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So, what we can do?

Time's Up!

鮮やかで、華やかなドレスがレッドカーペットに戻ってきた今年のゴールデングローブ賞。レディガガのゴージャスなドレスにため息をつきつつも、私は真っ黒に染まった去年を思い出さずにはいられなかった。そして、もちろん「Time's Up!」と力強く声をあげたオプラ・ウィンフリーの胸を打つスピーチも。スピーチの中でオプラは次のように述べていた。「自分自身にとっての真実を語ることこそ、いま私たちが持てる最も力強い手段なのだ」と。

被害を訴えるのに要した10年の歳月

2018年の年末、日本でも7人の女性達が「真実を語ることの力」を信じ、性暴力被害を訴えた。彼女達のストーリーは週刊文春に掲載され、多くの反響を呼んだので目にした方もおられるだろう。その記事を執筆したライターの田村栄治氏が、彼女達が被害を訴えるのに10年もの月日を要した理由についてBUSINESS INSIDER JAPANで書いておられたので、紹介したいと思う。
広河氏の「性暴力」が10年も放置された理由——セクハラを見えなくする力

この記事では、単に社内だけでなく、社会的にも影響力のある男性による暴力を告発することを難しくさせた環境的要因について書かれていた。けれど、きっとそれだけではない。彼女達が起こった事を言語化するまでには、長い時間と心の中で整理をつける多くのプロセスが必要だったのではないだろうか。

事件は一瞬、でも苦しみはもっと長く続くもの

こうした事件が起こった時、報道で伝えられるのは、誰が、どこで、何を行い、誰が逮捕され、起訴されたのか、どんな刑罰を受けたのか、といったことくらいだと思う。セクシュアルなことなだけにセンセーショナルに取り上げられることも少なくない。しかし、被害を受けた人たちがその後どうなったかという話を私たちが耳にすることは残念ながらほとんどない。

「なぜ自分があんな目に遭わなくてはいけなかったんだろう」という怒り、「どうして逃げることができなかったんだろう」という無力感、そして「自分にも悪いところがあったんではないか」という罪責感…被害を受けるとこうした様々な感情に翻弄され、苛まれるようになる。私もこうした苦しみに長い間縛られてきた一人だ。

苦しみは時間とともに、確かに少しずつ薄れていったけれど、ふと目にしたニュース、たまたま耳にした人々の会話、映画やドラマの中のワンシーンなんかによって、急に過去に連れ戻され体が痺れたように動けなくなってしまうこともある。それは私が被害にあって15年たった今も変わらない。被害自体は一瞬の出来事だったけれど、それから受けた苦しみはもっと長く続いてきた。その痛みは簡単に言葉にすることはできない。

もう「MeToo」はいらない!

それでもなお今回7人の女性達が勇気を持って被害を告発し自分たちのストーリーを語ったのはなぜだろう?

過去の加害者や、それを見過ごしてきた社会を糾弾することではなく、私たちの家族や友人、同僚やコミュニティの仲間、そして未来に生きる全ての人達を性暴力の加害者にも被害者にもさせない社会を作っていく方法を私たちに考えさせるための投石だったのではないだろうか。私には、そんな風に思えた。

この勇気を無視することは、誰にもできないはずだ。冒頭に紹介したオプラのスピーチは、性暴力の被害にあった女性のストーリーを紹介した後、次のように締めくくられた。

「彼女は私たちが生きてきたのと同じ年月を生き抜きました。あまりにも長い間、力を持つ男性たちに残酷なまでに打ちくだかれた年月を。そういった男性たちの力に対し、女性たちが勇気を出して真実を語っても、誰にも聞いてもらえず、信じてももらえない。そんな時代があまりにも長く続きました。ですが、そんな時代はもう終わりです。タイムズアップ!」

そう、もう終わりにしょう。MeTooと言わなくてはいけない人が出ないように。
MeTooなんて、もういらない!時代を、社会を前進させよう。それが、勇気を出して前に進んでくれた女性達へ私たちができる感謝だから。彼女達は被害者のままでいることを選ばなかった。苦しみを乗り越えていこうと戦うサバイバーだ。その戦いは、きっと今も続いている。彼女達を一人で戦わせるなんて薄情なこと、誰ができる?

彼女達の勇気に、私たちも続こう。そして考えてみよう。
「そのために、私たち何ができる?」

Miwako Dias

◼︎2019年、TWFFでは「"MeToo"のない世界プロジェクト」をはじめます

*平成23年度に行われた内閣府の調査によると、強姦加害者の8割近くは被害者の知人もしくは顔見知りの人だったという結果があり、今回の事件の被害者だけでなく、多くの被害者が加害者や周囲の目、周りへの影響を気にして、またその後の生活を心配して声を出すことができない状態にあることが分かる。実際、性暴力の被害に遭っても、被害を届ける人の割合は18.5%にとどまるとされている(法務総合研究所「第4回犯罪被害実態(暗数)調査」より)


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