
"Garden"の語源には本当に"Eden"が含まれているのか
導入:"garden"の語源は?
大学の講義で興味深い話を聞きました。
"garden"の語源は"Gan"+"Edhen"*で、Edenの園に由来する
庭園史のイントロダクションで、地上に楽園を再現しようとしたものが庭園(のひとつの思想)だという話は非常に面白く、授業中にさらっと出されたこの語源の話もすんなり納得しそうになりました。
しかし、少し考えてみると、本当にそうでしょうか。"yard"やあるいは"guard"なんかと同根だ(その場合"gard"+"en"になる)と言われた方がもっとそれらしいです。綺麗すぎる話は疑ってかかった方が良いものです。
試行錯誤編:とりあえず検索してみた
英語の語源を調べたいときにいつも使うWikitionaryを見てみると
・Wikitionary
From Middle English 𝑔𝑎𝑟𝑑𝑦𝑛, 𝑔𝑎𝑟𝑑𝑒𝑛 from Anglo-Norman 𝑔𝑎𝑟𝑑𝑖𝑛, from Frankish *𝑔𝑎𝑟𝑑𝑖𝑛-, oblique stem of *𝑔𝑎𝑟𝑑ō (“enclosure, yard”), from Proto-Germanic *𝑔𝑎𝑟𝑑𝑜̂ (“enclosure, garden, house”), whence also inherited English 𝑦𝑎𝑟𝑑. (compare Old French 𝑗𝑎𝑟𝑡 alongside𝑗𝑎𝑟𝑑𝑖𝑛, Medieval Latin 𝑔𝑎𝑟𝑑𝑖𝑛𝑢𝑠).
これを見るところ、Edenは関わってこなさそうです。
しかし、インターネットの誰でも編集できる情報だけを信じてはいけないのは世の常。いくつか辞書を当たってみます。
・Oxford English Dictionary
< Anglo-Norman 𝑔𝑎𝑟𝑑𝑒𝑖𝑛, 𝑔𝑎𝑟𝑑𝑒𝑦𝑛𝑒, 𝑔𝑎𝑟𝑑𝑖𝑛𝑒, etc., Anglo-Norman and Old French (northern) 𝑔𝑎𝑟𝑑𝑖𝑛, variant of Anglo-Norman and Old French, Middle French 𝑗𝑎𝑟𝑑𝑖𝑛 cultivated enclosure (12th cent.), fertile region (c1470 in 𝑗𝑎𝑟𝑑𝑖𝑛 𝑑𝑒 𝐹𝑟𝑎𝑛𝑐𝑒, denoting the Loire region; French 𝑗𝑎𝑟𝑑𝑖𝑛) < post-classical Latin *𝑔𝑎𝑟𝑑𝑖𝑛𝑢𝑠, probably originally an adjective with the sense ‘of or relating to an enclosure’ (in e.g. *ℎ𝑜𝑟𝑡𝑢𝑠 𝑔𝑎𝑟𝑑𝑖𝑛𝑢𝑠 enclosed cultivation plot; compare the nouns 𝑔𝑎𝑟𝑑𝑖𝑛𝑖𝑢𝑚, 𝑔𝑎𝑟𝑑𝑖𝑛𝑢𝑚 (9th cent.; frequently from 12th cent. in British sources)), probably < the Germanic base of yard 𝑛. + classical Latin ‑ī𝑛𝑢𝑠 ‑ine 𝑠𝑢𝑓𝑓𝑖𝑥.
