観ました『82年生まれ キム・ジヨン』
封切り日、初回に観ました。
エンドロールが終わり館内が明るくなった直後、後ろの席からコン・ユさんのファンと思しき女性ふたりの「男尊女卑の映画?」「そうみたいね」という会話が聞こえてきました。
私にとっては、映画にちらばめられた数々のジェンダーは (下記はほんの一部↓)
・夫の実家へ帰省の朝、義母が台所に立つ音を聞いて慌てて起きる妻、朝寝坊する夫(そこでは息子)
・子どもをお風呂に入れているときの夫の“手伝うよ”という態度 ・大事な会議に出席の前にみんなの飲み物を用意する若手(若手男性は着席している)
・高いポジションについた女性が男性上司をうまくいなす様子 ・セクハラ研修を受けている男性の言葉「きゅうくつな時代になったな」
・トイレの盗撮にゾッとしながらも笑い話に変える会話
・再就職へのたくさんのハードル
泣けてきたり、眉間にシワを寄せたり、そのどれもに感情が揺さぶられました。 けれども、それは日常に溶け込み過ぎていて「これって男尊女卑?」と確認しなければ気づけなくなっているのかもと改めて思いました。
韓国では原作の小説がヒットするものの、フェミニスト本として批判されたそうですが *1(日本では特に燃えることもなく‥と言うのも関心のなさかしら)、 「女性だから」かけられる言葉や態度は、チクッと刺さるトゲのようなもの。 うっすら痛くて何だか気になって、致命傷でないだけにとてもやっかいです。
この映画を観て「これは私だ」(「キム・ジヨンは私だ」だけでなく、「キム・ジヨンの父親は私だ」とか)と思えれば、「これって男尊女卑?」なんて、いちいち確認しなくてもよいはず。
でも刺さったトゲを自分で抜く作業はとても時間がかかるので、本当はトゲを撒き散らしている側にやめてもらいたい‥。
私にできることは<バスの中のおばさん*2>になること。 (怖がっている女性がいたら一緒にバスを降りる、そして「怖かったよね」と背中をさする)
絶対になるから!と決意した映画でした。
*1 『韓国小説「82年生まれ、キム・ジヨン」 異例のベストセラー』(毎日新聞)
(記事より) この作品は韓国中を巻き込んだ論争のたたき台になった。100万部超の売り上げは人口比で言えば、日本で200万部に相当する。韓国の女性アイドルグループのメンバーが「この本を読んだ」と発言すると、一部の男性ファンが「フェミニスト宣言した」と反発し、アイドルの写真を燃やすなどの事態となった。
*2 韓国ドラマ『椿の花咲く頃』にノ・ギュテの妻で優秀な離婚弁護士役で出ていたヨム・ヘランさんでした。
(2020.10.09 TWFF Haku_tomo)