【日刊辛愛媛】地方私鉄一強の街を考える(加筆再掲)
◎一強が放つ光と影
けさ目覚めたら、バイデン氏大統領選撤退のニュースが飛び込んできた。これでトランプ氏優勢のまま選挙本番となるか注目される。それにしても民主主義の象徴たる国会議事堂襲撃は記憶に新しく、現在4つの刑事裁判を抱える同氏が再選されれば、米国の分断はより深まるだろう。とはいえ、米国には民主党と共和党、英国には保守党と労働党、このような政権選択肢があることは羨ましい。
翻って我が国は民主党政権のトラウマか、故人が率いた派閥の負の遺産か、裏金にまみれながらも自民党だけが一強の鈍い光を放っている。
本題の一強が冒頭から脱線したが、愛媛の県都・松山市には伊予鉄道(以下、伊予鉄と記す)という地方私鉄があり、電車やバスが市内や郊外を縦横無尽に駆け巡るまさに一強の地方交通機関である。その創業は明治に遡り、狭軌の軽便鉄道としては日本初、民営鉄道としては日本で2番目の歴史をもつ会社である。本当に松山は、明治期において文化や産業、教育、軍事に偉人を輩出し、その名を日本に知らしめた。が、しかし、いまだにそれらにすがり、何でも坊っちゃんと揶揄されるも、新しい物事に対して現状維持の声が大きく、停滞続く街づくりが地縁ある者としてもどかしい。
地方No.2類似都市の例
さて、地方私鉄は他の県庁所在地にも多くある。例えば富山や熊本は、都市の規模は異なる(熊本>松山>富山)が、国の出先機関が殆ど無く、北陸や九州といった地方のナンバー2都市であり、立ち位置的に松山と似ている。そして同じく鉄道・軌道(路面電車)が走り、地域交通の要となっている。しかし、だいたいはJRと共存したり、役割分担したりしている。
ところが松山はそれが無く、郊外にも伊予鉄が走るためJRが無くても市民生活に影響はない人が多いのではないか。JR松山駅が約70年間新築されなかったのも頷ける。
結論としては、今後も松山は伊予鉄と運命を共にするだろう。鉄道に詳しい方(ヲタクとは呼びません)がよく、JRと伊予鉄の相互乗り入れをと持論を展開されるが、全くその可能性は1%もないと言える。お互いにメリットが無く利用者も望めないからだ。
最近、JR四国の社長に就任された方が、初の愛媛県出身者で抱負を語っておられた。
『鉄道は「正の便益、負の採算」という言葉がある。都会は別として、鉄道事業だけで見たら、日本は民間がやれば赤字だ。しかし、便益上は鉄道があることによって地域が成り立っている』と(愛媛新聞インタビューより引用)
その役割をJRだけが担うのか、私鉄と共存共栄するのか、筆者は前述の通り松山はそのどちらでもないと思う。JR四国の社長は京大卒、伊予鉄の社長は
ここから先は
¥ 120
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?