・The Kenkyusha Dictionary of English Etymology
ME 𝑔𝑎𝑟𝑑𝑖𝑛 □ ONF(変形)← (O)F 𝑗𝑎𝑟𝑑𝑖𝑛 < VL *𝑔𝑎𝑟𝑑𝑖𝑛𝑢(m) ← *𝑔𝑎𝑟𝑑𝑜 fence □ Gmc (Frank.) *ʒ𝑎𝑟𝑑𝑎𝑛(引用者注:"ʒ"に関しては知識不足で正しいか不明。3のような文字であった)(OE ġ𝑒𝑎𝑟𝑑 'ʏᴀʀᴅ' / G 𝐺𝑎𝑟𝑡𝑒𝑛 / ON 𝑔𝑎𝑟ð𝑟 'ɢᴀʀᴛʜ' / Goth. 𝑔𝑎𝑟𝑑𝑠 house (cf. 𝑎𝑢𝑟𝑡𝑖́𝑔𝑎𝑟𝑑𝑠 garden)) ← IE *𝑔ℎ𝑒𝑟- to enclose (L ℎ𝑜𝑟𝑡𝑢𝑠 garden (cf. ᴏʀᴄʜᴀʀᴅ) / Gk 𝑘ℎ𝑜́𝑟𝑡𝑜𝑠 enclosed place).
引用車注:<:音法則的発達、□:借入、←:派生、*:推定形
・Klein's Comprehensive Etymological Dictionary of the English Language
ME. 𝑔𝑎𝑟𝑑𝑖𝑛, fr. ONF. 𝑔𝑎𝑟𝑑𝑖𝑛 (corresponding to OF. and F. 𝑗𝑎𝑟𝑑𝑖𝑛), derived fr. ONF. 𝑔𝑎𝑟𝑡 (corresponding to OF. 𝑗𝑎𝑟𝑡), fr. Frankish *𝑔𝑎𝑟𝑑𝑜, 'garden', which is rel. to OS. 𝑔𝑎𝑟𝑑𝑜, OFris. 𝑔𝑎𝑟𝑑𝑎, OHG. 𝑔𝑎𝑟𝑡𝑜, MHG. 𝑔𝑎𝑟𝑡𝑒, G. 𝐺𝑎𝑟𝑡𝑒𝑛, 'garden', Goth. 𝑔𝑎𝑟𝑑𝑎, 'fold', ON. 𝑔𝑎𝑟ð𝑟, 'enclosure, court, yard', OE. 𝑔𝑒𝑎𝑟𝑑, 'enclosure, piece of land, yard'.
これらを見る限り、どうもエデンが語源だという説(「エデン説」と呼ぶことにします)は怪しいです。
エデン説そのものをググってみる
逆に、エデン説を直接調べればいいじゃないかとググった結果が以下の通りです。
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
かなりの数がヒットしますが、主に園芸関係者や住宅関係の業者のサイトやブログで、ここにスクショしたリンク先でエデン説を紹介しているものは全て出典が書かれていません。この段階では、ネット上で流布されている嘘という判断をされても致し方ない状態です。
確かそうな"Gan Eden"記述の発見(誤解の元らしきもの)
ただ、少し面白いのは、"Gan Eden"の文字がWikipediaにこう紹介されていることです。
エデンの園(エデンのその、Garden of Eden、ヘブライ語: גן עדן, ラテン文字転写: Gan Eden、ガンエデン)
ヘブライ語もラテン文字転写も全くわかりませんが、Wikipedeiaの"גן עדן"の記事、そしてヘブライ文字の記事を読む限り確かに"גן עדן"はエデンを意味し、"g,n""d,n"の子音が入っていそうだとわかります。
ヘブライ語のラテン文字転写の方法を書いた論文もあったんですけど、しんどくて見てないです。(https://www.lingua.tsukuba.ac.jp/ippan/JGL/2003/2003-Ikeda-Takahashi-IkedaA.pdf)
このことから、
・"Garden of Eden"(エデンの園)を意味するヘブライ語"גן עדן"がある。
・"גן עדן"のラテン語転写は"Gan Eden"である。
