍事編」の予想通りに推移してきたようで、ロシアは既に戦争の目標を達成していると思います。
今の中高生にはわかっていることかもしれませんが、インターネットの情報は玉石混合ですが、自分で情報を取りに行き考えて取捨選択する作業が必要なので、一方的に流されるテレビ・新聞情報に比べれば、誰かに操作されることは少なくなるでしょう。
(追記 2024年6月24日)
Bloodlettingという方針をとるところまでは合っていましたが、ここまで米国がしつこく巨額のドルを投入しまだウクライナ戦争を継続させていることになるとは予想が外れました。民意をよそに核攻撃の恫喝をし合う事態となっていますが、バイデン政権が終わるまでそのようなことにならないことを祈るばかりです。
ところで農林中金の損失が凄い事になっていますが、これでも経営者が大した責任を取らないというのは、ここまで損を確定した責任は、前任者達にあると思っているからでしょうが、目くそ鼻くそです。
これで終わりではないでしょうね。
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