第32話 衝撃
2022年10月21日
名古屋駅から目的地まで1時間以上電車に揺られ、彼と会話をしたくてもなんの反応もないまま、心のパニックを必死に抑えてホテルに到着。
19:14
「ホテル着いたよ😌連絡もらえないかな?」
今夜連絡が取れなかったら家に帰ろう。
彼と会えない名古屋に滞在し続ける気力はもうない。
そう諦めかけた時、彼からの着信がありました。
何があったのか聞いてみると、「電話出れなかったのは仕事の電話があったから。そして報告書がまだ終わってない」とのこと。
もうなんでもよかった。
彼と話せただけで全てがどうでもよくなった。
とりあえず「仕事落ち着いたらまた連絡してほしい」とだけ伝えて電話を切ろうとした時、、、
「どうした?元気ないじゃん?」
(ブチッ!)
確実に私の脳内からこんな音が聞こえました。
『はぁ!?どうすればそんな言葉が出てくるわけ?名古屋駅で待ち合わせたのに約1時間も放置され、挙げ句の果てにはどうやって行けばいいかわからない目的地目指して、どんぶらこどんぶらこと鈍行列車に1時間以上揺られて元気な奴がどこにいるのよ?いたら連れて来てよ!』
100人いたら99人はブチ切れるであろう彼の衝撃的な発言により浮かんだ上記の言葉を瞬時に抑え、「だって会いたかったから」とだけ答えた私、なんて偉いんでしょう!
盛大な拍手をあげたいです。
ひとまず彼の仕事がひと段落つくまで待つことになりました。
どうせいつもの1時間コースでしょう。
彼の「ちょっと待ってて」は大体『1時間』なので。
しかし今回は珍しく10分くらいで再び連絡してきて、ホテルのロビーに降りてきたと言うのです。
私たちが泊まったホテルには新館と旧館があり、私は新館、彼は旧館で、泊まる建物専用のカードが無いと部屋の前まで行くことができない仕組みになっていました。
そのため私たちが会うには物理的にロビーで待ち合わせするしか手段がなかったのです。
私はすぐに部屋を飛び出して彼を迎えに行きました。
とにかく何をするにも人目につくロビーでは話もできないので私の部屋に彼を連れてきました。
「ひとまずお掛けください」
「何?怖いんですけど、、、」
まずは落ち着いて話がしたかったので、座ってもらうよう促したつもりだったのですが、心の奥にしまい込んだ怒りが彼に伝わったのかもしれませんね。
とにかく私はこの数時間で味わった不安と恐怖を無くしたかった。安心したかった。
なので彼に抱きついてただただ会いたかったことを泣きながら伝えました。
彼は優しく抱きしめてくれたけど、いつものようにいたずらっぽい口調で「そんなに会いたかったの?」と言ってくる始末。
そりゃそうだよ。
付き合う前からいつだって目の前の彼が突然消えてしまうのではないかと思いながら過ごしてきた。
どこか現実味のない夢の中の人物のような儚い感覚を感じていて、ある日突然彼がいなくなることがとても怖かった、、、。