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ショーター部長のある物上げ


今回は物上げ、(ヌ)番号競売物件の任意売却が成就したお話しです

不動産の物上げ。。。
一般エンド客から直接買い取る、又は業者さんが売主の物件を買取る、大まかにこの二つに分かれます。
エンドから直接買取るにせよ業者さんから買取るにせよ共通してることは売り物件情報の入手が大切です。

私が勤めてる会社は、暗黙のルールで業者からの買取りは基本NGです。
何故か?

業者さんから買取っても利幅が薄いですし、営業力が身に着かないという理由からです。
まぁ普通に考えたらそうですよね。本当に儲かる物件なら余所に振らずに自社で捌きますから。
なのでレインズで売り物チェックしてるのを社長に見つかったら嫌味を言われますw
こんな感じで、
「ん?お前さっきからパソコンばっかり見てるけどそんなんで買える物件見つかると思ってんの」
「楽しようとするな。うちはエンドから仕入れてエンドに売るんだ。物上げ(仕入れ)からローン付け(販売)まで一人でできるようにならないとこの先お前が苦労するぞ」

社長がこんな調子なので、エンド直で仕入れをやるわけですw

「エンドから直で仕入れる」


当然楽ではないです。

不動産業界に入って3年数か月
勤め先は物上げ(仕入れ)の会社。


「なんだ、売りたいって客を探せばいいだけやん」


最初はそう思いました。
しかしこれがやってみるとなかなか簡単にはいかないw


・高く売りたいに対して安く仕入れたいで価格が折り合わない
・親族や謎の第三者の妨害
・売りたいと言われても不動産に価値がない(再建不・高低差・立地・那須や伊豆の山) etc


そこで私は気付きました。
「仕入れ方法(情報入手)が大切だな」

まず相談したのが、都内の弁護士です。
ちなみにこの先生は、私が不動産業界に入ってすぐに自腹で勉強会を開いてもらった先生です。
※早くこの業界で生き残るすべを身につけたかったので、業務をこなしながら経験積んで、なんてかったるいし時間がかかると思い勉強会を開いてもらったわけですw


内容はいたってシンプル。


・何に気をつけるべきか
・どこまで踏み込んでいいのか、倫理観と経済行為(金銭)の比重
・裁判で判決までいく割合は?和解でおさまりつく確率は?
・契約後の決済条件の途中変更はテクニカル的にできるのか?

勉強会と言ってもワンツーだし、内容もだいたいこんなとこでしたw
但し、これで後ろの線は引けたので後顧の憂いなく前を向いて仕事に取り組めたのも事実です。

話が横道にそれました。すみません。
仕入れ方法について弁護士先生に相談したわけですが、先生のアドバイスは、「なら競売は?間違いなく売りに出てるわけだし、入札して落とせばいいんじゃない。裁判所でも色々閲覧できるしね。」

ここで私は「は?先生、競売情報なんて誰でも見れる情報じゃ遅いんですよ!」と言いそうになりました。
なったんですが、そこはグッと我慢。
競売か、一度裁判所に行ってみるかな。

>>一度裁判所にでも行ってみるかな。
この思いが私の物上げに大きな波を与えることになるとはその時は思いもよらなかったんですが。

横浜地方裁判所3階
`物件明細等閲覧室`

誰でも入れます。無料です。
今は一階で金属探知機による検査を受けなければいけませんがw

閲覧室の中に入ると奥に資料棚(左から2枚目の写真)があります。
後は長机とパイプイス、コピー機。
初めて入室した時の感想は「殺風景だな」でした。


当然、初めてなんで奥の棚に入ってる資料が何を意味するのかわかりません。
なのでググるより職員さんに説明してもらうことにしました。
職員さんは終始だるそうな対応でしたねw
ネットでも見れるような入札情報等だいたい予習しておいた内容のものが置いてました。
特に目新しいものはなく成果なしか。自分の中でそう思い始めてた時、
職員さんから「これは配当要求終期の公告です」と説明を受けたファイルに目が留まりました。
最後まで集中して聞いておくものですね。私の嗅覚が働きました。


職員さんの説明はおおむね
・競売申立債権者以外に債権がある債権者に対し、執行裁判所に債権を有する旨を申し出てくださいという制度
・執行裁判所は、競売の申立が行われた際には、配当要求の終期を定め、公告をすることが義務付けられている
・配当要求終期が公告された後、約3ヶ月~6ヶ月後に入開札 となる

>>配当要求終期が公告された後、約3ヶ月~6ヶ月後に入開札 となります
今でも覚えています。これだ!!!ぴん、と五感に響いたのを。

確かにBIT(裁判所の競売入札情報)や981.jpなどのサイトで入札情報は無料で見れるけどそれでは遅い。


入札については、ライバルが多くなる、最後まで売れ残ったわけがある、と勘繰っていたので入札には全く興味がなかったし、もっと手前の情報が欲しい、入札作業なんて本質的な仕事ではないと思っていた私には「約3ヶ月~6ヶ月後に入開札となる」という説明が、というかその言葉がすごく大きな宝となりました。

【配当要求終期の公告】
・横浜地方裁判所管轄だと基本毎週金曜日に出されます。
・横浜地裁の管轄エリアは、
横浜市内18区、鎌倉市、藤沢市、茅ヶ崎市、大和市、海老名市、綾瀬市、寒川町
・配当要求終期の公告に記載されてる内容は、
頭書(写真一番左)、その次から物件目録(写真あとの2枚)

これだけですw

BITや981.jpだと裁判所から提供される三点セットとなるものが見れます。ページ数は40~50枚。
・物件明細書(対象となる不動産についての権利関係などが記載されています。
・評価書(不動産鑑定士(評価人)が物件の適正価格を評価したもの。
・現況調査報告書(占有状況、関係人の陳述、執行官自身の見解、間取り図などの物件資料
※この上記三点です


裁判所提供の資料だけにかなりの量と質です。
これだけで有る程度は価格の判断がつきそうですねw

しかし私が目を付けたのはあくまで「配当要求終期の公告」です。
なので記載されてる内容はうっすいうっすいものですw
じゃあ、どうしてこの情報を料理していくか?
まず必要なのは謄本。これ重要。
公告のファイルには地番家屋番号が記載されている物件目録があります。
これを頼りに謄本を取るわけです。


次にエリア。
(私はエリアに関わらずとにかく的を絞ることに注力しています)
(可能性の有無でいえば、ダボハゼでもいいんでしょうが、それは疲れるし広範囲を一人ではカバーしきれませんから)
※これはあくまで個人的意見ですからねw

先ほど書いた通り、横浜地裁だけでもその管轄エリアは広いです。
あと数ですね。一回の公告で、15件前後。
当然エリアは管轄内で散っていますし15件前後を全て回るのには無理があります。

なのでエリアは、港南区、中区、南区に絞ることにしました。
次に、15件前後からエリア以外に選別をかけたのが、事件番号の(ケ)と(ヌ)番号。
(ケ)は担保不動産競売となります。住宅ローン等の支払いが滞った時の抵当権の実行ですね。
(ヌ)は強制競売ですね。強制執行といわれるやつで債務名義に基づいて債務者の不動産を裁判所を通して強制的に売却する手続のことです。

この(ケ)と(ヌ)、大きく違います。いや全く違います。
・まず(ケ)は主に住宅ローンや不動産担保での借り入れが主流です。
・(ヌ)は抵当権の実行ではないので、主に信用貸しのカードローンが主流です。

この住宅ローンorカードローンの焦げ付きか、これが仕入れには大きく影響するのですが、
数千万と借入額が大きい住宅ローンに対し、カードローンはせいぜい数百万円です。
例えば住宅ローンの焦げ付きは私の経験上だと購入後15年前後が一番多かったです。
この15年前後、というのがネックとなるんですね。
慈善事業でやってないので、できうる限り安く仕入れしないといけないんですが、15年前後だと残債が結構な額あるんで、仕入れするにしても、買取評価額<ローン残債のいわゆるアンダーローンになるケースもでてくるわけです。
しかし、カードローンの焦げ付きは数百万です。もちろん住宅ローンが残っている場合もありますが、中にはカードローンの支払い遅延だけの場合もあります。
カードローンだけなら仕入れからの転売で充分な利益幅を狙えます。

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 かなり前置きが長くなりましたが、今回のお題である(ヌ)番号競売物件の任意売却が成就したお話しに入りたいと思います。

 二年ほど前の九月の金曜日。いつものように横浜地裁に「配当要求終期の公告」を見にいきました。
※この頃には、有る程度不動産の経験を積んで、エリアによっては住所聞くだけで大体の相場(業者買取価格・エンド価格)が弾けるようになっていました。


