全社共通の行動指針を廃止し、一人ひとりが自分の行動指針を作りました!
みなさん、お久しぶりでございます!組織開発をしているのんにゃんです。
最近はもっぱら採用に時間を割いておりまして、ブログの更新を怠っておりました……
クレープをUberで頼む贅沢をした直後ですので、到着までの間に重い腰を上げてブログを書こうと思います。
はじめに
大体の会社には「行動指針」があると思います。弊社も例に漏れず、行動指針がありました。しかも、作りたてほやほやでした。2022年の1月に完成したばかりだったのです…!
こちら▶︎https://townwifi.jp/corporate/docs/behavior_guidelines.pdf
これから、
なぜ行動指針を廃止するに至ったのか
そもそも行動指針はなぜあるのか
これからどうするのか
などなどお話ししていければと思います。
行動指針を廃止するに至ったきっかけ
弊社には「人は人を正しく評価し得ない」という価値観があるのため、評価制度はないのですが、理念の浸透、および、行動のフィードバックは必要かもしれないと考えていました。
そのため、行動指針に対するフィードバックを行う「ピア・フィードバック」というものを導入していました。
ピア・フィードバック自体は、2021年の7月から半年毎に行なっており、今年の3月に4回目が完了したところでした。
基本的に全員実施するものだったのですが、やらない人が増えてしまったのです。
ヒアリングしてみると、
成果物に対するフィードバックを行なっているので不要
相手に細心の配慮をしながら文章を書くことがしんどい
「評価している感」が苦手
などなどの意見がありました。
ちょっと雑にまとめると、
ピア・フィードバックの意味、さらに、行動指針の意味が伝わっていないのではないか
「評価を下している」ような感覚を覚えてしまっているのではないか(弊社は優しい人が多いのです)
あたりが、特に大きな課題だと思いました。
行動指針とピア・フィードバックについて
そもそも、行動指針は何のためにあるのでしょう。また、ピア・フィードバックの手法を使い、他者からフィードバックを入れてもらうことで何を期待していたのだろう、ということを改めてじっくり洗い出しました。
行動指針は何か
会社によって行動指針の意義は変わってくるのかなと思いますが、弊社にとての行動指針は、以下の二つから構成されていました。
いちパートナー(社員)として大切な行動
ミッションを達成するための行動
いずれも、根底にはバリューがあります。
最終的には、生産的であるために存在しているとも言えますが、だからと言ってプロセスを無視することはできないと思います。
このような行動指針は、プロセス(行動)の方向性を合わせ、人と人が関わる上で安全であることが保証されるために存在している、と私は考えています。その結果として、動きやすく、より生産的になれるのだと思います。
ピア・フィードバックは何か
大きな話になりますが、人には、自分で認識する自分である「内面的自己認識」と、他人が自分を認識する「外面的自己認識」があります。
この両者は、ほとんどの場合にズレがあり、過小評価もしくは過大評価になってしまっています。
日常生活を送る分には多少過大評価の方が生きやすいらしいですが、仕事においてはズレがない方が能力を発揮しやすいと言われています。
つまり、自分の行動を自分で完璧に振り返ることは不可能に近いので、他者からフィードバックをもらうことでそのズレに気付くために、ピア・フィードバックを行なっているのです。
まとめると、社内で同じ価値観を基にして安全に行動しながら他者と関わり、より生産的になるために行動指針が存在し、その行動を正しく実行していくためにピア・フィードバックがあるのです。
なぜ行動指針を廃止しないといけなかったのか
この流れだと、行動指針の廃止は必要ないわけですが……
たしかに、行動指針が全て悪かったわけではないのですが、それ自体にも以下の課題があると思いました。
役割や職種によって、どうしても関係のない行動指針がある
数が多い(14個ありました)
みんなで作った合算なので、納得度にバラツキがある
ちょっとここで別の話を挟みますが、そもそも理念浸透はどのようにして成されるのだろうか?をしっかり学びたいと思いました。
そこで読んだのが、こちらの本です。
とても勉強になったので、ぜひ読んでいただきたいのですが、理念浸透にはいくつかステップがあって、その中でも「認知的理解」を深めることはとても大切だと書かれていました。簡単な言葉に直すと「それがどういうことなのか頭で理解すること」です。
行動指針の一つ一つがどういう意味なのか、具体的に何かOKで何がNGなのか、など、一人ひとりが理解をすることが大切なのです。
そのため、はじめは既存の行動指針の解像度を上げようかと思ったのですが、それよりも一人ひとりが自分で行動指針を作る方が、理解度が高いに決まっている、という考えに至りました。
つまり、既存の行動指針が全面的に悪くて廃止をせざるを得なかったわけではなく、理念浸透のことを踏まえると、廃止した上で自分で作る方が認知的理解が深まると思ったので廃止した、ということになります。
個人行動指針の作り方
少し話は戻りますが、弊社の行動指針は「バリュー(大切にする価値観)」である「意志と尊重」から成り立っていました。
そのため、全社共通の行動指針を廃止したとしても、どんな行動指針であれ、その全ての根本が「意志と尊重」であれば何ら問題はないと考えました。
大切なのは、「認知的理解」です。
ワークショップ
上の画像にも出ていますが、一人ひとりが自分の行動指針を作るためのワークショップを実施しました。
ワークショップの目的は行動指針を作成するためですが、理念浸透観点においては「認知的理解を深める」ことと「内集団の拡張」です。
まずは、認知的理解を深めるため、こちらの資料を基にパートナーに説明しました。(イラスト勉強中なんです…すみません…笑)
次に個人ワークで自分の行動指針とその背景を書き出してもらい、自分と近しい役割のパートナーと共有、さらにチームをシャッフルして共有する時間も設けました。これが「内集団の拡張」のためです。「内集団の拡張」とは、「自分と同じ仲間である」と思える人を増やすことです。
詳しくは本を読んでいただければと思うのですが、仲間だと感じられない人がする行動は全て悪く見える、みたいな経験はみなさんにもありませんか?理念浸透をする際は、この感覚は非常に良くない作用をもたらします。
ちょっと違うチームの人と話したからって仲間意識がモリモリ醸成されるわけではもちろんありませんが、弊社はフルリモートの人も多いので、このような機会に接点を持ってもらうのはチリツモで大事なわけなのです……
今後のピア・フィードバック
さて、一人一人の行動指針ができたので、今後はそれに基づいたピア・フィードバックを実施予定です!
これまでは全員同じフォームでしたが、これからは一人ひとり異なる行動指針についてフィードバックしてもらえるフォームにカスタマイズします。(非常に私の工数はかかりそうですけどね!笑)
さらに、どうしても書き言葉だと神経がすり減るという方がちらほらいましたので、口頭でフィードバックできるオプションも作ってみました。
おわりに
ピア・フィードバックは12月に実施予定なのですが、今回の行動指針の廃止、および、行動指針の自己制作は総じて良かったと感じています。
パートナーのみんなも真剣に考えてくれましたし、ワークショップ自体も楽しかったと言ってくれました。
既存の行動指針も好きだった、という声もありましたが、理念などの概念的なものは、いかに形骸化させないかということが、まずは何よりも大事だと思います。
行動指針を廃止することは大きな出来事ですし、気軽にやるべきではないと思いますが、時には大きく動くことも大切な時があるなあと思いました。