・ラテン語転写を見た人がこれを"garden"の語源と勘違いしてふさわしそうな意味づけをする。
のエデン説発生の過程が推測できます。
参考資料ローラー編1:日本語・英語文献
しかし、ここでエデン説の検証が行き詰まってしまったのも事実です。そこで、第二週に先生にエデン説の典拠が何であるかの質問をしに行きました。すると、詳しくは覚えていないが、参考文献一覧の中のどれかが典拠で、通史、確かイタリア語の文献であったというように答えてくださりました。
さて、参考文献を漁りましょうか……。
ちなみに、イタリア語文献の可能性が限りなく高いですが、イタリア語なんてできないのでまずは日本語、英語文献にあたります。
さすがに全部細かくレビューできないし、というか"garden"と「エデン」を探してざっと眺めたぐらいなのでここからは箇条書きです。見落としてしまっている可能性ももちろん否定できません。
読んでいない日本語文献
大学図書館で借りられる文献だけあたりました。取り寄せも手続きが面倒だったのでしていないです。
以下は、参考文献に書かれていたもののあたっていない文献一覧です。
・F. ベーコン著『随筆集』、中公クラシックス、2014年
・チャールズ・W・ムーア他著『庭園の詩学』、鹿島出版会、1995年
・白幡洋三郎『庭園の美・造園の心:ヨーロッパと日本』、NHK出版、2000年
該当する記述が見当たらなかった日本語文献
"garden"の語源に関する記述が見当たらなかった文献一覧です。
大事なことなので二度目ですが、見落としている可能性は大です。
・ジャック・ブノア=メシャン『庭園の世界史:地上の楽園の三千年』、講談社学術文庫、 1998 年
・ロイ・ストロング著、桑木野幸司訳『イングランドのルネサンス庭園』ありな書房、2003年
・針ケ谷 鐘吉『西洋造園史―ファラオの庭から戸外室まで』、彰国社、1956年
・岡崎文彬『ヨーロッパの造園』、鹿島出版会1969年
・川崎寿彦『庭のイングランド:風景の記号学と英国近代史』、名古屋大学出版会、1983年
・川崎寿彦『楽園と庭:イギリス市民社会の成立』、中公新書、1984年
・横山正『ヨーロッパの庭園』、講談社、1998年
・中尾真理『英国式庭園:自然は直線を好まない』、講談社メチエ、1999年
・小林頼子『庭園のコスモロジー:描かれたイメージと記憶』、青土社、2014年
・ヒロ・ヒライ監修『ルネサンス・バロックのブックガイド』、工作舎2019年
・桑木野幸司『記憶術全史:ムネモシュネの饗宴』、講談社メチエ2018年
・桑木野幸司『ルネサンス庭園の精神史:権力と知と美のメディア空間』、白水社、2019年
・松本典昭『メディチ家の別荘と庭園:世界遺産の歴史を旅する』、阪南大学叢書、2023年
日本語文献は以上です。
図説やブックガイドなど明らかに書いていなさそうなものも、とりあえず手には取ってみました。
さて、ここからは日本語以外の文献です。しんどすぎ、ではありますが、今時のGoogle翻訳はスマホで移したものを自動翻訳してくれるのでとても助かります。Google翻訳の力を使って、流し読みをすることができました。
読んでいない英語文献
こちらも、大学図書館にない文献が2点と紛失された文献が1点ありました。
・Monique Mosser & Georges Tyssot (eds.), 𝑇ℎ𝑒 𝐻𝑖𝑠𝑡𝑜𝑟𝑦 𝑜𝑓 𝐺𝑎𝑟𝑑𝑒𝑛 𝐷𝑒𝑠𝑖𝑔𝑛 : 𝑇ℎ𝑒 𝑊𝑒𝑠𝑡𝑒𝑟𝑛 𝑇𝑟𝑎𝑑𝑖𝑡𝑖𝑜𝑛 𝑓𝑟𝑜𝑚 𝑡ℎ𝑒 𝑅𝑒𝑛𝑎𝑖𝑠𝑠𝑎𝑛𝑐𝑒 𝑡𝑜 𝑡ℎ𝑒 𝑃𝑟𝑒𝑠𝑒𝑛𝑡 𝐷𝑎𝑦, London, Thames and Hudson 1991.
