エレクファルターの画面構成に関する考察(稼ぐ人の視点にて)

概略

  • [意見] 現行のUI構成の場合、画面上の要素の多さに加えて、各要素の配置やその表示内容が期待されるプレイヤーの動きに対して噛み合っていないと感じる

    • [感覚] 致命的となる敵や敵弾とそれ以外の情報を見る際にかかる視点移動が16:9の画面という都合上、一般的なSTGに比べて大きいと感じる

    • [感覚] 自機の周りに情報量が多く、弾避けの妨げになっていると感じる

    • [事実] 画面上の四隅に稼ぎにおいて重要な要素とそうでない要素が分散している

      • [事実] 特に重要なアイテムカウンター(左上)とエナジーゲージ(右下)の視点移動が最も遠く、プレイに大きな支障をきたした

上記の意見と事実を持って、さらに見やすいUIがあるのではないか?という思考実験、素人意見をまとめる。生存優先にした場合の視点移動は考慮していないため、情報優先度が異なることに留意したい。また開発途中であり、今後の開発方針によっては今回の指摘は陳腐化する可能性があることも留意したい。

本稿の構成としては、まず画面の要素とそれらがプレイにおいてどう言う意味を表すかをまとめ、それらが抱える問題を提唱し、それに対する改善案を提案し総括する。


現行画面

画面をそのまま見たとき
画面上の要素分解
要素の名称付け

画面上の要素

  1. スコア

  2. 残機

  3. アイテム関連情報 (素点・カウンター・レベル)

  4. 自機(パワーアップストック・ボムレベル・ボムタイマー・パワーアップタイマー)

  5. ボムレベル

  6. ボムゲージ

  7. 敵弾

  8. 敵(およびその位置)

  9. ランク情報

  10. 倍率

  11. エナジーゲージ

  12. パワーアップストック

  13. モード情報

稼ぎを行う場合の重要要素とその比重

重要度順に並べる。

  1. アイテム関連情報 (特に アイテムカウンター)

  2. 敵弾

  3. 自機(パワーアップタイマー)

  4. パワーアップストック

  5. エナジーゲージ

  6. ボムゲージ

  7. ボムレベル

  8. スコア

  9. 残機

  10. ランク情報

  11. 倍率

  12. モード情報

「アイテムカウンター」は、これが 0 になってしまうとスコアが入らなくなるのとハイパーゲージが回収できなくなるため、重要度を最も高くした。
ボム発動後に常に気を配る対象となる。
最も効率よくカウンターを回すには 残1 のタイミングでボム OR パワーアップを実行することでアイテムカウンターを長時間回すことができるため、残り時間を見ることは必然的に増える。
また、ORIGINAL モード以降ではパワーアップの実行有無によって減少速度が変わるため、感覚値を得られていても不確定要素が多く、常に見続けることになる。

「敵弾」は単純な脅威となるオブジェクトとして、またパワーアップの二重がけを実行した時のスコア要素になるため重要度を2番目に高くしている。一定、覚えてしまえば重要度は下がる傾向にはあるが画面の中でどこをみるかというと弾を見て自機を動かすというSTGの根本的なところと考えると、これまた常に見ることになる対象になる。

「自機」を3番目に置いたが、自機そのものの重要性は6番目に置いた敵機以下と考える。自機は基本的に見ていない。では、なぜ3番目に置いたかと言うとパワーアップを実行した際に自機の周囲に現れる緑の円周ゲージ (パワーアップタイマー) が重要だからである。
パワーアップの残り時間の管理は、この円周ゲージでしか分からない。他に管理できる場所や合図が存在しないのである。(終了前のSEやエフェクトもないため。これは他のところでも触れるが、これ自体が問題でもある。)

自機の下に残パワーアップ回数とボムのレベルが書かれているが、パワーアップ回数の表示が非常に小さく意味を成していない。ボムレベルは表示されている = ボムが撃てる、という等式が成り立つので一定の意味はあるが、SEによる合図があることを考えると表示がなくても事足りる要素ではある。
むしろ自機の周りに置くんだとすれば、パワーアップ回数を大きく表示してほしいと感じる。実際のところ自機の周りにごちゃごちゃとオブジェクトがあると弾避けがしづらいので、自機の当たり判定以外は何もいらない のが本音である。

