DCDの運動機能障害への対応は、練習を重ねるしかないのか??
DCDの運動機能障害への対応は、練習を重ねるしかないのか??
そんな論文を見たら読むしかないですよね。
Is Treating Motor Problems in DCD Just a Matter of Practice and More Practice?
Marina M. Schoemaker & Bouwien C. M. Smits-Engelsman : Current Developmental Disorders Reports volume 2, pages150–156 (2015)
結論…そんなわけはない。
最も重要なことは、DCDの子どもが運動/活動に「楽しみ」と「成功体験」が得られることです。
もう一つ大事なことは、「メタ認知的な問題解決能力」の発達です。メタ認知とは、「自己の認知活動のモニタリング」とも言われ、いわゆる自己を客観的に捉え、理解すること…とも考えられます。
問題解決能力とは、「the goal-plan-do-check strategy」であり、効率的な学習を進めるために、自分のパフォーマンスを確認したり、どのように修正し学ぶ必要があるのか?等を思考する必要があります。療法士は学びのための環境調整やコツを教えるのではなく、誘導する/発見させる?ことがポイントになります。原文では、「guided discovery (ask and not tell)」だそうです。
この理論に特化しているのは、Neuromotor Task Training (NTT) とThe Cognitive Orientation to daily Occupational Performance (CO-OP)です。
やってることは、Task-oriented approachesですが、上記のような視点を体系的に実施しているイメージでしょうか。
私もipadとかで動画を撮ってあげたり、YoutubeやNHK for schoolの体育動画を見ながら自己のパフォーマンスと比較し、guided discoveryのサポートを行っています。
DCDの子どもたちにとっては、できないことはわかっているけど、どのように解決したらいいのか?何が問題なのか?を考えることが難しいので、課題の難易度を調整したり、必要に応じて適切な感覚運動経験を身体誘導したりして、成功体験/正のフィードバックを与え、モチベーションを維持/向上させる必要があります。
この論文では、「楽しみ」と「成功体験」の初期導入のあたってNintendo Wii Fit TrainingやKinect、PlayStation EyeToyの利用も推奨しています。勿論、Task-oriented approachesと比較すると、その効果量は若干低くなりますが、有効性は十分に研究で示されています。
たかが「ゲーム」、されど「ゲーム」ってやつですかね。とは言え、日常生活の動作や実際の運動スキル、長期的な効果についてはまだ検証されていませんので、Task-oriented approachesとの併用、「楽しみ」と「成功体験」の提供のひとつとして考えるべきかと思います。
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