・John Dixon Hunt (ed.), 𝐺𝑎𝑟𝑑𝑒𝑛 𝐻𝑖𝑠𝑡𝑜𝑟𝑦: 𝐼𝑠𝑠𝑢𝑒𝑠, 𝐴𝑝𝑝𝑟𝑜𝑎𝑐ℎ𝑒𝑠, 𝑀𝑒𝑡ℎ𝑜𝑑𝑠, Washington, D.C., Dumbarton Oaks Research Library and Collection 1992.
・John Dixon Hunt (ed.), 𝑇ℎ𝑒 𝐼𝑡𝑎𝑙𝑖𝑎𝑛 𝐺𝑎𝑟𝑑𝑒𝑛: 𝐴𝑟𝑡, 𝐷𝑒𝑠𝑖𝑔𝑛 𝑎𝑛𝑑 𝐶𝑢𝑙𝑡𝑢𝑟𝑒, Cambridge, Cambridge University Press, 1996.
・Claudia Lazzaro, 𝑇ℎ𝑒 𝐼𝑡𝑎𝑙𝑖𝑎𝑛 𝑅𝑒𝑛𝑎𝑖𝑠𝑠𝑎𝑛𝑐𝑒 𝐺𝑎𝑟𝑑𝑒𝑛: 𝐹𝑟𝑜𝑚 𝑡ℎ𝑒 𝐶𝑜𝑛𝑣𝑒𝑛𝑡𝑖𝑜𝑛𝑠 𝑜𝑓 𝑃𝑙𝑎𝑛𝑡𝑖𝑛𝑔, 𝐷𝑒𝑠𝑖𝑔𝑛, 𝑎𝑛𝑑 𝑂𝑟𝑛𝑎𝑚𝑒𝑛𝑡 𝑡𝑜 𝑡ℎ𝑒 𝐺𝑟𝑎𝑛𝑑 𝐺𝑎𝑟𝑑𝑒𝑛𝑠 𝑜𝑓 𝑆𝑖𝑥𝑡𝑒𝑒𝑛𝑡ℎ-𝐶𝑒𝑛𝑡𝑢𝑟𝑦 𝐼𝑡𝑎𝑙𝑦, New Haven and London, Yale University Press 1990.(これはあるらしいんですけど、所蔵されてる研究室に借りに行って探してもらったら見当たらず……。)
該当する記述が見当たらなかった英語文献
・John Dixon Hunt, 𝐺𝑎𝑟𝑑𝑒𝑛 𝑎𝑛𝑑 𝐺𝑟𝑜𝑣𝑒: 𝑇ℎ𝑒 𝐼𝑡𝑎𝑙𝑖𝑎𝑛 𝑅𝑒𝑛𝑎𝑖𝑠𝑠𝑎𝑛𝑐𝑒 𝐺𝑎𝑟𝑑𝑒𝑛 𝑖𝑛 𝑡ℎ𝑒 𝐸𝑛𝑔𝑙𝑖𝑠ℎ 𝐼𝑚𝑎𝑔𝑖𝑛𝑎𝑡𝑖𝑜𝑛 1600-1750, London, J. M. Dent & Sons Ltd. 1986.(記述がありそうな第一部第二章までしか見られていませんが、著者のJohn Dixon Huntの別書籍に"garden"の由来の話があったのでよしとします。)
・Mirka Beneš – Dianne Harris (eds.), 𝑉𝑖𝑙𝑙𝑎𝑠 𝑎𝑛𝑑 𝐺𝑎𝑟𝑑𝑒𝑛𝑠 𝑖𝑛 𝐸𝑎𝑟𝑙𝑦 𝑀𝑜𝑑𝑒𝑟𝑛 𝐼𝑡𝑎𝑙𝑦 𝑎𝑛𝑑 𝐹𝑟𝑎𝑛𝑐𝑒, Cambridge, Cambrdidge University Press 2001.(同様に記述のありそうな章しか見られていませんが、通史じゃないし本のテーマ的に書いてなさそうなので大丈夫だと思いたいです。)
・Hubertus Fischer – Volker R. Remmert – Joachim Wolchke-Bulmahn (eds.), 𝐺𝑎𝑟𝑑𝑒𝑛𝑠, 𝐾𝑛𝑜𝑤𝑙𝑒𝑑𝑔𝑒 𝑎𝑛𝑑 𝑡ℎ𝑒 𝑆𝑐𝑖𝑒𝑛𝑐𝑒𝑠 𝑖𝑛 𝑡ℎ𝑒 𝐸𝑎𝑟𝑙𝑦 𝑀𝑜𝑑𝑒𝑟𝑛 𝑃𝑒𝑟𝑖𝑜𝑑, Birkhäuser, Springer 2016.(こちらは電子書籍で閲覧できました。ページ内検索できてありがたいです。本文中に4回"Eden"が出てきましたが、どれも語源への言及ではありませんでした。)
・John Dixon Hunt, 𝐺𝑟𝑒𝑎𝑡𝑒𝑟 𝑃𝑒𝑟𝑓𝑒𝑐𝑡𝑖𝑜𝑛𝑠: 𝑇ℎ𝑒 𝑃𝑟𝑎𝑐𝑡𝑖𝑐𝑒 𝑜𝑓 𝐺𝑎𝑟𝑑𝑒𝑛 𝑇ℎ𝑒𝑜𝑟𝑦, London, Thames & Hudson 2000.