まず公告の頭書を見て(ケ)より先に(ヌ)番号の物件目録を確認。
横浜市内の弊社商圏では(ヌ)番号は見当たりませんでした。
仕方ないのでエリアを広げたら大和に一件有り。

あー大和か、どうしよう、遠いな

でもこれしかないから謄本取るだけ取ってみるか
※このとき、共担目録をつけるとわかりやすい。

そんな軽い気持ちでPCを開いて登記情報サービスにログイン。
無駄な可能性あるから、とりあえず建物だけ取る。
共有名義で男性と女性、おそらく夫婦。※共有の時は公告の物件目録にも記載されています。
住宅ローンは完済済(抹消のアンダーライン)、強制競売の申立人はオリ○。
つまり代位弁済するなら相手はオリ○のみ。ここで数百万コース確定。
築年数を確認。築35年だ。
これはリフォーム再販より解体土地売りだな、土地売りなら出口業者か、
相場は?ポータルサイトで当該エリアの新築価格を把握。
堅いとこで3なか(3,000万円代半ば)、となると解体・測量までやって業者に卸す価格は堅いとこで1,300万まで、1,300万から解体・測量・各種税金・明け渡し費用etcを引いて、更に利益を考慮すると500万円までで仕入れたい。
ここまで思い描いたとこで、社長に電話。
※この頃の弊社には社長の下に部長が居たんだけど、僕から見て実力・性格がクソだったので、上司である部長には相談するのやめて社長に直電してたw

諸々の計算と筋書きを社長に報告相談したら、「おお、その辺は大和の中でもいいとこだよ。物件見てこいよ」と言われて、即行動に移すことに。

※ちなみに公告で目を付けた物件は、全てお家ダイレクト。これ当たり前。
お家ダイレクトしてて気が付いたんだけど、同じく配当要求終期の公告に目を付けてる業者が多い。
何故わかるかって、公告に出ると債務者宅(所有者宅)に任意売却を促すDMが多数届くから。
すごいよ、各社凝っててw
私はお家ダイレクトなのでそのDMをあけて内容見てるんですが、まぁお涙頂戴の自分の実家も競売で失いましたとか自筆の手紙を入れてる業者なんかもあるw

さぁいざ大和へ。
裁判所から直行。

債務者が平日昼間に家にいる確率はかなり低い。
なので通常は土曜の夜か日曜の夜に宅訪してたんだけど、この時は何故か昼間でも在宅してるような気がしてた。
直感と、わずかな根拠は築35年、購入年齢が30歳だと仮定したら債務者の現年齢は60代半ば、定年して年金生活の可能性。

最寄駅から徒歩15分程の所に今回の物件はあった。
角地。目に着く範囲の敷地内は空き缶などのごみ山で木は隣地に越境してる有り様。
しかし街並みと物件を見た感じで「これは売れる」と確信。

迷わずピンポン、呼び鈴は鳴ってるけど応答なし。
ドアノブも鍵がかかってる。
なんだ、留守かよ。
でもここまで来たら手ぶらでは帰れない。

左隣地をピンポン。留守だ。
後ろ隣地をピンポン、ここも留守。


でも諦めるわけにはいかないw
半径200mエリアをブラブラ。
すると、小学生が横断歩道を渡るとき、黄色の旗で誘導してるお爺さんを発見。
タイミングを見計らって声をかける。

私 「不動産会社の者ですが、弊社ではこの地区を中心にハウスクリーニング事業を新規で立ち上げる計画がありまして調査にきたんです。この辺りは町内会はありますか。あれば、先に町内会長さんに挨拶したいんですが」

爺さん 「あぁそうですか。町内会ありますよ。」
で、なんと会長の家を教えてくれたw
しかもラッキーなことに会長の家は対象物件の三件後ろ隣り!

ベランダには高齢者女性の物と思われるしなびた下着が干してある。
人目を気にせずほしてあるではないかw
これは相手が大雑把な可能性が高い。
聞いたことはなんでもしゃべるタイプであることを祈ってピンポン。

インターホン越しではなく、はーいという返事とともに肌着姿の女性(70歳前後かな)が出てきた。
油断はできないけど、姿、所作を見て、目的は達成できるな、と思った。

私「不動産会社の者なんですが、飛び込み営業でこのエリアを周ってるとこでして、この先の家の○○さん(債務者)の家の木が隣地まで越境してるじゃないですか。あれが目に付いたんです。弊社は不動産以外に、立木植栽の伐採抜根、リフォーム工事などもやってるんですが、○○さんから越境部分解消の仕事取れないかなとw」


こんな会話を切り口に、その女性に、○○さんの行動パターンや、家族構成を聞き出すことに成功。
知りえた情報は


・○○さんは独り身(離婚)
・仕事してない
・昼間は友達とぶらぶらしてる
・夕方には家に帰宅するはず

ここで疑問が、
ん?離婚して独り身? 謄本では共有名義のままだぞ(嫌な予感)
友達とぶらぶら?そんなことする年じゃないでしょ?(嫌な予感)
(ほんと嫌な予感ほど当たるからねw)

私は女性の言葉を信じて、夕方まで待つことに。
ただし、同業他社が私と同じようにお家ダイレクトしてくる可能性があるので油断できない。
だから私は2時間ほどだったかな、物件から目が離れない位置で待機した。

陽が落ちて周囲が暗くなりだした頃、チャンスがやってきた。
野球帽を被ったご年配の男性が物件方向に向かって歩いてくるのを発見!
○○さんだ、そう思った私は駆け足で物件前まで急いだ。
何故なら、○○さんが私より先に家に着いてしまうと、中に入られたらピンポンしてもガチ無視される可能性があるからだ。これは債務者に有りがちなこと。

なので急いだ。
そして私が家の玄関の前に到着して数秒後に○○さんも到着した。
間違いない。対象物件であるこの家の主、○○さんだ。

最高のポジショニング。
玄関と○○さんの間に私が居る。
○○さんは私をどけなきゃ家に入れない。入るなら私と話をするしかない状況が作れた。
しかし、ここで押し問答になって騒がれたら元も子もない。

「○○さんですよね。私、不動産会社の者ですが裁判所の情報、競売の件でご協力できることがあるんじゃないかと思ってお伺いしました。15分ほどお話ししましょう。話の内容は外に漏れないほうがいいですよね。内容が内容なんで。玄関の中でお話ししましょう。鍵開けて下さい。」
と、勢いよく一気にまくし立て、玄関までの上がりこみに成功した。

玄関から見る限りでは、ごみ屋敷&埃、カビの臭い。


喉が弱い私は常にマスクを持ち歩いているが、初見でマスクする事に躊躇して、そのまま会話することにした。

年齢は72歳。独り身。年金生活で友達とぶらぶらしてる。
屋根の修理代をオリ○で借りたんだけど、返済しきれず競売に。。。
年齢と年金生活は推測通りだったが、独り身は予想外。。。
詳しく聞くと、離婚して奥さんと子供二人は出て行ったんだと。。。
数十年前に。。。

私は、別れて数十年、この言葉で「あー附票でもOUTだな」と思った。
別れた奥さんと共有名義だが、奥さんの住所は本物件、大和市のまま。
住所移転の登記を入れていない。

これはまずい。奥さんの持ち分も買取らないと商品にならないからね。
はたして居場所は?

