「運」の正体――摂理に適う生き方でこそ
この記事は青森県の地元紙「デーリー東北」のコラム『私見創見』に2024年6月17日付で掲載された記事内容です。筆者は「双樹」の中の人です。
みなさんが「運がいい」と思うのは、どういう時だろうか？ 自分にとって、もしくは自分の人生にとってプラス（メリット）になることが起こった時だろう。
宝くじに当たるなどの臨時収入がある時や、努力して何かに挑戦した際に願った結果が得られた時も「運が良かった」と思うはずだ。逆に思いがけず損をした時、損をしそうな事態に直面した時は「運が悪い」と嘆くのではないだろうか。
この「運がいい」「悪い」の差はどこから生じるのか。人類は何千年もの間、自分の運を良くしてほしいと願い、時に神仏に祈ってきた。「至誠天に通ず」と信じてきた。
ほぼ全ての宗教は、この「真剣に祈れば神に通ず」を信仰の基盤としている。現世であれ来世であれ、真剣かつ真面目に祈り、時には献金・お布施をすれば運が良くなり、思い描いた通りの利益や人生を手に入れられる――。
だが、結論から言えば「残念ながらそのようなことはない」というのが、筆者が学んだことだ。といっても人生に絶望して厭世的になったわけではない。
当コラムで以前にも書いたが、筆者は約20年来「スピリチュアリズム」を通じて霊的な知識を研究し、最近は信奉し実践している。ここ半年間にそのスピリチュアリズムの最新研究を学んで「自分の願望を神に祈ってもムダ」との結論に至ったのだ。
本稿はここからが本番だ。耳慣れない人もいるだろうが付いてきてほしい。
神は地球を含む全宇宙と、死後に我々が赴く世界＝霊界にいる万物を、複数の摂理（法則）を通して支配し、調和状態が保てるようにした。人間の姿はしていない。ギリシャ神話のような人間臭く怒り策略を巡らす神は、全く存在しないのだ。
摂理とは例えば、自分がまいた種は自分で刈り取らねばならない「因果律」もその一つ。さらに人間を「幸福にし、成長させる」ための摂理も神は造った。それが「霊優位の摂理」と「利他性の摂理」だ。
霊優位の摂理とは「自分の肉体本能よりも霊性＝愛情、慈悲、思いやりなどを優先させる生き方」を重視すること。利他性の摂理も「自分より他者（人間に加えて動物も）の幸せに力を尽くす」ことだ。
地上に生まれた肉体を持つ人間は、どうしても自分自身を守ろうと肉体的な本能（煩悩や利己心）を優先してしまう。この肉優先の行為を仏教などでは戒律によって制限してきたが、肉体も神が与えたものならば無碍に扱うべきではない。世を捨てて自分だけ救われようとの利己的な思いも摂理違反になってしまう。
摂理は自動的かつ機械的、厳格に作用する。何人たりともその摂理から逃れることが不可能。ゆえに全知全能の神の法則なのだ。「利己心を極力減らし、困っている他者の力になる」が摂理に適った生き方であり、幸福につながる。
運の良し悪しも当然、この摂理の支配を受ける。よく開運のために「一日一善」「徳を積む」などを重視する宗教もあるが、摂理に沿う分は幸運の引き寄せにも寄与しよう。だが「人に優しくすれば運が良くなり自分が得する」という利己的な動機からでは、それらの善行は無効となる。「動機が不純」だからだ。
金持ちや有名人になろうと「人のため」をアピールしても、利己主義に根差せば無意味だ。ゆえに霊優位と利他性の摂理は実践が非常に難しい。
そもそも人はなぜ、この世に生まれ死に往くのか。人間は死ねば終わりではない。死後も我らは霊界で永遠に生きて、成長し続ける。そのための準備をするのが「この世」なのだ。
仮に運が良くなって金銭などを得てもあの世には持っていけない。霊界で通用する宝は今生で高めた自身の霊性のみであり、霊的な成長こそが死後の霊界での宝なのだ――。
これが霊界主導で地上に降ろされたスピリチュアリズムの霊的知識である。そう考えれば、開運して金儲けや色恋にうつつを抜かしている場合ではないとわかる。
【付記】一般の読者、しかもスピリチュアリズムになんてふれたことがないであろう方々を想定して書いたものですが、それでもやはり解りにくいか――と思います。スピリチュアリズムの“奥義”にふれている内容もあるのですが、その前の段階からもっと易しく解き明かすべきなのでしょう。ともあれ、一般の新聞紙面上に少しでも載れば、データベースにも残り、検索（「日経テレコン」などで）も可能になるので、この内容で掲載できたことをよしとしましょう。
なお、掲載紙の記事内容は筆者に著作権があるという契約ですので、以下に（ペンネーム・略歴等は伏せましたが）紙面イメージも入れておきます。
▼ご参考（ほぼ初めて「スピリチュアリズム」に触れる方へ）
▼過去のスピリチュアリズム関連の記事
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