稼ぎをどう見るか

  • ロリガンのパワーアップ中のパワーアップ (クリクロのダブルブレイク) による全画面弾消し・アイテム変換

  • ぐわんげの x1000 コンボ以降のアイテムの雨霰がボムを撃つだけで起こる

  • バクレイドのボムによるカウンターストップのような挙動 (本作ではカウンターリセット)

上記のような種々の作品で見られた稼ぎの要素が折り重なった独特な稼ぎシステムが採用されている。

現行の稼ぎのループ詳細

  1. ボムを撃ってアイテムカウンターを始動

  2. アイテムカウンターが0になる前にボムを敵に当てる、またはパワーアップを実行することでカウンターを100に戻す(ループと呼ぶ)

  3. ループ中にボムを撃つことによってアイテムレベルアップし、アイテム価値を上げる

  4. パワーアップを実行し、アイテムカウンターの減少速度を遅くする (ORIGINAL 以上のみ?)

  5. 弾が多いところにボムを撃つことでアイテム出現+エナジーゲージ(パワーアップ用のゲージ)回収

  6. パワーアップ中にパワーアップを実行して全画面弾消し+アイテム変換

  7. ループが切れたら1からやり直し

上記の作業を繰り返す。

現行UIのペイン

1. 稼ぎに重要な要素が画面内で離れすぎている

「アイテムカウンター」の位置と、アイテムカウンターをリセットさせる要素である「パワーアップ」と「ボム」の情報が画面の左上・左下・右下というそれぞれが 16:9 画面の対角線上という最も遠い距離にあり、敵弾が飛んでくる中央以外にも3箇所をぐるぐる見渡さなければならない。

ただし、ボムに関しては発動可能になると汽笛のようなSFXが鳴るため聴覚でのみ判断は可能で、画面上のゲージやLVを見ることはほぼないため、基本は図に示すように「左上・右下・自機・敵機(弾)」の間での視点行き来が多い。

2. パワーアップの残り時間が分かりづらい

基本的に、上手なプレイヤーはプレイ中に自機そのものを見ることは稀と思う。自機の前にある弾の流れを掴み、それを避けるための動きを先んじて組み立てることを無意識的に行うため、自機の若干前方を視界の中心としてその周囲をなんとなく捉えることが多い。
そうなると、パワーアップの残り時間が自機の周りの緑の円周でしか表示されないのは縦STGの弾避けのセオリーに反する。なぜならば、弾が来る領域の下を見て残り時間とパワーアップの再発動タイミングを予測する時間分だけ弾の流れを見ることができなくなってしまうからである。

再発動を前提とする仕組みがあるゲームで、プレイヤーに上手く情報を伝えているのはクリムゾンクローバーのブレイク・ダブルブレイクが好例と思う。次の発動までに残された時間をパーセンテージで表現し、発動までに必要なゲージが画面の上部に存在する。

クリムゾンクローバーの場合は、ブレイクが再発動可能になったタイミングで「チャキーン」という聞き取りやすい高音域の音で知らせてくれるため、ゲージ自体を見ることはあまりない。
しかしながら、画面の上部に存在するということは、ゲージを見に行くという動作をしたとしても一定敵の弾の流れを引き続き読むことができる設計になっていることもまた事実である。

3. 画面下部にある情報の重要度が高い

これは 1. の「稼ぎに重要な要素が画面内で離れすぎている」という問題にも関わり、ピンポイントにエネルギーゲージの位置に関しての指摘である。

右下のゲージ

定期的に画面の下部に目をやらせると言う行為は、たとえ 16:9 という画面構成であろうが上から下に弾が流れる縦STGにおいて行わせてはならないと考える。なぜならば、敵の弾や敵の出現の流れが正しく追えなくなる・追いにくくなるからである。