○○さんに確認したら、「別れてから一度も連絡取ってないからわからない」としか回答が得られない。

私のモチベーションはやや下降気味。

住民票の除票や戸籍の附票で転居歴を追いかけるんですが
この保存期間は5年間。
別れて数十年だと保存期間が既にOUTの可能性が高い。
こうなると追いかけようがないのだ。

ここで一旦、社長に状況報告のため電話。
社長は「債務者捕まえてんだろ。だったら何とか考えろ。」としか言わないwww
こー言うのもわかるんだけどね。
お家ダイレクトしても所有者と会える確率は低い。
だから会えただけでもチャンス到来となるわけでして。ましてや今回は上がりこみにも成功してる。

はぁーどうすっかな、

あ、まだ借金の額を聞いてない、○○さんわかってんのかな?
(※ほとんどの債務者は自身の借金の額なんか把握してない。

「○○さん、裁判所から差押え通知が届いてると思うんですが、見せてもらえますか?」

○○さんは、なんか届いてたけど友達が持っていった、と返事してきた。

また友達ていうワードがでてきたぞ。なんかあるな。私はそう思った。
(二重苦三重苦の始まり始まり。)

玄関で小一時間ほど話してたら、朝から何も食べてないこともありお腹が空いてきた。
○○さんとも打ち解けるかと思ってご飯に誘った。

すると○○さんは「友達にお金を預けてるから手持ちがない」と言う。

やっぱりな、嫌な予感は的中した。喰い物にされていたのだ。

ここまでで問題が二つ
・別れた共有者の探索方法
・明らかに悪党な友達の排除

乗り切れるか、いや乗り切ってみせる。
モチベーションが上がってきた。


「為せば成る 為さねば成らぬ何事も 成らぬは人の為さぬなりけり」(上杉鷹山)

○○さんに何を食べたいか聞いたら、すき屋がいいと言う。
私は苦手なんで、違う店に行きたかったが
「すき屋がいい、食べたい」と言うからそこにした。

○○さんは、牛丼を頼んだので、味噌汁も注文してあげた。
私は無難にカレーw

○○さんは美味しい美味しいと言いながら食べてる。

(私は寿司食べたかったのにw)

私が二人分のお会計を済ませると、○○さんが二百円渡してきた。
今手持ちがこれだけだと。
こりゃぁ共有者探索の前に悪党の排除が先だな、そう思った。

私はワンカップでも買って下さいよと、200円の受取は断り、○○さんと運命をともにするべく物件に再度向かうことにした。

もうこの債務者を一人にできない、一人にすると話がまとまらないし、横やりが入るのは間違いない。
クロージングまで常に一緒に居るしかない。

物件に着いて、○○さんが家に入るときに私もおじゃましまーすで中に入り込んだ。

ぐっ。。。
一階は2DKでごみ屋敷。
カップラーメンの容器、食べかけのサトウのご飯にGがウヨウヨ。

これは酷い。○○さんはその一階の1部屋に見るか万年床の布団を敷いて生活してるそうだ。

その布団の周りにもGがいる。布団の上で食事を取るから落ちてる米粒目当てにGが寄ってくるんだろう。

とても人が生活できる環境ではない。。。

私は内心、こんなとこいたら俺のスーツが汚れんじゃんと思ったが、直ぐに振り切った。

掃除機は有る、明日掃除しよう。

1階がそんなんだから2階も地獄絵図だろうと想像できたが、確認することに。
階段はゴミ山で歩きにくい。
なんとか2階まで上がり切ったら、想像していたのとは違う光景が。
これぞ光景となる象徴。

いやいやそんなこと言ってる場合じゃない。

2階2部屋のうち、1部屋が見るからに
女性の物と思われる物で埋め尽くされてる。
人形、ぬいぐるみ、ポスター、化粧道具etc.

え?同居人居るの?
でも本人も独り身て言ってるしおかしいな。

私は○○さんにあの女性の荷物はなんですか、と聞いた。
答えは「友達の娘が荷物置いていった」

おー、ここまで友達が絡んでたか。占有でもする気か。
これはますます最初に取り掛かかるべきだな、もう的だ。
激突必死w

この時点で23時を過ぎてた。
でも家には帰れない。今日どころかクロージングするまで。

今日は金曜日、明日明後日は土日で在宅狙って今日同じ公告を見た同業他社が押し寄せてくる可能性があるし、何よりこの土日でその怪しい友達とやらを排除したい。
土日で排除できれば翌週平日は役所調査、オリ○への残債確認等に使える。
だから何としてでも、明日には怪しい友達を捕まえたい。

ここまでの状況と今後の展開予想を社長に報告。
社長は「頑張れ。最後は執念だからな。明日その友達とやらを捕まえても絶対に手を出すなよ。お前は切れやすいから。なんかあったら田中に電話しろ。」と有りがたい指示をくれたw
※田中(仮名)というのは当時の弊社顧問弁護士、夜中でも土日でも携帯に電話したら出てくれる先生です。

さて、○○さんに友達のことを聞いたら、
・年金が入ってくる銀行口座、実印、保険証など全ての物を預けてる
・生活費はその友達から10日毎のペースで受け取ってる
・午後、近くのセブンイレブンで毎日合流してる
ということが判明。

てことは明日も合流するんだ、よし会える。

この日は2階の1室で泊ることに。
雨漏りしてるけどGはいないしまだマシな部屋。
コンビニで下着、洗顔、ハブラシなんかを買い込んだが、寝付けなかった。

明けて翌日の午後。
○○さんと一緒にコンビニへ。
○○さんが、あの人だよ、て言う。
相手(以下、奴と言う。)が先に着いてた。ベンチに座ってる。
歳は50歳前後か。
風体はチンピラ崩れだ。

これは最初にかました方がいい。
頭悪そうだし、話してわかる相手でもなさそう。
私はそうとった。
でもいきなり殴るのもよくない。

○○さんと一緒に奴に近づいていく。
私は奴に視線を向けながら歩く。目が合った。
この時、私は視線だけで、なるべく、お前コロ○よ、という雰囲気が伝わるように配慮したw
奴は私から視線をそらした。間違いなく意図的にそらした。
この時点で50%、相手を飲み込んでる。
こうなったら速攻で仕上げるだけ。

私は「お前よ、なんで○○さんの貴重品預かってるの?泥棒みたいなことしやがって、さっさと返せや、どこにあんだよ、今すぐもってこい」と優しく問いかけた。

奴は「なんでそんな喧嘩腰なんですか」と返答してくる。

「俺は○○さんに頼まれてお前と喧嘩しにきてんだよ」

○○さんがこのやり取りに入ってこれないように注意しながら話さなきゃいけないから、実質敵は二人。

大変だ。

でも○○さんは、昨晩のすき屋とこの日の朝の掃除に多少の恩義を感じてくれてるはずだから、打ち合わせ通り、私に任せてくれるはず。

奴はコンビニのベンチに座ったまま。
アホだ。私なら立ち上がる。
だってベンチに座ったままの高さだと、顔面キック受けたらクリーンヒットする座高になるからねw
なんだこいつ喧嘩慣れしてねーや。
拍子抜け。

私は「2か月前に〇〇さんから相談受けて、弁護士にも事情は説明してある。お前自分が悪いことしてるってわかってるよな。今弁護士に電話すっから。」
で、私は奴の目の前から田中先生に電話した。
※先生には午前中にトントンうってくれるように頼んであったw

これで決まり。
奴は観念した。返します、とボソッと一言発してきた。

私「で、預かってる物はどこにあるの?」
奴「家です」
私「家どこ、今から取りに行く」
ここで○○さんが、「パチンコ屋の近くです」とタイムリーな発言。
いいよいいよー、チームワークがでてきたね。

私「ほら行くよ」
奴「自転車なんで取りに帰って持ってきます」
私「だーめ。お前が逃げる可能性あるし、途中で自殺するかもしれないじゃん。だからタクる。お前も乗れ。」

奴の家に着いた。
コンビニから2キロも離れてなかった。
家がバレたこともあってか奴はかなり従順になってる。
奴はポーチを渡してきた。
中を確認すると貴重品がびっしり入ってる。
てか小まめに整頓されてて驚いた。
奴が後から言いがかりをつけてこないように私はそこで再度、田中先生に電話。
中身を読み上げた。
先生には「一覧表作成してください、写メも送ります。」と伝えた。

これで○○さんの貴重品の件は解決した。
次は2階の1室にある奴の荷物の撤去に取り掛かかる。
私「で、お前いつ荷物どけるつもり?今日やれよ。」
奴「急には無理です。」
無理ですの「で」まで聞いた瞬間、私は吸ってた煙草を投げた。
※どこに向かって投げた等、ここでは詳しく表現できませんw

奴が震えてるのがわかった。
言い分としては奴の娘が、○○さんを慕ってたから間借りしたとのこと。
でもそんなの関係ねぇ。

任売成就となった暁には、残置物の撤去費用がかかる。
2階の1室だけでも空にしたらその分費用は浮く。
だから動産類放棄書を書かすより撤去させた方がいい。

奴から娘に電話させて、途中で私が代わって娘と話す。
「お前の親父やべーことやってたの知ってるよね。弁護士も動いてるから。今こちらが言うことに従ったら預かるって嘘ついてお前の親父がパクッてたお金のこと、○○さんは不問にするて言ってくれてるよ。」

娘「彼氏に頼むんで来週にして下さい」
私「無理、その彼氏が頼む前に事故で死んだらどうすんの。生きてるうちにすぐ頼めよ、今日やれ」

結果、その日のうちに撤去することに。
娘の電話番号を聞いて、ここで一旦、奴の家から離れる。
腹が減っては戦はできぬ。
○○さんと一緒にすき屋へ。○○さんすき屋がご馳走なんだって。

