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冴子の東京物語

作家氷室冴子さんのエッセイ。
東京物語とタイトルにはあるけれど、東京都いう特定の場所という感じはない。最近(?)のエッセイをよく読んでいるが、それらと何か違う。これはなんだろう。食べ物ネタが一つもないところだろうか。一つ一つの話が倍ぐらいのページになっているところだろうか。

氷室さんが描かれた物語はだいぶ読んでいるけれど、ご本人についてはほとんど知らない。が、この本を読むと本人についての行動や、考えが垣間見える。ご家族との関係、凝り性なところ、個性的な友人との関係など。また旅にまつわる話は、エッセイの定番だけれども、これまたいっぺん通りの旅でないのは、クリエーターだからなのか、そういう旅だからこそエッセイに書けるのか。

話の中で「あえかな友情」とか「あえかな期待」という言葉が出てくる。話の流れからすると、「微かな」というニュアンスだと思うが、これは方言なのか、作家さんなので、たくさんの語彙を持っていると思うので、ただ単に自分の知らない表現の可能性も多分にあるけど。

作品を読んで、どんな人がこんな発想を生み出すのだろうと思うことは多々ある。そして読者は勝手に想像を膨らまし、ご本人への興味から調べ始めるというはわかる話。そのあと、納得するか、思いもよらないところに行くかはわからないけれど。
かつてのスターやアイドルは私生活を見せない人も多かった。イメージを壊したくないからと。ある時から、「身近」であることをアピールするために、むしろ私生活の方がメインになってしまった感もあるが、あれは良かったのだろうか。これだけ情報が出る時代においては隠す方が難しく、リークされるぐらいなら、そこも作りあげたイメージを発信する方がコントロールしやすいのかもしれないが。

このエッセイを読んで、果たして自分がどう思ったのか。数少ない未読の本を読んで試してみよう。

#読書 #氷室冴子 #冴子の東京物語 #コバルト文庫

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らんさぶ
街歩きがさらに楽しくなるものがあるといいな