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苦みに感動した日

ビターチョコが好きです。

カカオ70%ぐらいからを好みます。

こういう風に書くと、コースケに

「またハイクラスな人間を装っちゃって( ゚A゚)y-~」

とか言われそうだが、本当に好きなのだ。

伊達や酔狂で言っているんじゃねぇ。


2003年ぐらいだっただろうか。

僕は師匠のコネでキング・クリムゾンのロバート・フリップ主催の【ギタークラフト】に参加していた。

期間は1週間。多国籍の人間が数十人ひとつの家で暮らすのだ。

日本人は2人。

しかもひとりはギタークラフト経験者のため別のクラスに。

ビギナーの僕は地下のタコ部屋に10人共同生活である。

話せないのに嫌でも英会話を要求される環境だが、生活は楽しかった。

みんな良いやつだったしすぐに友達になれた。


一番の苦難だったのが食事。

ギタークラフトはメシがすべて菜食なのだ。

朝はエンバク9割のシリアル、昼と夜は野菜&豆料理。

今でこそエンバクは健康志向の人が食べるので日本でも売っているが、当時は初めてみる麦だった。

「クソまずいぃぃぃぃぃぃぃ!」

と思いながら牛乳で胃に流していた。

そして僕は豆類が大嫌い。

冗談抜きで食べられない。

食べるものが無いので、ずっと空腹だった。


ある日、買い物班の人たちが街に行くから何か欲しいものある?と聞いてきた。

ドイツのアルフェルドという田舎のため、たまに買い物班が物資を買いに行くらしい。

僕はそのとき猛烈にチョコレートが食べたくなっていた。

果物は食べられてもお菓子はギタークラフトには無かったのだ。

そして買ってきてくれたのがこちら

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リンツのビターチョコ カカオ70パーセント。


フランスのチョコレートらしい。

ベルギーがチョコレートで有名なのは知っていたが、フランスは初めてである。

ひとかけら口に入れてみた。

鼻血が出そうなぐらい濃い。

芳醇なカカオの香りと苦味、そしてその後に来るさわやかな甘み。

こんなに美味いチョコレートがこの世にあったのか…。

甘いミルクチョコレートしか食べたことのない僕にとっては衝撃の味だった。

それからは朝食に出るパンを多めに確保して、地下のタコ部屋のベッドでチョコレートを挟んで食べるのが楽しみになった。

それのおかげで菜食生活の空腹をしのぐことができた。


余りの美味さに感動した僕はリンツのパッケージを日本に持ち帰り、同じものを探し回った。

しかし、どこにもなかった。

濃いチョコレートが食べたい!という欲求だけが日に日に強くなっていった。

それから数年後、六甲バターというブランドがリンツの輸入販売をしている情報を得る。

QBBチーズを作っている会社である。

それを知った瞬間、ネットでカカオ70%のリンツを10枚ポチっていた。

ありがとう六甲バター。

ベビーチーズのスモーク味うまいです。


ビターチョコは健康にいいとか美容にいいとか、しょーもないことを唱えるネット情報は多い。

しかし、僕はそんなことで選んでいるのではない。

リンツに命を救われたのだ。

空腹で倒れそうなときにリンツをパンに挟んだ味はいまだに忘れられない。

今でもたまにやってます。


最近は輸入食料品店でも購入できるようになったのは嬉しい。

カカオの濃さは70%がおすすめです。

大阪のりんくうタウンに『リンツカフェ』って店があるのですが、お客が10割女の子です。

その店にバイクウェアを着ている、濃いチョコレートドリンクを飲んでる男がいたら、それが僕です。

フランスのリンツ本社の皆さん、僕の家の近所にカフェの出店予定とかないっすかね?

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