だから、またですか、とは言わずに付き合ったw

私はというと寝不足と埃で喉がやられてかなり苛々してた。
苛々してるのもあって娘に鬼電した。
「彼氏と連絡ついたか」「何時に荷物取りに来るんだ」等。

娘「20時には行きます」
私「ほー間違いないんだな、じゃぁ彼氏に俺の携帯番号教えていいから俺に電話してくるように言え。」

そんなやり取りしてたら間もなく彼氏から電話が。
話した感じ、人が良さそう。
事情を丁寧に説明したら、彼氏がすみませんて何度も謝ってくる。

彼氏が言うには、車が家族共有で今日は空いてないらしい。
だから職場の友人に借りてきます、とのこと。
ここで飴を投じる。

「彼氏さん、自分のことじゃないのに大変だね。ガソリン代、俺出すよ。」

約束通り、彼氏と娘は来た。
古めかしいライトバンでw

当然搬出は手伝わない。二人にやらせる。
差し入れでお茶を二本買った。

娘は小さい小錦。膝が悪いみたいで泣き言いいながら運んでた。
彼氏はホンジャマカ。滝のような汗をかいてた。

二往復三時間ぐらいだったか。搬出作業終了。
別れ際、彼氏に5千円あげた。ペコペコしながら喜んでた。

娘と少し話したら、だいたいのことが掴めた。
・競売取り下げるのに80万必要で金策に走ってた。
・競売取り下げたら、この家を売却するつもりで不動産屋にも相談してた。
・年金は自分達親子が管理して、○○さんの面倒を看てる費用を差し引いた額を定期的に渡してた。
・○○さんはお金にだらしない、直ぐに飲みに行く。
・かれこれこの関係は2年ぐらい続いてる。
・出会いはコンビニの喫煙所。

上の二つは私には有益な情報だった。
残債80万か。
売却で不動産屋に持ち込んでも
話が進まなかったのは共有者の問題だろうな。

この日は、○○さんを横浜に連れて帰った。
※私はこの頃、都内の本宅とは別に南区でもマンションを借りていたのでそこで○○さんを泊めた。

私も疲れてたけど、○○さんを一人にするわけにはいかない。

目を離した隙に、同業他社のお家ダイレクトに捕まる可能性もあるしね。
この時点では、売却することに同意は取ってたけど、契約はしていなし。
何故なら、残債の確認と、共有者の問題があったからだ。

【ここまでのおさらい】
金曜日 出会い(当該物件で眠れぬ夜を過ごす。汚部屋で気管支炎一歩手前まで追い込まれる。
土曜日 悪党排除・残置物撤去(苛々MAX、疲れがピーク、横浜に相棒(○○さん)連れて帰還。

日曜日、○○さんを連れて、会社に出社。
社長は開口一番、「ショーター、絶対に離すなよ。」と言ってきた。

はいはい、そんなこと言われなくても分かってますよ。
任売は特にそうだから。

これまで20件近い任売の経験があり、目を離して逃げられたり音信不通になって大変な目に遭ってるから、よ~く分かってますw 

通常の物上げとは違うって意識はちゃんと体に染みついてますからw

○○さんを事務所二階、通称「詰め部屋」に案内する。

この部屋はお客さんをド詰め(クロージング)するとき専用の部屋。

ちなみに社長は売買じゃなくて、家賃35,000円の賃貸客をこの部屋で3時間かけてクロージングかけたことがあるw

笑っちゃいけないけど、つまり、その、由緒ある部屋ってことねw

その由緒ある部屋に○○さんを案内して、一息入れてから、質問開始。
焦点は共有者である元奥さんの居場所を突き止めること。

○○さんの持ち分だけ買取って、元奥さんの持ち分が買取れないとなるとここまでの時間が水の泡。

最悪、共有物分割請求という手段もあるけど時間がかかるしかったるい。
だからなんとしても居場所を突き止めるしかない。

この時点で分かってることは、住民票の除票や戸籍の附票の除票で追いかけるのは難しい。

保存期間5年が過ぎてる。。。その可能性が高い。

住所や本籍地を転々としている場合、前々住所や本籍地の住民票や戸籍の附票は5年到来ごとに廃棄されていってる。しかも現在の住所と本籍地がわからない。だから天ぷら委任状も作れない。

ここで一つ方法があるとすれば、所有権移転登記の前に現在の住所(印鑑証明の住所)に住所移転の登記を入れないといけないんだけど、取れるだけの住民票や戸籍の附票と一緒に上申書を添付して申請する方法。

しかしこれも元奥さんの居場所がわからなければ使えない方法。
どんな策を練ろうとも、居場所がわからなければ手の打ちようがないんだなぁこれが。。。w

そんなことを頭で考えながら、○○さんに聞き取りしていく。

徐々に記憶が蘇ってきた○○さんの口から、一つ二つ言葉が出始めた。
・息子は二人いて二人とも某宗教に入信していた
・息子二人の名前
・元奥さんは長男が面倒をみてるはず
・数年前に長男が結婚するから祝儀くれと手紙がきた
・式場は伊豆市と書いてあった
・二男はどこにいるかわからない
・その手紙は失くしてしまった
この他にあと、加山雄三、加山雄三とだけ繰り返し言ってきた。意味わかんないw

私は○○さんから話を聞きながら、念のため伊豆市加山雄三でググってみた。


ヒット


加山雄三ミュージアム
賀茂郡西伊豆町仁科2048−1
式場が伊豆市と言っていたので方面は合致する。
ここに行けば何か掴めるかもしれない。
行くしかない。

このことを社長に報告。
社長からは、行ってこいと二つ返事で返ってきた。

私は恥ずかしながら、免取りになっていて車が運転できない。
しかし伊豆に行くとなると車は不可欠。
そこで、馴染みのブローカーに日給2万で運転を頼んだ。
いついくか。
今でしょ、と言いたいところだったが既に日曜日の午後。
ブローカーも明日にしてくれて言うから翌月曜に行くことに。

翌朝、8時出発。

月曜まで時間ができた。
この時間で、売買契約書・登記申請書を作成。
あとやるべきことの確認。

○○さんは、連れて行かないことにした。
かなり小まめに移動することが予想されるので、体力的にも足手まといになる可能性がある。
かといってせめて持ち分の所有権移転が終わるまでは一人にもでない。
しかし私の体は一つしかない。ジレンマ。

そこで大家さんに頼んで会社に一番近い管理物件の空き部屋を間借りすることにした。
大家さんは快く貸してくれた。布団も提供してくれた。

○○さんの着替え・日用品を買って早速その部屋に入れて事務員には翌日一日のフォローを頼んだ。

全ては月曜に集中できるようにw
さながら一夜城やね、そんなことも思ったなw

さて月曜
約束通りブローカーは8時に迎えにきた。
伊豆に向け出発。

車中では、現地に着いたらどうするべきか、如何に効率的に動くか、そればかり考えてた。
目指すべき具体的な住所はない
そこに住んでるかどうかもわからない
※元奥さんはご存命(これについては後述)


悪いことを考えたらキリがないので、どうやって探すか、その具体的な方策を考えることに集中した。

昨日、○○さんとのやり取りで、入手したこのキーワード
>>息子は二人いて二人とも某宗教に入信していた
これが組み立ての基本
(この某宗教の東海エリアの支部の電話番号をググって調べておいた)

修善寺を越えたあたりから、私は某宗教にもしもしを開始した。
車中でテレアポねw
わりと大きい宗教団体で数が多いんだけど
平日ということもあってか留守が多い。
事務員みたいなのが居ていつでも応対すると
勝手に思い込んでたので少し焦った。
書き出しておいた電話番号がみるみる減っていく。

ちっ、まじかよ。

そのとき、名古屋エリアの支部が電話に出た。
もうこれだけで胸が高鳴るw
しかしいきなり長男次男の名前を伝えて在籍確認するのは怪しいw
だから、事情をきちっと説明してから在籍確認をおこなった。

私「どちらの支部かはわからないんですがそちらに○×さん、○△さんは在籍されてますか?実は別れたお父さんが危篤でして、最後に息子さんと会いたいっておっしゃってるんです。」

某宗教の回答は、こちらの支部には居ません、全国に支部があるんですが横では繋がってないので他支部のことはわからない、といったものだった。

しかしせっかく繋がった電話だ、何かしら、どんな些細なことでもいいので聞き出さねば。

私は、伊豆方面の支部の有無を確認した。

グーグル先生が全てではない
グーグルに載ってない支部もあるだろうと思ったからだ。


これがヒット



今まさに向かってる加山雄三ミュージアム方面に支部があった!

