シン・爆笑問題「ぼくたちYouTubeを始めました!」【前編】
2022年夏。爆笑問題がYouTubeに殴り込んだ! 太田光といえば芸能界きっての迷惑系。「埼玉県からきました。大炎上馬鹿ノ助です。メントスコーラお願いします!」って、そんな凸系のヤボな動画配信ではない。あくまで硬派な合同コント。チャンネル名は「爆笑問題のコント テレビの話」。
舞台となるのはとある制作会社の一室だ。河田制作の社長を務めるのがBOOMER・河田キイチ。総合演出を務めるのが、太田光演じる大炎上馬鹿ノ助である。それにしても大炎上馬鹿ノ助って……。そして我らが田中裕二はテレビ局のプロデューサー片玉良夫役だ。社員に旧統一教会信者はいるわ、いきなり社長の河田キイチは死んでじゃうわ、まったくもってハチャメチャだ! それにしても、な、な、なんで爆笑問題がYouTube? テレビブロス取材班がリハーサルの現場に凸って出演者の爆笑問題、BOOMER・河田キイチ、シティホテル3号室に取材してきました! 前後編でお届けします。
取材・文/ハギワラマサヒト 撮影/田子芙蓉
<プロフィール>
爆笑問題
太田光(おおた・ひかり)●1965年埼玉県生まれ。中でも文芸や映画、政治に造詣が深く、本人名義で『マボロシの鳥』(新潮社)などの小説も発表。近著に『芸人人語』(朝日新聞出版)などがある。
田中裕二(たなか・ゆうじ)●1965年東京都生まれ。草野球チームを結成したり、『爆笑問題の日曜サンデー』(TBSラジオ)などで披露する競馬予想で高額馬券を的中したりと、幅広い趣味を持つ。
BOOMER
河田キイチ(かわだ・きいち)●1964年神奈川県生まれ。1992年より伊勢浩二とBOOMERとして活動。『ボキャブラ天国』(フジテレビ系)で爆笑問題としのぎを削った。2016年に漫才協会に加入。河田キイチ公式Twitter
シティホテル3号室
(左)川合亮太(かわい・りょうた)●1985年北海道生まれ。
(右)押田貴史(おしだ・たかし)●1985年神奈川県生まれ。
タイタン所属。コントを主体にお笑いの最前線で活動。2人とも学習塾の講師をしている。
YouTube「おもしろくてためになる」小学生向け語彙動画
押田公式Twitter
■爆笑問題のYouTubeは治安がかなり良いそうだ
──爆笑問題がYouTubeを始めたと聞いてやってきました!
爆笑問題・太田光(以下太田) 遅い! 遅すぎるだろ。だから近頃のブロスはダメなんだよ。昔はもっと流行に敏感で、最先端をいってたよな。
──えーっと、そうでしたっけ? 「カエル」とか「内職」を特集するような雑誌でしたもので……。
爆笑問題・田中裕二(以下田中) だって、YouTube(爆笑問題のコント『テレビの話』)を始めてからもう3ヶ月は経ってるよ。
──すみません。まず始めにお聞きしたいのですが、どういった経緯でYouTubeを始めることになったのでしょうか? テレビ大好きな爆笑問題さんが、YouTubeを選んだのはなぜなのかと……。
太田 その情報が聞きたければ、払えよ。金を。
──もちろん謝礼は事務所に……。
太田 直だよ、オレに。100万即金で!
──えーっ、そんな予算はありませんよ。
太田 殴るぞ。
一同 (爆笑)。
BOOMER・河田キイチ(以下河田) まあまあ太田さん。ここはチャンネルの宣伝にもなるから、しっかり話しましょう。
太田 あるときカンニング竹山がやっているオンラインサロンの配信番組に呼ばれたんだよ。そしたらそれが、テレビに負けないくらいのセットで、しっかりしたスタッフもいて。聞いたら、これまでテレビで一緒にやってきた仲間なんだって。こういうやり方もいいなって……。それで菅さんに相談したんだよ(編集部注:テレビプロデューサーの菅賢治氏、通称ガースー)。
田中 『テレビの話』は、『太田上田』のスタッフでやってるんだよ。菅さんはそのプロデューサー。
太田 放送作家の鈴木おさむも協力してくれるって言ってくれて。
田中 みんなで相談したところ、やっぱりYouTubeが手軽だろってことになったの。
太田 だって、テレビだったら、視聴率が悪けりゃ終わっちゃうだろ。でもYouTubeだったら、こっちがやりたいだけやれるから。
──『テレビの話』では、番組の制作会社が舞台のコントですが、どこかスタジオを借りて撮ってるんですか?
河田 スタジオセットじゃなくて、あれは実際にある会社の一室。
太田 『太田上田』を作っている制作会社。
河田 YouTubeって聞いてたから、もっと簡単に撮るのかと思ったら、カメラの数にビックリした。6、7台入ってる。テレビと変わらない。
シティホテル3号室・川合亮太(以下亮太) そうなんですよ。YouTubeって聞いていたので、ラフな感じかと思ってたら、テレビ番組に参加させてもらっているのと一緒です。ぜんっぜんYouTube感ないっす。完全にテレビのコントです。
──YouTubeと言うと、過激なことをしたりゲーム配信というイメージがありますが、『テレビの話』では、しっかりと集団コントをやってますよね。
太田 当たり前じゃねえか。オレらがゲーム配信やってどうするんだよ。
──テレビでやりたかったコントの発表の媒体が、たまたまYouTubeだったってことですね。でも、テレビとの違いで言えば、YouTubeにはコメント欄がありますが、読んだりしますか?
河田 オレは読んだよ。ネットのコメント欄、大抵が辛口だったりするじゃん。すぐ炎上してさ。
太田 炎上して悪いか! おい河田!
田中 そうそう。太田さんの『テレビの話』での役名は、大炎上馬鹿ノ助だから(笑)。
太田 うるせえ! お前の役名は、片玉良夫じゃねえか。カタタマ野郎が!
河田 ごめん。話戻って良いかな。それがさ、『テレビの話』のコメント欄は、すごく温かい内容が多いんだよ。
田中 そういえば思い出した。オレはコメント見ていないんだけど、中3の娘に「YouTubeを始める」って話したら、チャンネルを見てくれて、「へー、コメント欄開放してるんだ」って、そういうところが気になるみたい。
──いまどきの子供って感じですね。
河田 で、娘さんはコメントを読んだの?
田中 「パパよかったね、今のところ治安が良いよ」って(笑)。
一同 (爆笑)。
河田 なんだよ治安って(笑)。
田中 「治安」ってすぐ言うんだよ(笑)。それで娘が、「パパたちのYouTubeを見る人は、年寄りばかりでしょ。若者が増えてきたら治安が悪くなるね」って(笑)。
太田 つまりね。オレたちの『テレビの話』は、好きな人しか見ていないってことなんだよ。だからコメントも温かいんだろ。
■爆笑問題の憂鬱。オレ達自身がコア層じゃない!
太田 今、テレビがターゲットにしているのは若者層なんだよ。コア視聴率って最近耳にするだろ? 特にFコアって若い女の人が重要視されてるんだよ。
田中 コア層って49歳から下のことね。
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