第四十一回 吉田選手の小さな修正 (2023年4月26日)
今日の試合で、レッド・ソックスの吉田選手は6試合連続安打を記録し、休場前に1割台に落ち込んだ打率が、2割7分8厘まで回復してきました。
復調のカギは、打撃フォームの修正にあったという記事が散見されるようになりました。
[MLB] 吉田正尚がメジャー移籍後初の3安打 打撃フォームの見直し成功
東スポWEB (2023年4月25日)
この東スポWEBからの抜粋です。
「試合後、「打球の質、見え方、自分の中で、これっていうのはあったので、そこですっきりって言ったら変だが、夜の寝つきは良くなったかな」。いつものクールな表情の中に、安堵感が少し見えた。 さらに「打撃に関しては、しっかりとコンタクトが取れてきたかな。追い込まれてからも反対方向を意識しながら」と話した。この5試合で20打数10安打、2本塁打9打点と絶好調。1割6分7厘だった打率は2割6分5厘に急上昇し、出塁率も3割1分から3割6分3厘まで上げてきた。 吉田復活のカギは12日(同13日)のレイズ戦から右大もも裏の張りで欠場した4試合にあった。その時間に打撃コーチと話し合い、思い切ってフォームの見直しに着手した。「それまでインコースが消えていた」というやっかいな問題を解消する必要があった。室内ケージでバットを振り、試合で打ち取られた映像もチェック。構えやスタンスを修正した。吉田は「(打撃の)メカニックスを変えてから良くなって来ている」とうなずく。ここから本領発揮だ。」
今日の記事では、もう少し詳しく報じてします。
[レッドソックス] 吉田正尚のスランプ原因判明!瞬時に見抜いた2人の打撃コーチ補佐 (2023年4月26日)
「21打席連続無安打の絶不調から直近6試合でマルチ安打5度と驚異のV字回復だ。吉田は快音が消えた原因を「(一時期は)インコース(の視界)が消えていた」と明かす。「打撃コーチからのアドバイスだったり、実際に映像で見て」問題点を発見し、打撃フォームの一部修正に着手している。 その問題点を指摘したのはルイ・オルティス打撃コーチ補佐だ。キャンプ中から吉田の打撃練習を観察してきた同氏は「マサ(吉田)は日本で作り上げてきた素晴らしいスイングを持っている。私は彼らの打撃練習などのサポートをするだけ。だが、高めのストレートに力が入りすぎてゴロを打ってしまう事が続き、(テイクバックの際に)肩が入りすぎて、ボールを両目で見ていないんじゃないかという話になった。そこからメカニックス(フォーム)や姿勢について一緒に検証し、小さな修正に取り組むようになった」という。 吉田は右太もも裏に張りを訴え、12日~15日(同13~16日)までの4試合に欠場したが、その間も試合中に室内ケージで打撃練習をしていた。その時、4~5メートル手前から下手でゆっくりめのトスをするなど練習のサポートをしていたのがもう一人の打撃コーチ補佐のベン・ローゼンタール氏だった。 ローゼンタール氏は「新しい打撃のドリルを始めたわけではない。ただ、アドレスや体重移動の方向など、修正したのは小さなこと。ラフィ(ディバース)や、マサのようなメジャーリーガーに、多くの情報を与えるべきではないからね」と説明した。 スランプの長期化が心配された状況から一転、安打を量産している吉田。2人の打撃コーチ補佐の助けがあったにしても対応力に驚くばかりだ。」
捻りモデルの立場からは、記事中の「小さな修正」が気になるところです。
あまりに微妙で、これば意図的に修正したものか判断つかないのですが、これが意図的なものであれば有効だろうと思われる箇所があるので、間違っているかもしれませんが紹介しましょう。
それは、右手のグリップをわずかに絞って握るようになった箇所です。下記は、今日のオリオールズ戦でカーブを流し打った打席のものです。
これを昨年もしくはWBCまでのグリップと比較してみましょう。下記は、WBC強化試合。オリックス戦からのものです。右手首が真っすぐに伸びていることがわかるでしょう。
別の角度から見てみましょう。強化試合では右手首が真っすぐなことがわかります。
この変化で何が期待できるかということは、「第九回 理想的なグリップ位置について」や「第三十五回 翔平グリップ vs 誠也グリップ」に記載しているとおりなので簡単に言うと、翔平グリップから誠也グリップもしくは、アーロングリップからウイリアムズグリップの方向に修正したということでしょう。もう少し絞っても良いかもしれませんが、高低様々なボールに対応しやすいところは選手によって違うので、どこが最適なのかは選手が判断すれば良いと思います。
しかしこの「小さな修正」が意図的なものなのか、大きな変化ではないので何とも言えません。しばらく観察を続けているうちに、また右手首が真っすぐになって打撃の調子が落ちるようでしたら、偶然なんとなくこうなっていただけということでしょう。
オリックスの選手の多くは、トップハンド(左打者右手、右打者左手)の手首が真っすぐでパワーのロスが見られるので、手首を少し絞るようになったら手が付けられないだろうと思って見ていました。
この「小さな修正」がオリックスの選手達にも伝わっていくようでしたら本物でしょう。
大谷選手にも伝われば良いのですが。
大谷選手の右手首が真っすぐなグリップは、どうにも良いとは思えない。右手を絞った方が、パワーと打率も向上すると思います。