現役インドネシア大学学部生が解説!BIPA(びぱ)って何?BIPAへの入り方
皆さん初めまして。
2014年度BIPA卒業生のさだくまだと申します。現在もインドネシア大学には正規学生(学部生)として在籍しています。
今回はよくTwitter(@udalupabhsJpn)などのDMで
・「どうやってインドネシア大学に入るの?」
・「BIPAに入りたいけどどうすればいいかわかんない」
・「オススメのインドネシア語学習方法は?」
などを聞かれるので、何か力になればと思い、書くことにしました。
今回は「BIPAって何?一番早くインドネシア語習得できるってマジ?
BIPAの内容やメリットデメリット」について解説していきます。
*注意
この情報は基本的にコロナ以前のBIPAへの申し込み方法やカリキュラム内容について書いてあります。現在は変わっている可能性がありますので、BIPAに問い合わせをすることをオススメします
読むのおすすめな人
・インドネシアに住んでいて、ちゃんとインドネシア語を勉強したい人
・これからインドネシアに移住し、仕事などでしっかり喋れるようになりたい人
・BIPAに入るのを検討している人
・インドネシア/インドネシア語に興味がある人
(一応UI生である証拠:右から二番目が私。このダンディ坂野みたいな黄色ジャケットはUI生にとっての誇りであって、みんな憧れているんだゾ)
・(大前提)インドネシアってどこ?どんなとこ?
インドネシア(共和国)は東南アジア南部に位置する国で、首都はジャワ島に位置するジャカルタ。5,110kmと東西に非常に長く、また世界最多の島嶼を抱える(13,466以上)。公用語はインドネシア語であり、人口は2億6400万人を超える世界第4位の規模であり、世界最大のムスリム人口を有する国家である。300以上の民族がおり、また日常的に583以上の言語が使われている。(wikipedia先生参照)
私は移住するまで正直シンガポールの位置にインドネシアがあるって信じてました。移住を決めてから世界地図を開いたレベルです。
インドネシアは多民族国家です。同じインドネシアという国に住んでいても、言語、文化、生活様式、物の考え方など全く違うので、言語や文化の壁が国内でも発生することもあります。そんな中でインドネシア語は多民族にまたがった、いわば「共通言語」として生まれ、使われるようになってきました。したがって、多くの人が出身地方の言語+インドネシア語というバイリンガル状態で育ってきています。
・インドネシア語を勉強する手段
よくネットなどで調べると「インドネシア語は世界一簡単な言語」「ローマ字読みそのままだから日本人にとって簡単」などをよく見ます(まあ、間違ってるわけでもねえけどなあ...ってのが正直な感想)。
時制や文法に関するルールがゆるゆるだし発音間違ってても案外通じるので入りやすい言語ではあると思います。
インドネシア語はまだまだマイナー言語なので、正直時期勉強する手段は少ないです(日本で勉強しようと思ったらなおさら少ないですが...)。
強いて挙げるとするならば、次のようになります。
日本でインドネシア語を勉強する手段
- インドネシア語教室(語学学校/オンラインなど)
- カルチャーセンターなどの教室
- 大学などで履修/専攻として学ぶ
- 独学
- インドネシア人を捕まえて教わる
これは結構難易度順に並べたものだと思います。独学でも理解できるようになる人がいますが、実際発音だったり、文法的な要素、実戦経験などを踏まえても教室などで基礎を身につけたほうがあとあと楽になると思います。
では逆にすでにインドネシアにいる場合はどうなるでしょうか↓
インドネシアにてインドネシア語を勉強する手段
- BIPA(大学機関の語学学校)
- JJC(ジャカルタ日本人会)やJCC(カルチャークラブ)などの語学教室
- プライベート講師(パパイヤなどの掲示板によく情報貼ってあります)
- インドネシア人を捕まえて教わる
- 独学
もしすでにインドネシアにいらっしゃる場合、独学で学ぶよりもネイティブに教わる方がおすすめです。ただ、誰でもいいというわけでもなく、できることならば専門性や知識量などから、インドネシア語を教えることを生業にしている人から学ぶ方が効率はいいです。
個人的には上記ほぼ全て試しましたが、習得度やスピード、効率なども考えると大学機関の語学学校であるBIPAが一番効率よく感じましたので紹介させていただきます(今回BIPAの解説ですし)。
・BIPAってなんぞや?