画面下部を集中的に見るのは弾密度が高く、気合い避けを要求される場面で自機が下に追いやられた場合くらいで、通常のプレイを行っているときに下を見るのは自殺行為と等しい。
そのため、稼ぎにおいて情報重要度の高いエナジーやボムのゲージが下にあるのは避けるべきである。特に現状のパワーアップに関するエネルギーゲージや残パワーアップ数が画面右下に存在するのは強い言葉を使えば不適当である。
エレクファルターというファンタジーモノのデザイン上見栄えを意識してのUIコンポーネントの作成というところは読み取れるし、それに従って作られていることも理解するが、ことエネルギーゲージの情報はアイテムカウンターの下にあるべきである。これによって 1 の視点移動の距離が長い問題も一定緩和される。

右下にあったエナジー関連のUIをそのまま左上に移動 (見せ方は雑)

この発想に近いUIコンポーネントの配置は、先ほども挙げたが縦モードのクリムゾンクローバーがうまくやっている。
画面の上部に必要な情報をまとめつつ、画面下部にはプレイ中では重要度の低いロックオンの数などを表示している。

改善案

基本コンセプト:情報としての重要度が高いものを画面上部に持っていき、重要ではない情報を隅に追いやる。稼ぎにおいて重要な要素は固めて表示する。プレイ中の稼ぎにおいて重要ではない要素は右上や画面下部に移動させている。現状存在するリソース表示は消さず、配置を入れ替えるだけに留めている。

変更内容

  • 右下のエネルギーゲージを左上のアイテムカウンターに寄せる

    • 稼ぎにおいて最重要な要素は固めて表示する方が好ましい

  • パワーアップ発動後に、エネルギーゲージ上に終了までの時間を表示 or パーセンテージ表示

  • エネルギーゲージの残量は玉の数ではなく、玉を1つ点灯させ残り使用回数を数字で表示するように変更

    • 画面左上に持っていった関係上、玉が3つあるのが邪魔になるので玉一つで表現する。溜まっていないなら空の玉として表現する。

  • ボム情報を左上に移動

    • 稼ぎに関係する情報量が分散するのが嫌なので左上にまとめる。これによってゲージが2つ同じ箇所に存在してしまうが、慣れで解消されるはず。

  • モード情報を画面上部か右上に移動

    • 情報の重要度として最低の情報量で、単純に弾避けするときに画面下部にあるのが邪魔なのでどこか別のところに置いてほしい。

    • 参考画像ではこれと言って大事な情報量でもないので、不透明度50%として画面上部に置いている。(背面にある敵が見える方が大事)

  • 残機を下に持ってくる

    • 情報の重要度が低いし、プレイ中に何回も見ないので下で十分

  • ランク情報の上にある階級情報?を下に持ってくる

    • 情報の重要度が低いし、プレイ中に何回も見ないので下で十分

  • アイテム素点を右上に移動

    • アイテム関連の情報は固めておいた方が情報の塊としてはよいか?と思ったが、プレイ中の情報量としては重要度が低い。
      右上のランクと同様に勝手に上がっていくものであり、稼ぎを考えるなかでプレイを見返すときに必要な情報になるため、プレイ中の邪魔にならないように右上に移動させている。

  • プレイヤーの周りにあった、残りパワーアップ回数やボムレベルを削除

    • 単純にプレイ中に邪魔なので消した。弾避けの障壁となるものは自機から遠ざけるべきである。

以上が細かいそれぞれの変更点である。

まとめ

本作のシステムにおける情報の重要度を列挙し、現状の UI の場合に起きる視点操作の複雑さと認知負荷の高さを論じ、それに対する改善方針を示した。

とはいえ、ただのN1分析でもあるので元のデザイン意図・設計意図含めてのUI設計を考えるのが最善かと思う。
唯一はっきり言えるのは、今のUIだと稼ぎプレイがしんどいなぁということです。一定、慣れの問題もあるかもしれないが、単純に情報量の分散加減が最も苦痛を伴う。

ただのUI批評記事になってしまったが、ゲームの内容自体は本当に面白い。
パワーアップを重ねがけしてジャラジャラとアイテムを降らし続けるフィードバックループを適切に作れれば、一生アイテムが入り続けるようになるし継続的にパワーアップを使えるようにもなる好循環が作れる。
反面、パワーアップを切らしたりボムを適当に撃ちすぎると負のループに陥り、パワーアップのゲージを回収できずにずっとボムだけを撃ち続けるだけのプレイに成り下がる部分は紙一重のバランスで成り立っていると感じる。


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