GLOCOMシンポジウム「消費者動向とウェルビーイングから考える地域の未来とECの役割」でお伝えしたこと
1/30は国際大学GLOCOMシンポジウム「消費者動向とウェルビーイングから考える地域の未来とECの役割」のパネルディスカッション「地域の未来とECの役割」のパネリストとして登壇してきました。そもそもこのパネルディスカッションにお招きいただいたのは協賛のAmazonさんの日本経済や社会への貢献に対してコメントを出したことによります。
Amazonニュースウェブサイト「Amazonが2022年における日本経済や社会への貢献を発表」
いろいろと論点はあったのですが、私なりにそのとき話したり感じたことを共有しますと、以下のとおりです。ちなみにGLOCOMさんのまとめた要録レポートと動画全部はこちらからご覧いただけます。
GLOCOMウェブサイト「消費者動向とウェルビーイングから考える地域の未来とECの役割」
ECの利用動向とリアル店舗との関係
基調講演1のニールさんの調査結果から。ECが伸びているとはいえまだ14%。まだまだ拡大余地ありで地域企業頑張るべし。プラットフォームを利用して更に飛躍する余地は多分にあること。オムニチャネルの重要性はまさにそうで、1割をリアル店舗、9割をECで売る楽器店も過去にあった。リアル店舗はファンの聖地巡礼的な体験価値を提供する場として機能。
ニールさんの調査結果によると消費者はリアル店舗には信頼と刺激を求めている。ここを軸に戦略を練るべき。ECは多様な選択ができる一方面倒。面倒を肩代わりするための目利きが重要。顧客がカルテを書くと1万円分の本を見繕ってくれる北海道砂川市のいわた書店1万円選書の例はアナログでレコメンドを出す顧客体験価値を生む。こういう目利き力をいかにネットに持って行くかが今後重要。(動画はこちら)
参画意欲を高めるためには課題をつまびらかに
ウェルビーイングを上げるためには参画意欲を喚起して場を担保する必要がある。子育て支援施策をバンバン打って呼び込んだ移住者は地域になかなか参加せず消費者となってしまう。むしろ課題をつまびらかにして、参画できる場を見せた方が良い。(動画はこちら)
ウェブサービス利用率の計測が原点でより良いUI/UXを目指す
行政のデジタルサービスについて、まず地域住民がどの程度スマホやタブレットを使っているか把握できていない。南相馬市ではワクチン接種のタイミングで聞き取り調査を行って把握した。これをまずは土台として把握すべき。行政サービスは、これまでUI/UXが悪いため使われていない側面が大きい。必要性とUI/UXがよければAmazonなどECは高齢者でも使う。UI/UXは丁寧により良くする動きを継続すべきである。(動画はこちら)
補助金獲得を自己目的化せず、デジタルハコモノを抑止する
補助金が出ることを前提にして動くのが自治体の行動様式となっている。本来は地域課題があって何を解決するか、だからこういうことをやろう、そのとき使える補助金は?という発想が重要である。でも実際は、補助金が前提となって、大企業など提案してくれるところに乗っているパターンが多い。小さな自治体でも大企業の大きなシステムを入れてしまって3年後・4年後には使えなくなったりする。適度な規模・身の丈に合ったものを入れる必要がある。
非競争領域の共同化・共通化も重要である。企業で言えば配送などが挙げられる。(動画はこちら)
ECサイトの機能で消費行動を変える
プラットフォームと地域振興について、ECサイトは選択できることが特徴。エシカル消費など地域消費などの消費行動が生まれつつある。Amazonに日本の中小企業タグが付いているように、私は岐阜県関市出身だが、岐阜ボタンを押すとアルゴリズムが変わり、サイト内で岐阜県商品や商店など特定の地域を優先表示できれば、消費行動を変えたいと考える人を後押しできるのではないか。(動画はこちら)
施策・事業の課題ではなく地域の課題に目を向ける
行政のマインドセットとして大きな問題は事業や施策の課題しか議論していない。本来はその先にある地域や住民の課題を見る必要がある。地域や住民の課題を起点に考えるべき。(動画はこちら)
お聞きくださったみなさん、企画運営くださったGLOCOMのみなさん、協賛してくださったAmazonのみなさん、ありがとうございました!
最近は行政内部の話を扱うことが多かったのですが、久しぶりに地域政策的な議論ができて面白かったです。私は着実に一歩踏み出せる話をしたいので、あまり派手にはならないのですが、ひとつでも考える視点があればうれしいです。
行政経営・地域経営両方が語れて、一人前の自治体経営コンサルタント・シンクタンカーかなと思っていますので今後も機会があればお招きください!