オートバイで上達するために必要な大前提② 〜背筋を伸ばす理由〜
前回の記事で、「オートバイで上達するには、まず背筋を伸ばした姿勢で乗れるようになろう」と書きました。今回はその理由を綴っていきます。
背中丸めて乗ると、何が起こるのか
イメージトレーニングとして試しやすいように、「椅子に背中を丸めて座ってみた」画像を用意しました。
わかりやすいよう、浅く腰掛けて極端な姿勢で座らせてます。背中が丸まっている(赤線)だけでなく、骨盤も背もたれに向けて後ろに傾いている(黄線)ことがわかります。そして残念なことに、こういった感じの姿勢でバイクに乗ってる人は物凄く多いです。しかも本人は無意識かつ無自覚なので、他人に指摘されない限り、自分自身で気付く事は殆どありません。
では、こういった姿勢で乗ったとき、ニーグリップの役目を果たす太腿はどのような形になっているのでしょうか?この画像を正面から見てみましょう。
見ての通り、ガニ股で太腿を開いた形になってしまってます。これもかなり大袈裟に書いているので、どれだけ椅子に背中を丸めて浅く腰掛けてもここまで大股開きには中々なりません。しかし、実際に試してみるとわかりますが、背中を丸めて浅く腰掛けてリラックス…ライテク記事などでよく言われる「脱力」をしてみると、骨盤が後ろに倒れる動きにつられて太腿が開く形になります。
電車でこんな姿勢で座って寝てるスーツ姿のサラリーマン、たまにいますよね?そして彼らは例外なく大股開きですが、それはこういった理由によるものなのです。
こうなってしまったが最後、この姿勢で太腿を締めるには、太腿の筋力を使うことを意識しなければいけません。
これと同じ事が、バイクに乗っているときに起こるとどうなるか
背中を丸めると、骨盤も後方へ傾きやすくなります。そうなると、リラックス(脱力)した状態では太腿が自然に開いてくるため、ニーグリップが甘くなってしまうのです。それを防ぐためには常に筋力で太腿を締め込む意識が要りますし、それは不要な力みへと繋がります。長時間バイクに乗ったあと、太腿の筋肉、特に太腿の内側が筋肉痛になるのはこれが原因です。ニーグリップが甘くなりがちなので、手首が痛くなることもよくありますね。更に付け加えるなら、この姿勢で長時間ライディングしていると、車種によっては手首よりもお尻が痛くなってくることもあります。
結論を言ってしまうと、オートバイで背筋を伸ばさず猫背で乗っている限り、「上達に必要となるニーグリップとリラックス(=脱力)の両立は出来ない」ということです。
次回は、リラックスとニーグリップの両立方法…背筋の伸ばし方と、それによって力むこともなく自然にニーグリップを出来るようになる身体の動かし方を紹介します。