やっと本題です、お待たせしました。
BIPAというのは、Bahasa Indonesia bagi Penutur Asingの略で、日本語では「外国人のためのインドネシア語」というものになります。
簡単に言えば「大学が運営する外国人向けのインドネシア語学校」という感じです。またBIPAは語学学校の総称でもあるので、様々な大学にBIPAがあり、それぞれ毛色が違っています。
今回はその中でも最難関であり、一番歴史の深いインドネシア大学のBIPA
(BIPA UI)についてご紹介いたします。
BIPAホームページ
https://lbifib.ui.ac.id/
・BIPAってどんなところ?スケジュールなど
インドネシア大学のBIPAはBIPA UI(BIPA Universitas Indonesia)と呼ばれ、デポック州のインドネシア大学のキャンパス内にあります。ジャカルタ市内からは時間や渋滞状況などにもよりますが、30分〜1時間ほどで到着できます。
BIPAには世界各国から年齢や国籍などもバラバラの人たちが、インドネシア語を学ぶために集まります。私が通訳として参加した年は(2018年)、90以上の国から、下は10代〜上は60代まで様々な人が集まっていました。
また、インドネシア語力によってBIPA1(初心者)、BIPA2(中級)、BIPA3(上級者)と3つのコースに分けられます。
BIPA1から始めた場合、1年をかけてBIPA3まで修了できる形ですが、各ピリオドごとに卒業式などもあるため、続けるかやめるかは学習者の自由です。
- BIPA1
いわゆる初級コースです。授業自体はABCの読み方から始まり、挨拶や自己紹介、場所の尋ね方、買い物で使える会話や、自分の国に関して軽い内容の話を喋れるようになりくらいまでの語学力がつきます。
完全に初心者からでも入れますが、不安であれば挨拶や数字などは暗記して臨むと安心です。基本的にはリスニング、リーディング、ライティング、スピーキング、文法の5種類の授業になります。
- BIPA2
BIPA1を経て基礎的な内容がある程度喋れるようになったため、より実践的文法や議論など、中級者向けな内容になっていきます。
1では先生の録音したビデオや音声、教科書などを使用していましたが、少しずつテレビの内容を見たり新聞を読むなど、応用的な側面も増えていきます。
- BIPA3
基礎などを勉強したBIPA1、2と代わり、3は応用・実践要素が強くなります。授業内容も歴史、プレゼン、小論文作成、教科書に出てこないようなスラングなど「インドネシア語活用」の方面にシフトしていくため、BIPA2まで修了してやめる人も多いです。必要であると感じた人がとっていくイメージです。
また、通常授業の他に、課外授業として時折校外学習があったり、イベントやサークルなどもあります。小規模ですが、私が参加していた頃は下記の4つのサークルがありました。
・Menari(インドネシアの伝統舞踊。時期によってどの地方の踊りか変わる)
・Menbatik(バティック作り。刺繍みたいなのもやってたりもしてました)
・Gamelan(ガムラン音楽。空港とかアジアン雑貨屋で流れてるアレ。好き)
・Arumba(こちらも音楽。みんなで楽器演奏みたいな感じです)
・学費
学費は各ピリオド毎の支払いになります。HPでは
- Tuition Fee(授業料) : Rp. 20,000,000.
- Registration Fee(登録料) : Rp. 750,000.
- Placement Test (クラス分けテスト費): Rp. 500,000.
(BIPA2から参加の場合必要になります)
- Telex Letter (テレックス申請用書類): Rp. 400,000.
