じゃない方芸人のような人生 #1
マテンロウといえば、アントニー。
ANZEN漫才といえば、みやぞん。
ティモンディといえば、高岸。
そして三四郎といえば、小宮。
上記4名の相方のように、全国的に知名度が低いコンビの片方を指す際に用いられる「じゃない方芸人」という言葉。私は20年間生きてきた中で、芸人ではなくとも、じゃない方としての自覚がある生活を少なくとも8年間は送ってきている。この物語では、実際に私がじゃない方だと感じた瞬間を時系列に沿って記していこうと考えている。
そもそも、自分がじゃない方であると考え始めたのは中学二年生の時である。私と趣味が合う親友は誰からも愛されるイケメン君。所属するテニス部では部長も務め、学業優秀でみんなの人気者。非の打ちどころがない男であった。彼と一緒にいて楽しかったよ。しかし、彼の人間性に嫉妬していた。何か彼に勝てる部分はないか。そんなことを考え始めた矢先、家のテレビでは「ぐるナイ」が流されていた。その時に目に入ったのは岡村ではなく矢部の方だった。正直、「ナイナイ=岡村」みたいなイメージがあった私だったが、矢部の番組や岡村に対する献身的な姿勢に感銘を受けた。その日から、お笑いコンビがテレビに出ると、目立たない方ばかりを追っていた。そうして月日が経つうちに、私は一つの決心をした。
「そうだ、一流のじゃない方になろう。」
#2に続く。