そこに元奥さんや息子さんが居るかどうかはわからないが
何故か第6感で一歩前進した気がした。

その支部の住所電話番号まで教えてくれたので
目的地をその支部にレッツラゴー。

電話はしない。

何故か。

仮にその支部に居たとしても電話だと
現地に着くまでに警戒して逃げられる可能性があるからだ。

運転士が腹へった腹へったと煩いから、コンビニで休憩。


私は一刻も早く目的地に向かいたいが仕方ない。
時間見て免許取りなおそう、そう思った。

現地 対象物件に到着
人が居る気配がない。

防犯カメラの有無を確認してから敷地の中をぐるり。
電気メーター、室外機をチェック

やはり人が居る気配がしない。

ここで初めて電話。やはり誰もでない。

先ほどここの場所を教えてくれた名古屋の支部に再度電話。
電話応対してくれた男性の名前を控えておいてよかった。

私「教えてもらった支部に来たんですが誰もいませんね。普段いつ活動してるんですか?」

男性は「日曜日と、あと各支部によってです」みたいな内容の回答をしてきた。

最悪、日曜日に再訪か。

しかし再訪してもここに居る保証はない。
なら、やはり先延ばしにするのは得策ではない。
居る居ないだけでも今日はっきりさせるべきだ。

焦る気持ちを抑える。こういったときこそ急がば回れ。
ここで飛び込み営業の応用編を実施することにした。

普段、物上げ目的の飛び込み営業をするときは先ず町内会長を探すようにしている。的ねw

町内会長と仲良くなれば色々と地域のことや、空家の所有物の連絡先なんかを教えてくれることがあるからだ。
※現在空家でも町内会名簿に所有者の連絡先(引越し先)が記載してある場合がある。空家でも町内会費は払っているため。

今回の的は、某宗教の支部長にあたる人だ。
手始めに通行人や商店に飛び込んでわざとそ某宗教の支部がどこにあるか聞いて回った。
結果、その存在や場所を知っている人は多かった。
てことは、この付近では名が知られていることになる。

これは探しやすいかも。

しかし闇雲に飛び込んでては時間の無駄だし、通行人や商店に聞いて周るのも良いけど、その中に信者が居て裏で情報を流されて警戒される可能性もあるし、どうしようか。

PCでグーグルマップを開いてとにかく、地主っぽい家や地域の権力者が居そうな家、その地域を代表するような建物を探した。

見つかった。

バス事業所とPG営業所。
※農協や福祉センターはパス。個人情報の取り扱いにうるさいからね。

私は、運転手にバス事業所に向かうように指示。
あくまで感覚だけどこの時、左脳がPGではなくバス事業所に行けと命令してきたからだ。

バス事業所の目の前には車を停めず、100mほど手前から歩いた。

私は眼鏡をかけてるんですが、それでも視力は0.5前後なので遠くの目標が見にくいんです。

でもこの時ははっきり見えた。

事業所敷地内でゴルフのスイング練習をしている運転手の姿が。
さながらスナイパーがスコープでターゲットを捉えたよろしくw
    

勤務中に堂々とゴルフのスイング練習、
うん、これはゆるい、知ってることはなんでもしゃべる可能性が高い
だから的に選んだw

私は「こんちは」から「この辺に某宗教があるじゃないですか。そこの支部長か責任者されてる方をご存知でないですか?実はその宗教に在籍されてる方のお父さんが危篤でして、最後に会いたいっておっしゃってるんです。だから何とか連絡を取りたくて今朝東京からきたんです。」

実際は横浜から来たけどこういう時はなるべく遠くから来た事にした方がいいw
在籍してるかどうかはわからない、だけど在籍していると言い切った、今回の目的は支部長の居所を調べることだから。的はあくまで支部長。急がば回れ。

ここでも一発でヒット 一撃必中

なんと、その運転手は支部長を知っていたのだ!!!

その家も。

まぁ詳しく言うと、住所は知らないけど名字と家のだいたいの場所だったんだけどね。

でもこれだけでもかなり進んだ。

その運転士は私が差し出したノートに支部長の家までのだいたいの地図を描いてくれた。

住所はわからなくてもこの情報だけでもう支部長の家は見つかったも同然。
名字はわかっているわけだから、だいたいの場所に着いたら近隣に飛び込んで教えてもらえばいいだけ。

そうして支部長の家に無事に辿り着くことができた。

ここまでは順調に事が進んでいる。

これは良い兆候。

物事が纏まるときは得てしこういう奇跡みたいなことが連続で起こるもんだし。

支部長の家

外観や色使いが田舎町には似つかわしくない。
いや、都心ならちょっと変わり者が住んでる、と思われてもおかしくない家だった。

ここまではゆる系の人達に恵まれてたけど、今回は苦労しそうだな、と後ろ向きな思いがよぎった。

そんな家だった。
※特定される可能性があるので詳しくは書けませんがかなりインパクトありました。

ピンポン ピンポン ピンポン 
出ない 留守 
極限にまで集中力を高めていたので肩すかしを喰らった。

ここまできたらジタバタしても仕方ない。
帰ってくるまで待つ。

田舎道に品川ナンバーの車を停めていたら不自然だ。
近隣の人に警戒されるかもしれない。
でも適当な場所が見当たらない。

車をどこに停めるか。結構重要。

対象物件は十字路角地。
4方向からの帰宅が考えられる。
どの方角から帰ってくるかは予想できない。
しかし帰宅待ちの時はポジショニングが大切だ。

対象者→自分→玄関
このポジションね。
自分→対象者→玄関の並びになると
話しかけても無視されてさっさと家の中に入られることがあるからだ。

そうなるとピンポンしても無視されてそのままジ・エンドになることも。
悩んだすえ、今回は家の正面で待つことにした。

待機している間、オリ○に電話。

担当者は以前、別の任売でもかかわったことがある人だから話が早い。
弊社が代位弁済する方向で話が進んでますので宜しくね、早ければ来週金曜には実行します。その日付けで最終金利の計算お願いします、競売取下書は前と同じように完済後、横浜地裁まで一緒に取りに行きます、等を伝えた。
※○○さん本人が居ない為、この時点での正確な残債額は教えてもらえない。カードローンにかかわらす、住宅ローンもそう。電話でもいいんだけど、本人が電話して本人確認が終わらないと教えてくれません。

あと会社に状況報告の電話を入れたり外に出て煙草を吸ったりして時間を潰していたら、待ち人(ご年配の男性)が帰ってきた!

すぐに声をかける。

「こんにちは。突然すみません。某宗教法人について在籍されている方の確認をさせていただきたく、お伺いしました。」まで伝えたところで、男性が「妹に用ね。もうすぐ帰ってきますよ。」と言ってきた。

男性ではなく、妹さんが支部長だったのだ。

名字しか聞いてなかったのでてっきり男性だと思い込んでた。
頭が固くなってたよ。

これで目が覚めた。

気を引き締め直す。

思い込みは失敗に繋がることもあるからね。

またしばらく待つことに。
でも間違いなくこの家に居る。
この目の前の家に住んでいるのだ。
あと少し。
ここまでくると不思議と自信が溢れてきた。

車の中で待機。運転手と私。無言。
フロントガラス越しにじっと前だけ見てた。

無言。

でも心地よい緊張感は漂ってる。

これ好きな瞬間。

私は、ロキソニンを飲んだ。足が痛くなってきたからだ。
ここからが勝負なんで念のため4錠。
※当時の私はこの日だけではなく、数ヶ月前から原因不明の足の炎症を起こしており痛みどめを飲まないとまともに歩けない状態だった。炎症による微熱も続いていた。

早くロキソニン効いてくれよ、と思っていたらフロントガラス正面の道を、買い物袋を両手に持った女性が歩いているのを視認した。

こちらに向かって歩いてくる。

この人だ。

私は車から降りて、女性が家の前に着くのを待った。
お互いの視線が合う。
家の玄関前でご対面。
やはりこの人だった。

私はポジションを譲った。
玄関正面から少し横にズレた。
目が合った時の雰囲気でこの女性は話ができる人だと判断したからだ。

私「こんにちは。突然すみません。某宗教法人の支部長をされていますよね?その宗教法人に在籍されている○×さん、○△さんにお知らせしたいことがありお伺いさせていただきました。」

この後、女性に○×さん、○△さんのお父さんが競売を申し立てられてることや会いたがってることを伝えた。

ここまできたら、すき屋を食べてぴんぴんしてる○○さんが危篤だなんて言えないw

真実を伝えた。

当然確証はなかったが○×さん、○△さんが在籍していること前提で話をした。言い切った。
言い切ることで、相手にこちらがある程度の情報を持っていると勘違いさせるために。
現実はまともな事前情報は何一つない現地調達の珍道中だったんだけどねw

すると女性から「○△は四国に居ます。○×はこちらの支部に居ますよ。」とあっさり返答が!