になります。銀行振込になります(下記HPから振込先見れます)
費用などホームページ
https://lbifib.ui.ac.id/archives/122
・スケジュール
BIPAの授業は1年の間に3度のピリオドがあり、
・1月から4月
・5月から8月
・9月から12月
の3つに分かれます。参加者は好きなタイミングで申し込むことができますが、定員などがあるため、BIPA側にかなり前から連絡することをお勧めします。
また、BIPAで学習する際には学生ビザ発行となりますので、自分が希望するピリオドの4ヶ月前までに登録を済ませ、ビザ手配する必要があります。
実際、申し込み書類(メールすると送られてきます)などもあるため、できれば半年前には連絡を始めた方が良いと思います。
BIPA担当者のメールアドレス。英語対応可
bipaui.reg@gmail.com
・授業時間
原則、BIPAの授業は月曜〜金曜まで 08.30〜13.00まで週5日(月〜金)毎日あります。曜日によって授業内容が変わりますが、そこはBIPA側からタイムテーブルが渡されます。
3ヶ月間毎日昼まで授業がある関係上断念される方も多いですが、駐在さんなどで授業後に出社される方もいらっしゃいました。
・必要書類
前提
- 参加資格は高卒以上
- 申し込む場合は学生ビザ、就労ビザ、Socio-Cultureビサ以上のものが必要
(観光ビザでは不可能だが、BIPAプログラムで学生ビザを取得できる)
複数ピリオド(1セメスターだけでなく、BIPA1〜3など長期にわたって学ぶ場合)は学生ビザ(LIMITED STAY PERMIT FOR STUDENT VISA)が必要ですが、1ピリオドだけならば一時滞在ビザ(VISIT VISA FOR SOCIO-CULTURAL)という別のビザ申請になります。こちらに関してはBIPA担当者にメールでいきたいコースを伝えるといいでしょう。
以下、BIPA申請段階での必要書類となります。
・インドネシア国外から申し込む場合の書類(11種類)
1. Study Permit Application Form (VISA申請用フォーム)
BIPAからのメールにフォームが添付されてきます。
2. Application Form (BIPA申し込みフォーム)
BIPAからのメールにフォームが添付されてきます。
3. Applicant’s Curriculum Vitae (CV)(参加用経歴書)
BIPAからのメールにフォームが添付されてきます。
4. Photocopy/scan in the colour of the Applicant’s Diploma, Transcript, and Academic Certificate
(カラーコピーの高校卒業証明書/大学卒業証書など)
手間がかかりますが、英語版で用意しないと弾かれる可能性有。
5. Photocopy/scan in colour the whole pages include the cover page of the Applicant’s passport. (minimum valid date 18 months when the Applicant is applying for Student Visa)
(カバーページを含むパスポートのカラーコピー)
学生ビザを申し込む場合には、有効期限が18ヶ月以上必要
6. One recent photograph (red background colour)
(赤色背景の最近撮った証明写真)
日本だとなかなか赤背景ないので、写真屋さんいくといいかも
7. Health Certificate (4 months before the class starts) from Hospital or physician stating that the Applicant is physically and mentally healthy. (健康状態を証明する書類)
病院に行って証明書作ってもらう必要アリです
8. A letter from the Applicant’s sponsor or guarantor which stated their responsibilities to finance all the Applicant’s expenses while studying at BIPA Program.
(BIPA在学期間中に支払いを証明するスポンサーレターおよび書類2点)
これは授業期間内の支払い機能の証明に必要な書類です。フォームはBIPA側から送られてきます。
8-1. The Account Balance Certificate minimum 1500 USD or other currency with the same minimum as 1500 USD.
(1,500米ドル以上の残高が入った銀行の残高証明)
8-2. Family Register/Birth Certificate
(住民票・戸籍謄本のコピー。英語版)
9. A letter which stated the Applicant’s willingness to obey the Indonesian rules.(インドネシアのルールに従うという宣誓書)
BIPAからのメールにフォームが添付されてきます。。
10. A letter which stated the Applicant’s willingness to obey the regulation in BIPA Program.(BIPAのルールに従うという宣誓書)
BIPAからのメールにフォームが添付されてきます。
11. Payment Receipt for(支払い証明書)
- Tuition Fee(学費)
- Registration Fee(登録料)
- Placement Test(学力振り分けテスト参加費。BIPA2からなど途中参加のみ必要になる)
- Telex fee(テレックス = ビザ発給許可証 費用)
11に関しては、BIPAとなんどもやり取りをした後に支払うことになりますので、最初から準備する必要はないです。
以上の11種になります。
.....。めっちゃいっぱいあるじゃん.....。
書いてる時点で結構めげそうになりましたが、実際には最初から用意できるもの(高校/大学の卒業証明以外)はほぼ無いので、基本的にはBIPA側に問い合わせメールを打ってから用意で問題ないと思います。
さあ今度はインドネシアにすでに住んでる人向けだッッ!!
・既にインドネシアに住んでいる場合(7種)
既に居住許可(ITAS, ITAP, KITAS)を持っている場合は、ビザの変更は必要ありません。
必要書類
1. Applicant’s Form(申し込み書類)
BIPAからのメールにフォームが添付されてきます。
2. Photocopy/scan in the colour of the Applicant’s Diploma, Transcript, and Academic Certificate
(カラーコピーの高校卒業証明書/大学卒業証書など)
手間がかかりますが、英語版で用意しないと弾かれる可能性有。
3. One recent photograph (for Student Card)
(学生証用の証明写真)
一応赤背景の証明写真の方が弾かれないので安心です。
4. Photocopy colour passport and ITAS / VISA
(ITAS / VISAのカラーコピー)
5. Additional Doccuments(追加書類)
5-1. Study Permit Report Form(VISAに関する証明書類)
BIPAからのメールにフォームが添付されてきます。
5-2. Health Certificate (4 months before the class starts) from Hospital or physician stating that the Applicant is physically and mentally healthy. (健康状態を証明する書類)
病院に行って証明書作ってもらう必要アリです
5-3. A letter which stated the Applicant’s willingness to obey the Indonesian rules.(インドネシアのルールに従うという宣誓書)
5-4. A letter from the Applicant’s sponsor or guarantor which stated their responsibilities to finance all the Applicant’s expenses while studying at BIPA Program.