今回ざっくり調べた中で唯一、"garden"の語源への言及を見つけることのできた書籍です。以下、引用します。
As Anne van Erp-Houtepen has clearly demonstrated, all European, Indo-European, and Slavic languages derive their words for gardens from roots that signify enclosure.²⁰
The word 𝑔𝑎𝑟𝑑𝑒𝑛 itself puts down its etymological roots to words for enclosure and has in its turn spawned many derivatives. It comes from the same root as the Old English 𝑔𝑒𝑎𝑟𝑑 (= fence), Indo-European 𝑔ℎ𝑒𝑟 (= fence), and 𝑔ℎ𝑜𝑟𝑡 (=enclosure). Thus it travels into vulgar Latin as 𝑔𝑎𝑟𝑑𝑖𝑛𝑢𝑚 (= enclosure), into Old Norman French as 𝑔𝑎𝑟𝑑𝑖𝑛, into Middle English as 𝑔𝑎𝑟𝑑𝑦𝑛𝑒 (first recorded around 1300), and thence into the Italian 𝑔𝑖𝑎𝑟𝑑𝑖𝑛𝑜 and the French 𝑗𝑎𝑟𝑑𝑖𝑛. It has spawned descendants in many languages, like the Spanish 𝑏𝑢𝑒𝑟𝑡𝑜 and Greek 𝑐ℎ𝑜𝑟𝑡𝑜𝑠. Nor is this identification of garden with enclosure simply a western phenomenon: for one Chinese commentator in the Ming period, "That which has a hedge is called a 𝑦𝑢𝑎𝑛 [garden]."²³
20. Anne van Erp-Houtepen worked on her 𝑠𝑐𝑟𝑖𝑝𝑡𝑖𝑒, or master's dissertation, with me at the University of Leiden in the mid-1980s, and I continue to be grateful to her for the insights that hr work gave me. Part of her work was published as "𝑇ℎ𝑒 𝐸𝑡𝑦𝑚𝑜𝑙𝑜𝑔𝑖𝑐𝑎𝑙 𝑂𝑟𝑖𝑔𝑖𝑛 𝑜𝑓 𝑡ℎ𝑒 𝐺𝑎𝑟𝑑𝑒𝑛," 𝐽𝐺𝐻 6 (1986): 227-31.