○×は兄、○△は弟

○○さんからの情報では共有者である元奥さんは兄と同居しているはず。
よし、この街に居る。

胸の中でガッツポーズ。でも表情には出せない。
クロージングをかける。

女性(支部長)に「○×さんに電話して下さい、出られたら私が代わって事情を伝えます」、とお願いした。

ここでも言い切り。

女性が○×さんの電話番号を知っている前提で。
知っていますか?だと知っていても知らないて言われる可能性があるからだ。

女性「ちょっと待ってて下さい。先に荷物を置いてきます。」
そう言って家の中に入って行った。家の中に入ったら再度出てくる保証なんてない。
ここまでくると全ての事象に緊張が走る。

むしろ先に私から言うべきだった。
「荷物重いでしょう。置いてきて下さい」と。

そこから話すべきだった。
※今振り返るとロキソニンを飲んだ後だとはいえ、微熱続きで精神的余裕がなかったんだろな。
私は自身の状況をもっと客観的に判断しておくべきだった。

しかしそんな私の心配はただの杞憂で終わった。

女性は外に出てきてくれた。
手にはガラケー。

ほっ

女性は私の面前で○×さんに電話してくれた。

頼む一発で出てくれ、お願いします、出ませんねは勘弁して下さい神様 

結果 出なかった。
折電待ちに。。。

もう日が暮れてる。
再訪か。。。

いや、最後までベストを尽くす。
最良手を打つ。

次の策として、女性に私の携帯番号を伝え、○×さんから折電が有り次第、私の携帯に電話してきてもらうようお伝え願うことにした。

ここで折電を待つよりその方が自然な気がしたからだ。
うん、自然な行動ね。。。
※○×さんの番号を教えてもらってもよかったがあえて掛けてきてもらう方を選択した。勝負。

女性の家を後にして、コンビニに向かった。
○×さんからの連絡を待ってる状況。
運転手はイートインで弁当食ってる。
お腹空いてたよね、ごめんなさい、こんな時間まで。

私は○×さんからの連絡待ちで胃がキリキリして食欲がわかない。
喉にロキソニンの味がしみこんでいて気分が悪いのでコーラを飲んで紛らわした。

運転手とコンビ二外で煙草を吸いながら、こんな海の近くまできて、コンビニ弁当とか私達はなにやってんですかね、海鮮丼ぐらい食べてもよかったですねなんて笑いながら話している時だった。

私の電話が大音量で鳴った。
普段はバイブにしてあるんだけどこの時は音を出していたのだ。

知ら番。登録していない知らない番号からだった。
○×さんからだろう。
私はいたって普通に出た。
トーンを変えず、変に気を使うこともなく

よそよそしないように気を付けて。

私「はいショーターです」

○×「○×です。女性(支部長)さんから聞きました。なんか親父のことでいらっしゃったみたいで」

私「そうなんです。お伝えしたいことがありまして。□□付近に居るんですが少しお時間いただけませんか?会ってお話ししたいんです」

○×「いいですよ。◆◆の駐車場まで来てもらえますか。30分以内に行きますんで」

◆◆の駐車場をググる。
あった。現在地からそう遠くはない。
てか昼間のバス事業所にめっちゃ近い。

朝からこの辺あの辺をぐるぐる巡回していたので道勘もついてるw

15分ぐらいかなぁ、それぐらで待ち合わせ場所に着いた。
こっちが早めに着いたと思ってたら駐車場に一人の男性が立ってる。
え、まさか○×さん?

お互い現地に着いたら電話することになってたけど
電話せずにその男性に声をかけた。

ショーターですが、○×さんですか?
はいそうです

待ち人来る
会えた、視界が一気に開けた。

そこからは早い。

実家が競売申立されてること、弊社が買取る予定であること、その為には共有名義であるお母さんの協力(買取ではなく協力と言った)が必要であること、なのでお母さんと会いたい旨を伝えた。

しかしここで思いもよらぬ事が発生w
すんなりいかない。

なんとお母さん(共有者)はここには居なかったのだ。
兄ではなく弟と同居していたのだ。

ぐぬぬ。。。また試練w

お母さんは弟さんと四国は高松に住んでいる。
また対応を考えなければいけない。
まぁ四国に行けばいいだけなんだけどさ。
すんなりいくかな、、、少し気落ちした。

気を取り直して、○×さんにお母さんに電話をしてもらうよう頼んだ。
○×さんも直ぐに電話してくれた。

先ほどと同じ気持ち。
>>頼む一発で出てくれ、お願いします、出ませんねは勘弁して下さい神様

今回は出た!
○×さんがお母さんに事情を説明してくれたあと、私が代わる。

大体のことは○×さんが説明してくれているので手短におさらいして、お互いの携帯番号を交換し、
最後、日程決めたら高松に伺います、今週中に私から連絡しますと伝えて電話を切った。

その後、○×さんから聞いた○○さん(お父さん)のこと、
・酒にだらしない
・女性にいい顔する→それが近所で評判になった
・家にほとんど居ない→仕事が終わって帰宅しても直ぐにどこかに遊びに行く
・外で散在してくるから生活は楽ではなかった
・○△さん(弟)は素行が悪く、こちらに居れなくなって高松支部へ
・自分(○×さん)が結婚したのと同時に、お母さんは気を使い(同居せず)弟の元へ。
・○×さんの職場はPG屋さん
・20年以上前に離婚して、一度も会ってない
・結婚式に招待しようと思ったが返事がなく断念
・親父と会いたいとは思わない。それは母も弟も同じ。

>>女性にいい顔する→それが近所で評判になった
実は、私は知っていた。
本案件キックオフ初日に宅訪した町内会長からそのへんのことまで聞いていた。
スナックの女性にいれあげていたこと、酒屋(商店)の女将にいれあげていたこと。

そりゃ全部近所での出来事だし、奥さんお子さんは居ずらくなるわな。
挙句の果てに生活苦。

>>親父と会いたいとは思わない。それは母も弟も同じ。
別れて20年以上経った今でもそう思ってるてことは、実際はもっときつかったんだろ。
人間歳を重ねると、罪を憎んで人を怨まず、で会ってもいいかな、と思うときもあるはずだから。


私の親も離婚している。
私が小学校にあがるころ。名字は母親の旧姓に。
子供のころに名字が代わる貴重な経験をしたw

親父は鴻池組の職人で全国の現場を飛び回っていたので家に帰ってくるのは月に数度。
だから家族旅行や父の日に何かあげた記憶、思い出はない。
中学生になり母親から離婚理由を聞かされた。

ギャンブルからの借金。
しかも京都のサラ金から家を担保に勝手にお金を借りていたのだ。
母親は自分の実家、姉からお金を借りてサラ金に返済。
あぶなく家を取られるとこだったらしい。
そのことがあって離婚を決意。

当然、母子家庭になったので生活レベルは低い。
だから顔もろくに覚えていない親父のことを怨んだ。
(TVが故障しても買い換えるお金がないから見れない。その事が元になってか今現在に至るまでTVを見なくても全然平気w)

大学を卒業し社会に出て有る程度、物事を経験してくると、どこかで、罪を憎んで人を怨まず、な気持ちになってきた。
あー親父どこで何やってんのかな、一緒に酒飲みたいな(一般的な幸せ)
そう思いながらも本格的に探すこともなく月日だけが流れていった。

大阪から東京にでてきて2年目だったかな。
母親から電話が。浪速区役所から親父が亡くなったことを知らせるハガキが届いたと。

結核で病院に入院、身寄りがないので浪速区(大阪市だったかも)が公金で看ていてくれたようだ。
亡骸は大阪市の公営霊園(平野区)で無縁仏として集団埋葬されることまではわかった。

母から連絡を受けた私は母に内緒で霊園に電話
遺骨をいつ埋葬するか確認した。
埋葬は数日後。無縁仏なので集団埋葬。
数日経ったら親父の骨にすら会えなくなる。
そう思った私は、嫁を連れて直ぐに霊園にむかった。

