DCD児のMotor planningにPre-cueは有効に作用するか?
DCD児のMotor planningにPre-cueは有効に作用するか?
Value of pre-cue information for motor tasks performed by children with developmental coordination disorder (DCD)
Daniel Traina Gama, Marcela de Castro Ferracioli , Cynthia Yukiko Hiraga , Ana Maria Pellegrini : Motriz: rev. educ. fis. 22 (3) • Jul-Sep 2016 https://doi.org/10.1590/S1980-6574201600030004
目標指向型課題(goal-directed tasks)におけるPre-cueは、減速時間(Deceleration time ; DT)や動作単位(Movement units ; MU)に影響することが報告されています。
減速時間(Deceleration time ; DT):運動/目標終点付近で補正/調整するために必要な減速を指す。運動/目標に到達するために必要な動作補正の回数に比例してDTは増加する。
*DTが小さいほど、課題を達成するために必要な調整回数が少ない。
動作単位(Movement units ; MU):減速から加速、加速から減速への変化は、必要な修正回数に対応するMUの数に基づいて起こる。
*MUの数は、目標に到達するために行われた運動の流れを示し、MUが少ないほど、滑らかな運動であり、オンライン制御への依存度が低い。
加えて、反応時間(Reaction time ; RT)、運動時間(Movement time ; MT)も解析の指標としています。
対象は…
DCD群 平均年齢=7.94歳、SD=0.37、TD群 平均年齢=7.97歳、SD=0.31
方法は…
タッチペンを使って、ターゲット方向の目標地点にペン先を移動させるという課題です。
valid condition(有効条件):pre-cueが運動方向に対応する
invalid condition(無効条件):pre-cueが運動方向と対応しない
neutral condition(contorol):pre-cueを提示しない
Value of pre-cue information for motor tasks performed by children with developmental coordination disorder (DCD)
Daniel Traina Gama, Marcela de Castro Ferracioli , Cynthia Yukiko Hiraga , Ana Maria Pellegrini : Motriz: rev. educ. fis. 22 (3) • Jul-Sep 2016 https://doi.org/10.1590/S1980-6574201600030004
結果/考察
とりあえず、DCD群はTD群と比較し、無効なPre-cue条件では、RTは遅延していました。しかしながら、有効/ControlなPre-cue条件では、両群に有意差はありませんでした。
MTに有意差はありませんでしたが、DCD群はDTにおける調整/補正回数が多い傾向にあり、運動/目標の終点での精度に困難さがあることがわかりました。
Pre-cueにおいて空間的・時間的情報を処理することが難しく、運動開始後のオンライン修正に依存している…という解釈です。
課題の難易度に依存している可能性もあるため、運動方向に有効なPre-cueがどの程度パフォーマンスに影響するかはわかりませんが、「ないよりはあった方が良い」ですよね。
運動を行う上でどのような感覚情報を優位に用いているか…は考えておく必要があるかもしれません。視覚や触覚/固有感覚情報など…。