(中略)
23. Quoted Craig Clunas, 𝐹𝑟𝑢𝑖𝑡𝑓𝑢𝑙 𝑆𝑖𝑡𝑒𝑠 (London, 1996), p. 107.
語源はどのような語かということには直接のありませんが、「囲い」の意味だけへの言及があり、「エデン」への言及がないことはエデン説を支持しているとは考えにくいと思われます。参考文献リストの "𝑇ℎ𝑒 𝐸𝑡𝑦𝑚𝑜𝑙𝑜𝑔𝑖𝑐𝑎𝑙 𝑂𝑟𝑖𝑔𝑖𝑛 𝑜𝑓 𝑡ℎ𝑒 𝐺𝑎𝑟𝑑𝑒𝑛" はタイトルがド直球で興味深いですが、大学図書館にはありませんでした。残念。
ここまで、日本語・英語文献のあたれるものを調べてきましたが、エデン説を裏付けるものは見つかりませんでした。とうとうイタリア語文献に入ります。
参考資料ローラー編2:イタリア語文献
さて、残すはイタリア語文献2冊。
・Marie Luise Gothein, 𝑆𝑡𝑜𝑟𝑖𝑎 𝑑𝑒𝑙𝑙’𝐴𝑟𝑡𝑒 𝑑𝑒𝑖 𝐺𝑖𝑎𝑟𝑑𝑖𝑛𝑖, 𝑣𝑜𝑙. 𝐼, 𝐷𝑎𝑙𝑙’𝐸𝑔𝑖𝑡𝑡𝑜 𝑎𝑙 𝑅𝑖𝑛𝑎𝑠𝑐𝑖𝑚𝑒𝑛𝑡𝑜 𝑖𝑛 𝐼𝑡𝑎𝑙𝑖𝑎, 𝑆𝑝𝑎𝑔𝑛𝑎 𝑒 𝑃𝑜𝑟𝑡𝑜𝑔𝑎𝑙𝑙𝑜, Firenze, Olschki 2006.
・Cristina Acidini – Alessandra Griffo (a cura di), 𝐿'𝑖𝑚𝑚𝑎𝑔𝑖𝑛𝑒 𝑑𝑒𝑖 𝑔𝑖𝑎𝑟𝑑𝑖𝑛𝑖 𝑒 𝑑𝑒𝑙𝑙𝑒 𝑣𝑖𝑙𝑙𝑒 𝑚𝑒𝑑𝑖𝑐𝑒𝑒 𝑛𝑒𝑙𝑙𝑒 𝑙𝑢𝑛𝑒𝑡𝑡𝑒 𝑎𝑡𝑡𝑟𝑖𝑏𝑢𝑖𝑡𝑒 𝑎 𝐺𝑖𝑢𝑠𝑡𝑜 𝑈𝑡𝑒𝑛𝑠, Firenze, Edizioni Polistampa 2016.
非常に残念なことに、どちらも大学図書館にありません。ただ、通史ということをふまえると、"𝑆𝑡𝑜𝑟𝑖𝑎 𝑑𝑒𝑙𝑙’𝐴𝑟𝑡𝑒 𝑑𝑒𝑖 𝐺𝑖𝑎𝑟𝑑𝑖𝑛𝑖, 𝑣𝑜𝑙. 𝐼, 𝐷𝑎𝑙𝑙’𝐸𝑔𝑖𝑡𝑡𝑜 𝑎𝑙 𝑅𝑖𝑛𝑎𝑠𝑐𝑖𝑚𝑒𝑛𝑡𝑜 𝑖𝑛 𝐼𝑡𝑎𝑙𝑖𝑎, 𝑆𝑝𝑎𝑔𝑛𝑎 𝑒 𝑃𝑜𝑟𝑡𝑜𝑔𝑎𝑙𝑙𝑜" の方がかなり可能性が高そうです。
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お、
いやしかし、取り寄せとなるとそれなりに金もかかるし……。
ここでいったん挫折。
どなたか明治学院大学で調べてくださる方いませんか……。