幸いにも集団埋葬される前の親父の遺骨だけに手を合わせることができた。嫁を紹介することができた。
しかし当然に後悔した。

何故親父が生きてるうちに探さなかったのかと。

私のこの経験を○×さんに伝えたら
じゃあ連絡先を教えて下さい、となった。

しかし○○さんの家に現在電話はない。携帯も持っていない。

そして○×さんの実家は、お母さんと会える目処がついたこともあり、十中八九、弊社が買取り○○さんは引っ越す(明け渡し)ことになる。

そこまで説明したら、引っ越し先の住所が確定しだい、私から○×さんに連絡することになった。

この日はこれで終了。怒涛の一日だった。

>>あくまで感覚だけどこの時、左脳がPGではなくバス事業所に行けと命令してきたからだ。
※ちなみに○×さんのお仕事はPG屋さん。あの時、バス事業所ではなくPG屋さんに向かってたら結果はどうなってたんだろw
大きく状況は変わってなかったと思うけど。

横浜に帰還したのは午前1時過ぎ。
運転手に3万渡して扇町の交差点で別れた。
たった1日、二人だけの急造チームw

翌日、会社に出社しすぐに社長に報告。

社長「よく見付けたな。俺は見付からないと思ってたよガハハ。ショーター君の執念だね。それで共有者は売るんだな?」

私「はい。売らせます。」

社長「よし。じゃあ、抹消しよう。最短でやれ。」

>>最短でやれ
これは遅延損害金を憂慮してのこと。
住宅ローンやカードローンの遅延損害金は年利14.6%が多い。
この遅損が任売には重くのしかかる。

※競売による落札なら遅損は気にしなくていい。
何故か。
競売申立人が申立した金額が2000万でその金額で入札が決まればそれ以上の金額に増えることはない。
最低入札価格(売却基準価格)が申立金額の2000万以下の1,800万円で、落札価格が1,900万円だった時は申立金額の2000万に届かなくても売却は成立する。

しかし、任売はそうとはいかない。申立金額フルの2,000万円+代位弁済による競売取下日までの遅延損害金まできっちり支払わないと申立人は抹消取り下げに応じてくれないのだ。

仮に残債3,000万だとすると遅延損害金は一日当たり12,000円で増えていく。
だから債務者と買取の交渉を始めて一ヶ月後に決済するのと三カ月後に決済するのとでは弁済する金額に大きな違いが出てくるので、抹消は早ければ早いにこしたことはない。

※たまに、「あの物件は競売で落札されてもいいとこ2,000万。3,000万には届かないから2,000万で銀行は抹消取り下げに応じますよ」とか「ハンコ代で応じますよ」て簡単に言う業者さんいるけど、それは人前では言わない方がいい。やってない、もしくは実戦経験がないてバレますよw
最近特に、損切り任売に応じるなら、同じ損切りでも競売でいいです、その金額では任売に応じません、て回答してくる金融機関の方が多いですからね!(競売による落札結果の方が会社の上層部や株主に言い訳がたつから)

私は、会社からゴーサインが出たので、直ぐに抹消等の段取りに入った。
・○○さんにオリ○に電話をさせて、途中で私が代わり残債と最終金利の確認。弁済日は一週間後。
・○○さんと売買契約締結。
・○○さんは所有権移転登記に必要な登記済証(権利書)を持ってなので公証人役場でそれに代わる登記委任状の認証を受ける準備。
関内周辺には公証人役場が数か所あるがその中に特に私がお世話になってる公証人役場あって、今回もそこでお世話になることに。日程だけ決めてそれで終わり。
※通常は認証を受けたい書類を事前ににFAXなりメールで公証人役場に送ってみせておく必要がある。
※物件や売主の現住所が大和であっても認証を受けるのはどこの公証人役場でもいい。
※物件・現住所が大田区なのに平塚の公証人役場まで行ったことあるw
このときは急ぎだったんだけど、どこの公証人役場も予約がいっぱいで空いてるのが平塚しかなかったから。

そして、○○さんを一夜城(間借りした管理物件)に送り届けてから、共有者である元奥さんに電話した。

ここまできたら押せ押せムード、タイガースのチャンスマーチが頭の中で鳴ってる状態、トランス状態w

来週木曜日に高松にお伺いします、競売を取り下げるには印鑑証明、戸籍謄本、住民票、実印、身分証を用意してもらう必要があります、必要な書類等はこちらで作成しておきます、当日朝一で行くので一緒に市役所に取りに行きましょう、まで伝えた。

そして現住所の確認。
待ち合わせ場所は市役所で13時。

元奥さんはよくわかってなかったと思うが、根がいい人なんだろうな。

何の疑いも質問もなく、わざわざ横浜からきてもらいすみませんぐらいの事を言ってくる。

最後まで油断はできないけどもうここで勝利を確信。

次にやることは、先ほどと同じ、公証人役場の手配。
当然、元奥さんも登記済証は持ってないだろう。いや持ってるか持ってないかなんてこの際どうでもいい。
登記済証(権利書)はありますか?なんて確認して変に詮索されることになったらめんどい。
初めて電話で話した時、「協力して下さい」としか言ってないしね。
今回は買取ります宣言は相対で。
下手に事前に言ってしまうと不動産屋や弁護士に相談する可能性がでてくる。
だから会ったときに話すつもりだった。

事務員に朝一の高松行きの飛行機の予約を頼んで、私は大和に向かった。

大和に向かった目的は二つ。
一つは役所調査。
仕入れが決まったからには出口(転売先)を探さなければいけないが、この時点では謄本、公図、法務局備付けの測量図しかなかったのでその他都市計画や道路、インフラ関連の資料を取得しておく必要があった。

二つ目は最重要目的、○○さんの印鑑証明書及び本物件評価証明書の取得と共有者である元奥さんの不在住・不在籍証明の取得(住所変更登記に必要)。

○○さんの印証は登録カードがあったので委任状不要、評価は委任状による代理人申請で取得。

元奥さんの不在住・不在籍証明は現住所がわかったので委任状による代理人申請で取得ができた。
※ここであれっと思った人は深く突っ込まないで下さいね。

不在住・不在籍証明は後日伊豆の役所でも取得する必要が発生しちょっと手間がかかった。

理由は、元奥さんが離婚後、大和から伊豆方面で二回、そこから高松に住所を移転していたからだ。

※住所の変更を証明するには、住民票や戸籍の附票などです。ところがこれらは、除票後5年で保存期間超過により廃棄されてしまいます。
これが原因で住所変更ががあったことを証明する疎明資料が存在しないときには、
■不在住証明書
請求された住所・氏名と一致する住民票・除票・改製原住民票が存在しないことを証明します。
■不在籍証明書
請求された本籍・氏名と一致する戸籍除籍・改製原戸籍が存在しないことを証明します。
■不在住・不在籍証明書
請求された氏名・住所・本籍と一致する住民票・除票・戸籍・除籍・改製原戸籍が存在しないことを証明します。

○○さんの登記は所有権移転と差押えの抹消登記。
今回は強制競売なので乙区の抹消登記はない。

甲区に入っている差押えについては、オリ○に代位弁済したら競売取下書を裁判所に提出してもらい、その後裁判所から抹消登記嘱託書が法務局に郵送されて提出後数日以内に抹消登記が入る流れ。

元奥さんの登記は2件。
住所移転(一の登記)と所有権移転登記(二の登記)の連件登記。
所有権移転には売主の印鑑証明の住所と登記簿上の住所が一致していないといけない。
登記簿上の住所は大和のまま。現住所は高松。なので先に登記簿上の住所を大和から高松に移す必要があった。
※大和から高松に移ったことが住民票や戸籍の附票(疎明資料)の取得で繋がればいいが今回は保存期間の5年超過で取得することができない。なので不在住・不在籍証明書+上申書も必要となったわけです。

私は、販売活動に必要な資料を役所等で取得し、取引実績のある仲の良い川崎の建売り業者に情報を流した。

出したのはこの一社だけ。目標販売金額は土地売で1,300万。

三日後には買付が入った。

金1,350万円也。

契約決済条件は確定測量売主負担、古家付土地売買、解体滅失登記の売主協力、建物内空渡し。
やったぜ古家付土地売買、例の隣地に越境している植栽の伐採や建物の解体までしなくていいw費用が浮いた。

測量はいつもお願いしてる大和の測量屋さんを手配。
社長、今回は大和だし現場近いだから25万でやってくださいよ、で25万に。
※ちなみに後日清瀬の現場をお願いしたときも25万でやってもらったw