(BIPA在学期間中に支払いを証明するスポンサーレター)
6. Letter of Statement
BIPAからのメールにフォームが添付されてきます。
7. Payment Receipt for(支払い証明書)
- Tuition Fee(学費)
- Registration Fee(登録料)
- Placement Test(学力振り分けテスト参加費。BIPA2からなど途中参加のみ必要になる)
になります。なっっっっっっが。めっちゃいっぱい。
主に書類に関してですが、色々準備し始めるよりも前にBIPAにメールを打ってください。シンプルでいいので「〜からBIPAで勉強したいと思っています。今日本/インドネシアにいます。〜期間くらい勉強するつもりです。どんな書類必要ですか?」と聞くだけで十分です。返信が返って詳しく書類に関しての説明が来ると思うので、それからでも遅くはないと思います。
BIPA担当者のメールアドレス。英語対応可
bipaui.reg@gmail.com
・最後に。BIPAで学ぶメリット・デメリット。本当にインドネシア語が喋れるようになるの?
先ほどの書類一覧などをみて「めんどくさいなあ」と思う人も多いと思うので、ここで経験者として最後にメリットデメリットを書いていきたいと思います。
・メリット
- 正直尋常じゃないレベルでインドネシア語が伸びる
これに尽きます。環境もありますが、毎日3ヶ月間 一気に集中して勉強することもあり、ABCの読み方から始めた私も、2ヶ月もあれば軽い会話は問題なくできるようになりました。また授業外でクラスメイトと話したり、ご飯を食べたりしますが99%インドネシア語で会話するので、これ以上伸びる環境はないと思います。また、大学キャンパス内ということもあり、多くのインドネシア人学生と交流する機会もあります。
- 講師陣のレベルが高い
インドネシア大学はインドネシアの東大と言われる最高学府です。またインドネシア語を教えてくれる講師陣の選別には厳しい基準があり、ほぼ全ての講師陣が大学院を卒業しており、言語学などを修了した人たちです。またプログラムや評価システムの改正も各ピリオドごとに細かく行なっているため、ものすごくしっかりシステム的に学ぶことができます。また、授業内/後でもしっかり時間をとって説明してくれるため、わからないこともちゃんと学ぶことができます。
- 世界中から参加者が集まる
世界中から様々な年代の人が集まりますので、多くの人と交流/共に勉強できます。私はコミュ障なので最初は話したこともない国の人が多く恐縮していましたが、基本的には皆インドネシア語を勉強しにきている仲間なので、自然と勉強が進むにつれ多く交流できるようになりました。
デメリット
- 3ヶ月間毎日授業がある
これは仕方ないことですが、忙しい方にとっては難しいものもあるかもしれません。働いてる方だと3ヶ月のみ集中して通うという方が多かったです。
- デポック州がジャカルタから遠い
これは駐在さん/駐妻さんに多いですが、ジャカルタから通う方は毎日通学に時間を取られるのもあります。
正直時間に余裕がある/なんとか作れる方は行って損はないと思います。私ももう6年以上毎日インドネシア語を喋る生活をしていますが、BIPAがあったからこそあれだけのスピードで成長できたと自負しています。
めちゃめちゃ長くなりましたが、ここまで読んでいただきありがとうございました。かなり噛み砕いて書いたこともあり、詳細情報を知りたいという方はぜひBIPAにメールしていただければと思います。
また、筆者の目線で全て書いていますので、もし間違っている情報などございましたらお教えいただければ幸いです。
インドネシアめっちゃ楽しいしインドネシア語喋れるだけものすごく変わるので、これを機会にぜひ勉強してみてください〜
(筆者がパプア行って撮った写真 パプアいいぞ)
筆者について
1996年生。高校卒業後にインドネシアに渡りBIPAで1年間インドネシア語を学ぶ。その後バックパッカーとなって放浪していたが、2017年インドネシア国立大学に正規入学。現在は複数学位取得のためオーストラリアのクイーンズランド大学で学んでいる。Twitter(@udalupabhsJpn)
参照したもの
- wikipedia, インドネシアに関しての記事
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%8D%E3%82%B7%E3%82%A2
- BIPA ホームページ
https://lbifib.ui.ac.id/
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