第四回 捻りモデルのバッティングフォーム (2021年1月9日)

ここからは、「捻りモデル」理想形のバッティングフォームを紹介しましょう。また猫じゃらしの説明からですが、私も猫じゃらしが、これほど役にたつとは知らなかったのです。

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これは猫じゃらしを左右に振る事で、茎に板バネの様にエネルギー(以下「力」とします。)溜めているところです。どうすれば茎に「力」が溜まるかというと、ここでは先端の部位と根元の部位になりますが、「違う方向へ動かす」ことで、茎に「力」を溜めています。バッティングにおいてもこの様な反対方向の動きを取り入れるのですが、テニスのレシーブの動作などでとても馴染みのある動作です。

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これはあるプロ選手の動作を写したものです。レシーブの際に、まず下半身を体重移動と共に前に動かして、前足をステップした後に上半身を遅れて動作させることで、違う方向への動きを生み出して体幹に「力」を溜めています。次に野球での動作を見てみましょう。プレゼンテーションを読んでいってください。

1「捻りモデル」に基づくバッティングフォーム

アルバート・ブホルスのバッティングを参考に「捻りモデル」の理想形を紹介します。

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ここでわかりにくいのは、「バットを引っ張ることで腕がバットに引っ張られる」という一番上の矢印のところだと思います。これは慣性質量というものの説明になり、普段生活する上で意識する事が少ない様に思います。しかしバッティングとピッチングの違いの説明で避けられないので、少し補足します。

例えば空間にバットとボールが浮いているとします。それを各々引っ張って投げようとしました。重いバットの方は最初はなかなか動きません。しかし力を加えているとそのうち動き出しました。どんどんスピードが増してくると共に引っ張る力も軽くなり、最後は投げることができました。
ボールの方は、同じ様に力を加えたにも関わらず、バットと違いすぐに動き出しました。
この違いは、バットとボールの質量の違いによるもので、質量の大きなものを動かすには、より大きな力を長い時間加える必要があるということです。質量の大きいバットを引っ張っている時には、バットが動き出すまでの間は、バットも貴方を大きな力で引っ張っているのです。

上図の手の部分の矢印は、選手がバットを引っ張ることで、バットが選手を引っ張る力を生み出し利用しているということです。

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股関節周りに発生する下半身の捻り戻し(左矢印)と、小さくて見えにくいですが、上体(ヘソの辺りの右矢印)に加えて、バットを引っ張ることで生み出す(左矢印)の、それぞれ三種類の違う方向への動きを組み合わせて体幹に「力」を溜めています。

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体重移動をしっかりする方が打てるとする根拠は、ここにあります。板バネを弾くときに、しっかりと地面に固定しておかないと強く弾けません。

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「捻りモデル」の理想形は、板バネが弾く様な直線的な力を体幹に生み出すものなので、この直線的な動作だけを取り出してモデル化してみたのが下記のイラストです。

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デフォルメしすぎて逆にわかりにくいかもしれません。もはやバッティングのモデルには見えません。

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イラストに戻りましょう。「捻りモデル」の理想形は、直線的な動作と回転動作の組み合わせになるので、バットの軌道は打撃方向に出来るだけ直線的に振り出す「楕円」になります。
これは、実践で言われる「バットを出来るだけコンパクトにインサイドアウトに振る」という内容と合っていることがわかります。
また「捻りモデル」の理想的動作には、内向き股関節可動域が大きい選手ほど、体幹に大きな「力」を蓄えることができるということもわかると思います。

次回は、日本球界で幅広く指導されてきた打ち方について見てみましょう。
その後で、恐らく今一番、実践と理論の混乱により苦しんでいるのではないかと思う大谷選手のスランプについて考察してみようと思います。


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