猫のつまらない話 第3回 【9月号 能町みね子 連載】
文&題字イラスト/能町みね子 写真/サムソン高橋
私と猫(一般)のかかわりに関する40年あまりの歴史について考えるにあたり、大きなできごとをいくつか挙げていきたいと考えてみたのだけれど……やっぱり、ないですね。なくて困る。年表が全然制作できない。
そんなことは前回に分かっていたことでした。前回だって、猫の思い出について語ろうとしたらインコの思い出になってしまったのです。私の人生にはそんなに猫がコミットしていたわけではないみたい。
でも、いま思いついたから書くけど、そういえばまだ小学生の頃、家に野良猫が迷い込んできたことがあった(思い出して快哉!あるじゃん、子供の頃の猫との思い出)。細かいことは覚えていないけど、猫が居間にいたという記憶から始まっている。たぶん人慣れした子で、庭にふらっと入ってきたのを家族の誰かが連れてきちゃったんだろうと思う。
ふいにおばあちゃんが、猫はどんなふうに落としたって着地できるんだ、と言い出して、持ち上げ、器用に足をまとめるようにして持ち、逆さ吊りにしてしまいました。まるで漫画で見る豚の丸焼きみたいな状態に。
私たち兄弟が驚いて絶句してる間に、おばあちゃんはパッと手を放してしまいました。
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