ウクライナに行ってきました
コロナ禍を過ぎて旅行に行けるようになったと思ったら、ロシアが侵攻を開始。そんなロシアから見て西の各地を旅した旅行記。
ウクライナ、ハンガリー、モルドバ、ポーランド、ルーマニア、ブルガリア、ラトビア、リトアニア。いずれもソ連時代に衛星国として社会主義体制をとっていた国。ドイツとロシアの間にはいくつかの国があるという認識はあるが、ポーランド、ユーゴ、スロバキア、チェコ、ブルガリア、トルコ、ギリシャ、オーストリアぐらいしか思い出せない。これらの国でもそれ以上に思い浮かべられることは少ない。
旅行作家という肩書きがあるのを初めて知ったが、ジャーナリストではなく実際に行って感じたことを書くことを仕事にしているということだろうか。どんなことも、受け止め方、感じ方は異なる。かつてと異なり今は誰でも発信できる時代であって、それを職業にできるというのは、何か違う視点を持っており、もしくはそれを人とは異なる形で発信できる、ということだろうか。
普通なら行かないようなところにあえて行く、度胸もしくは覚悟がある人という可能性もある。ただ国が渡航を控えるように勧告しているところに行くのはそもそもやめるべきだとは思うが。
ツアーで行く観光旅行はある程度安全なところを行くと思うが、その国の状況や、そこで生活している人たちの「今」を見出すことはなかなか難しい。そこを、体一つ、数名のメンバーで危険を避けながら見てきた出来事・感想がまとめられている。ページ数にして200ページ、それにこれだけの国を回っているのでどうしても、内容は薄くなってしまうのは仕方なしか。
社会主義体制から資本主義に国の体制が変わったとはいえ、独裁者が残した負債は簡単に返せない。街並みは驚くほど変わったとあるが、そこに暮らす人たちが豊かになったとはあまり書かれていない。歴史、民族、文化、言葉とさまざまな要素が複雑に絡み合った国々が目に見えない線で地図上は分けられているとしても、現地の道の上でそれが見えるわけではない。その国の東側は侵攻による被害が出ているとしても、西側はまた違った様子を見せている。そしてその国を取り巻く国に住む人たちの思いとは。
旅行記の本も色々あるが、「深夜特急」はいつか試してみたい。