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ASD児の姿勢制御障害に対する批判的レビュー
前回、「ASD児の姿勢制御に対する介入研究」と書いておきながら、次に書くのは、「ASD児の姿勢制御障害に対する批判的レビュー」についてww
Postural Control Impairments in Individuals With Autism Spectrum Disorder: A Critical Review of Current Literature
Amir Hossein Memari, Parisa Ghanouni, Monir Shayestehfar, and Banafsheh Ghaheri : Asian J Sports Med. 2014 Sep; 5(3): e22963. Published online 2014 Sep 12. doi: 10.5812/asjsm.22963
前回のはこちら↓↓
まだまだ不明な点が多い領域なので、あえて読んでみましょう。
過去の先行研究を基にASD児における姿勢制御の特徴についてまとめてくれています。主要なとこだけ書きます。
1. Early Impairments
腹臥位の非対称性、座位保持の遅れ、四つ這いの非対称性/非同期性を示すことが多く、最も特異的なことは歩行獲得の遅れが指摘されています。またパーキンソン病型の歩行パターン、短いステップ、非対称な歩行等も挙げられています。
2. Late Impairments
6-20歳のTD児とASD児における姿勢安定性の発達的変化を見ていくと、TD児は5歳頃から変化を認めるが、ASD児は12歳まで変化が見られず、大人のレベルに達することはありませんでした。またASD児は、TD児と比較し左右方向への不安定性が強いことも示されています。
3. Contributing Factors
ASD児の姿勢制御の特徴は、視覚依存性の姿勢制御であると報告されていることが多いですが、いくつかの論文では体性感覚の入力をコントロールすることで姿勢安定性が向上するという逆説的な反応を示しています。特に低反応タイプのASD児にそのような現象があるようです。また低年齢の場合には、視覚的な注意も影響し、視覚情報の影響が少なくなることもありますが、同調してしまう、感覚の重み付けが困難になるなど一定の見解が得られていません。
まとめ
上記の知見からASD児がTD児と比較し、姿勢制御パターンが異なることは理解できます。しかしながら、その要因までは解明されていません。その要因の一つにASD児とTD児を比較している研究がほとんどであり、ASDの持つ特性や解釈が難しいようです。ASDの重症度やIQの統制等も行いながら、さらに研究を進めていく必要がありそうです。やはり「スペクトラム」というだけあって、症状は多種多様です。そのため、今後は姿勢制御の研究ガイドラインに沿って進めていくことが推奨されています。
引用:Postural Control Impairments in Individuals With Autism Spectrum Disorder: A Critical Review of Current Literature
Amir Hossein Memari, Parisa Ghanouni, Monir Shayestehfar, and Banafsheh Ghaheri : Asian J Sports Med. 2014 Sep; 5(3): e22963. Published online 2014 Sep 12. doi: 10.5812/asjsm.22963