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ジェスチャー(Gesture)は言語発達においてどのような意味を持っているのか?

ジェスチャー(Gesture)は言語発達においてどのような意味を持っているのか?

子どものジェスチャー(例えば、指さし)から母親は次の言語を予測して、単語や文章を付け加えることってありますよね??

「これはお母さんの帽子よ」、「あれは犬だね」みたいな、子どもが聞きたい/言いたい言葉のお手本を示してくれます。

そんなことを示した論文です。

以下の論文より↓↓

Susan Goldin‐Meadow , Whitney Goodrich , Eve Sauer , Jana Iverson : Young children use their hands to tell their mothers what to say . Developmental Science . 2007 Nov;10(6):778-85. doi: 10.1111/j.1467-7687.2007.00636.x.

定型発達(TD)児の子どもを対象に、10ヶ月~24ヶ月時まで縦断的に調査され、一語文の発語から二語文の組み合わせが出てくるまでとなっています。

で、どんな行動を分析の対象にしているかというと…

ジェスチャーと発語が付随して起こり、ある対象を示すことで言葉を補完する(例:「花」と言いながら、テーブルの上の花を指差す)。

ジェスチャーと発語により関連する別の情報を提供し補完する(例:「昼寝」と言いながら鳥の絵を指差して、絵の中の鳥が寝ていることを示す)。

これらの子どものジェスチャーに対し、母親がどのように反応したか(単語や文章を付け加える行為)/母親がジェスチャーから次の言語を予測して「翻訳」と考えられる言葉を発したかどうかがcodingされました。

この論文で、子どものジェスチャーを母親が「翻訳」する頻度が高いことは分かりました。まぁそれはそうだろうなぁと思うのですが…

面白いとこは、縦断研究により母親が「翻訳」した言語は、子どもが有意にその言語を表出できるようになりました(観察初期の意思伝達手段の75%がジェスチャーであり、その内2/3の言語を表出できるようになりました)。

要するに、母親がジェスチャーで翻訳する言語は、子どもの習得する言語に入る可能性が有意に高い。ということです。加えて、母親の「翻訳」は、子どもがその言葉を学ぶきっかけになったのではなく、そもそも子どもは自分の理解語彙に含まれる一部をジェスチャーとして利用していると考えられ、子ども自身にその言語を学ぶ準備ができていたことを反映している。とも示されています。

理解語彙に含まれる一部をジェスチャーするってのは、やっぱり興味/関心のある対象で「他者に伝えたい/何であるかを知りたい」という思いが強化子になっているのでしょうか。

この論文は、ジェスチャーが言語学習のプロセスの一部になっている可能性を示唆しています。またジェスチャーは、子どもが次の言語のステップに進むために必要な言葉や文章を母親から引き出す行為とも考えられます。

良い勉強になりました。

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