さぁゴールまで目前。

○×さん持ち分につき、オリ○へ代位弁済→取下げ書を裁判所に提出するのに同行。念のためその受領書をコピーしてから、所有権移転申請をしに大和法務局へ。
登記委任状は前日に認証を受けておいた。
※所有権移転は通常売買代金の支払いと同日に行うが、当日の作業の軽減のため前日に。
公証人によっては、売買契約書、売買代金受領の領収書を確認してから認証作業に入るのだが、いつも頼んでる公証人なので細かいことは何も聞いてこない。

元奥さんも登記委任状の認証を受ける必要がある。だから高松の公証人役場を予約。
やはり、言われた。認証を受けたい書類をFAXで事前に確認させて下さいと。通常はこうなんだよね。
私は認証を受ける原因となる売買契約書と委任状をFAXした。
公証人によっては認証当日かなり細かく売主に確認する場合がある。
今回はいつもお願いしてる関内の公証人ではなく全く初見の公証人。癖や性格がわからないので売主と公証人役場内で料トラ(料金トラブル)等が起こらないように注意しないといけない。

当日の日程は高松市役所で印鑑証明書等を先に取得、次に高松駅周辺まで戻り売買契約書締結、その後公証人役場、という流れで行くことにした。

いよいよ高松へ

前日 元奥さんに確認電話を入れる。誰かに相談している気配なし。
次男ぐらいは連れてくるかと思ったけど一人で来るとな。
13時に高松市役所で待ち合わせ。
着いたら電話をもらうことに。

当日 羽田から出発。朝一の便で。
乗り込む前にロキソニン4錠。
機内では読書。
もう何度も読んでる「大空のサムライ」
大一番の前にこれを読むと精神が研ぎ澄まされるからだ。

高松空港から高松市内まで高速バスで移動。
そこから市役所まではタクシー移動。

13時まで充分時間がある。
早く着き過ぎたw
まぁいい。

事前に市役所内証明書窓口の位置を確認して、一階のベンチでうとうと。
それでもまだ時間があるので、市役所から外に出て、うどん屋さんを探した。

歩いて10分程のところに木造で味わいのあるお店を発見。
そこで讃岐うどんを堪能。美味しかったな。機会があればまた行きたい。

辺りをブラブラしながら30枚ぐらい持ってきてた買取りますチラシをポスティング。
横浜の会社が高松でポスティングw
※当然反響は無し

間もなく13時。
こっちが横浜から来るのわかってんだから早めに来るかと思ったが、ギリギリになっても来ない。
泰然自若。ドシッと待つ。

電話が鳴った。

着きました、どちらにいます?

僕は正面玄関にいますけど。

いよいよご対面。

元奥さん、モンペみたな服装。白髪に苦労が滲み出ていた。

挨拶をかわす。

でも会話はほどほどに。
15時30分に公証人役場を予約してある。
これから2時30分の間に、市役所で各証明書の取得、売買契約書の締結、移動とこなさなければいけない。

適当な会話で間をもたせつつ、微妙な空気にならないようにだけ気を付けて、印鑑証明書、住民票等を先に所得。

次に契約。

公証人役場周辺の喫茶店で契約を締結するつもりだったが、市役所内にご自由にどうぞ的なフリースペースがあるのを事前に確認してあったのでそこですることに。

元奥さんには、ここで初めて協力ではなく売買の説明をした。
・弊社が競売取下げの代位弁済をするかわりに、所有者になること。
・元ご主人○○さんには立ち退いてもらうこと。
・半分奥さんの名義なんで、元ご主人とは別に奥さんの名義も弊社で買取しないといけないこと。
・当然買取なんで今日、金銭の授受があること。
・この後、公証人役場で認証をうけてもらうこと。

なるべくゆっくり話した。
公証人役場でゴネられても困るし、状況を理解してもらえるように。

ここまできたら買取の認諾なんてつまらん話は一切しない。
売って当たり前、買って当たり前。契約できなきゃどうしようじゃなくて、契約締結するんだからその後の事務手続きについて話題をもっていく。

会社からは予算100万までで纏まるように言われて来てる。
鞄の中には100万円。でもできるだけ安く仕入れろ、と言われて来てる。
後、お前の判断に任せるとも。

私は50万で決めるつもりだった。
だから事前に100万の帯を50万二本にわけておいた。
売買契約書の金額欄は空欄。
話がまとまり次第、手書きで書きこむ予定だったから。

事務手続きについての説明を終えてから元奥さんの目を見据えて切り出した。
言い切った。

「100万円で奥さんの名義を買取させていただきます」

何故100万円と判断したのかはよくわからない。
話し方によっては50万どころか10万円でいけたかもしれない。
そもそも自分の中では50万円で契約をまく予定だったしね。
本当によくわからない。
でも今でもハッキリと覚えていることはある。
対面した時の瞬間とあの苦労が滲み出た白髪の姿。

契約書の調印が終わり、次は公証人役場へ。
タクシーがつかまらない。
電話して呼びますね、と言うと元奥さんは高松駅までここから近いので電車にしましょうと。
お金がもったいないと言う。
費用は私が出すのに。

公証人役場での認証と同時にそこで100万円を支払った。
弊社宛ての領収書を書く手が震えてる。

登記原因証明情報にも実印で捺印いただく。
高松でやるべきことは全て完了。
後は明日朝一で大和法務局に持ち込むだけ。

空港行きの高速バス乗り場
元奥さんは私がバスに乗り込む直前まで見送ってくれた。
バス待ちの間、話している時に、100万円は次男が結婚するときの費用に充てますと言ってた。
こんな大金は初めてみた、とも。

あと、別れた後も、○○さんには内緒で、たまに大和に来ては家の前を通って様子を見たりもしてんだって。
これは本当だと思う。話が合致する。
元奥さんの話と異なるが町内会長からも同じようなこと聞いていたから。
二年ぐらい前に元奥さんの勤め先だった花屋さんの同窓会みたいなのがあって元奥さんはそれに参加してたと。
※その話を町内会長から聞いていたから元奥さんが存命だと私は自信があったのだ。

最後、バスに乗り込む直前に、「ご迷惑おかけしました」と言われた。
これは本心ではなかったと思うけど。

○○さんはというと、立ち退き先が築古のアパート。
元家の近くのw
大和市役所の生活支援課みたいなところにも気にかけてくれるよう頼んでおいた。
○○さんからは抹消代金に引っ越し費用も含め180万円で買い取った。
諸々差し引いて手元には20万ぐらい残った。
あと競売予納金の残金か。
※任売だと予納金の返還が債務者に対して行われるケースがある。

○○さんの引越し先住所を、○×さん(長男)に連絡。
「親父がお世話になりました」というような言葉をもらった。

つらつらっと書きましたが、私は今回のような任売や、飛び込み、ポスティングの反響、紹介、ブローカー情報を基にぶつあげしているわけですが、特に任売では記憶に残るものが多いですねw
契約後に飛んだ債務者、一度は団信でローンが弁済されたのにその後カードの支払延滞で強制競売を申し立てられた母子家庭、別れ際に小学生の男の子に何が欲しいか聞いたら自転車て言うから3万だか5万あげたこと。
共有者の持ち分を買い取りに新潟や神戸に行ったりもした。
海老名の区分は債務者メンへラ・彼氏がB系のやからで苦労したなぁ、ファミレスで契約まくとき私と彼氏で大喧嘩w

まだまだある。
板橋の区分は共有者6人いて、登記済み書無。
山梨の公証人役場で委任状認証のとき揉めて5人が退席。
一人はなんとかその場で説得・認証受けさせて契約をまく。
そして勝負の6分の1だけ先に所有権移転。
残りの5人は時間をかけて隔離工作
一人づつ契約しその持ち分を順次所有権移転。
ほんと色々とあった。

最近は「配当要求終期の公告」のみで売買や仲介を手掛けている会社もあります。
だから債務者とだけでなく、他社との間でも色々とありました。
他社が先に専任取ってるときは無視して先に契約まいたり、、、他社が契約まいてるときは無視して先に所有権移転したり(しかも急ぎで所有権移転するから通常の抹消の手続きしてからの移転ではなく負担付売買ね)、、、
とにかく上から被せる、、、営業は理屈じゃない、を体現してきたwww
またこの辺の経験も今後noteに書ければと思っています。※需要があれば。

最後に
普段ニュースで目にするのは、数億数十億単位の売買や、大手の取引事例。
私のような街場の不動産屋が戦ってるのは小さな世界。
ディールが成立し、営業フロアーが歓声に包まれるということはない小さな世界。
一回の取引金額は数百万から2,000万程度。
一つの取引がマーケットに与える経済的インパクトは皆無だろう。

だから自己満足でいい。
今回の取引き、トップレフトは俺だwww


愛のビールをお恵み下さい。