米原万里ベストエッセイ
幼少期にプラハのソビエト学校に学んだことから、同時通訳者になりソビエト連邦が崩壊する際の歴史的人物のそばにつき激動の時代をまさに目の前で見てこられた方。だからこそ持たれる視点からの考え方、発言はハッとするものばかり。それでいて、話は含蓄があるだけでなく、思わず声を出して笑ってしまいそうなものが多い。
同時通訳者の悲哀と面白さについて書かれている話は、その職業についている人達にしかわからない世界を覗き見ることができる。聴きながら同時に訳すが、話の本筋がいつ出てくるかは、話す言語の文法によって異なる。日本語のように最後の最後で逆の意味になるものもある。これをいかに数秒のうちに変換するか、少しでも詰まると、原発言者ならびに、聞き手たちが翻訳ブースを見つめてくる、なかなかのプレッシャーだ。言い方一つで、会議の雰囲気がまるで変わってしまうことになる。確かに心臓に毛が生えているような人でないと務まらない仕事だと思う。
さらに家系全員が食いしん坊。幼少期に食べたお菓子ひとつとってもそれを追いかける情熱がすごい。また、親族の方のお話を見ると、その性格も通りかと納得してしまう。
本を読んでいると同時通訳仲間の方も、色々とエッセイを出されているよう。これは気になる、探してみよう!
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街歩きがさらに楽しくなるものがあるといいな